ヒューレットパッカード(以下HP)のゲーミングノート、Pavilion Gaming 15をレビューする機会をいただきました。
機材貸出元:株式会社日本HP
15.6型のノートパソコンで、エントリークラスのグラフィックスGTX1050 Tiを搭載しているモデル。
今回はゲームだけではなく、写真編集やRAW現像にもどの程度活用できるのかをチェックしてみました。
Pavilion Gaming 15

今回使用しているのは、Pavilion Gaming 15のハイパフォーマンスモデル。
どういったパソコンなのか、まずは基本的なスペックからご紹介します。
スペック
Pavilion Gaming 15(ハイパフォーマンスモデル)の基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Core i7-8750H |
GPU | GeForce GTX1050 Ti |
メモリ | 16GB |
ストレージ | NVMe M.2 SSD 128GB HDD 1TB |
CPUはゲーミングノートによく使われているCore i7-8750H。
第8世代のCPUで、ノートパソコン用のCPUとしてトップクラスの性能を持っているのが特徴。
ゲームに限らず、デジカメで撮影した写真データのRAW現像やYoutube動画の編集でも大活躍してくれるハイパフォーマンスCPUです。

ストレージはSSDとHDDのデュアルタイプ。
SSDはPCIe NVMe M.2に対応しているため、転送速度は爆速です。
HDDが1TBあるとはいえ、SSDが128GBしか搭載されていないのは少々残念なところ。
ラインナップ

Pavilion Gaming 15のラインナップは大きく4つに分かれています。
スタンダードモデルなら約10万円でゲーミングノートが手に入りますよ。
モデル | CPU | グラフィックス | メモリ | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
スタンダードモデル | Core i5 8300H | GTX1050 | 8GB | 109,800円〜 |
パフォーマンスモデル | Core i7-8750H | GTX1050 | 16GB | 129,800円〜 |
ハイパフォーマンスモデル | Core i7-8750H | GTX1050 Ti | 16GB | 169,800円~ |
クリエイターモデル | Core i7-8750H | GTX1050 Ti | 16GB | 169,800円~ |
ハイパフォーマンスモデルとクリエイターモデルはディスプレイとストレージ容量に差があります。
クリエイターモデルは4Kに対応したUHDディスプレイを搭載。
高画素な写真データをPhotoshopでレタッチしたり、パソコンでイラストなどを描く方にはクリエイターモデルがおすすめです。
また、記載している価格は記事執筆時点の金額です。
パソコンの仕様や価格は変動するものなので、最新の情報は公式サイトにて確認をお願いします。
競合モデルがたくさん
15.6型のゲーミングノートは競合モデルがたくさん存在します。
たとえばGTX1050またはGTX1050 Tiを搭載している主なゲーミングノートは以下の通り。
NEXTGEAR-NOTE i5330GA2-C | GF63 8RD-067JP | Dell G3 15 | |
---|---|---|---|
メーカー | マウスコンピューター | MSI | Dell |
CPU | Core i7-8750H | Core i7-8750H | Core i7-8750H |
GPU | GTX1050 | GTX1050 Ti | GTX1050 Ti |
メモリ | 16GB | 16GB | 16GB |
サイズ | 15.6型 | 15.6型 | 15.6型 |
販売価格 | 129,800円 | 143,424 円 | 144,980円 |
価格帯も似ているので、セール時期の価格やデザイン面で選んでみるのもよさそうです。
OMENもおすすめ

HPはOMENという本格的なゲーミングノートも販売していて、グラフィックスはGTX1060またはGTX1070を搭載しています。
モデル | CPU | グラフィックス | メモリ | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
パフォーマンスモデル | Core i7-8750H | GTX1060 | 16GB | 167,000円〜 |
ハイパフォーマンスモデル | Core i7-8750H | GTX1070 | 16GB | 187,000円〜 |
価格帯はPavilion Gaming 15より高くなるものの、本格的にパソコンでゲームを楽しみたいならOMENも検討してみましょう。
OMENの外観はゲーミングノートっぽさが増すので、好き嫌いはあるかもしれませんね。
インターフェイス
ここからは外観やインターフェイスを見ていきます。
まずは天板からですが、シンプルなデザインで仕事でも普通に使えますね。
普通にオフィスに置いていても、ゲーム用のパソコンだとは思われないでしょう。

サイズは365×257mmで、15.6型のノートパソコンとして考えると標準的な大きさです。
裏面もシンプルなデザインで、廃熱用の排気口が大きく設置されています。

四隅には大きめのゴム足が放射状に設置されているため、タイピング中などにガタつくこともありません。
分厚さは26mmで、もっとも分厚い部分が29mm。
一般的なノートパソコンと比べると少し分厚く感じますが、ゲーミングノートのなかでは薄いほうです。
側面のインターフェイスは以下の通り。

左側面にはUSB3.1に対応したスロット2つと、SDカードなどを読み込めるカードリーダー。
右側面には外付けのディスプレイと接続するHDMI端子をはじめ、 有線LAN、USB3.1スロット1つ、Type-Cに対応したUSBスロットも1つあります。
Mini DisplayPortやVGA端子はないので、接続するディスプレイによっては変換アダプタが必要になるでしょう。
イヤホンとACアダプターも右側につなげます。

ACアダプターは150Wで、パソコンを持ち歩く人にもうれしい薄型タイプ。
使用上のバッテリー駆動時間は約9時間となっていますが、パソコンの使い方次第なので参考程度に考えましょう。
ゲームをするときは、基本的にACアダプターにつなげて使うことをおすすめします。
ディスプレイ

ディスプレイは15.6型のフルHD(1920×1080)、IPSディスプレイ。
蛍光灯が映り込むように撮影していますが、非光沢仕様で映り込みは大幅に抑えられています。
「ツヤツヤした画面のほうが好き!」
という方もいると思いますが、光沢タイプのディスプレイは長時間使用していると目が疲れてきます。
リフレッシュレートは60Hzと標準的な数値。
格ゲーやFPSゲームをガッツリやりこむなら、144Hz以上に対応したゲーミングディスプレイを外付けで接続することをおすすめします。
sRGB比やAdobeRGB比に関する表記は仕様上で見つけられませんでした。
キーボード

キーボードは一般的なテンキーありの日本語配列。
私はテンキーを使わない人なので、個人的にはカーソルキーをもう少し大きめにしてほしい。
タッチパッドはさらさらした手触りで、Macbookに慣れている方だと少々滑らかさに欠けるように感じるかもしれません。

キーの側面は白色(ゴーストホワイトという色らしい)になっているため、とても視認しやすいです。
かつバックライトにも対応しているため、夜中に明かりを落としてゲームをプレイするときも快適に楽しめるでしょう。
キータイプ音はペタペタ系
キータイプ音はノートパソコンによくあるペタペタ・ポコポコ系。
タイプ音は実際に聞いてみるのが一番わかりやすいので、30秒ほどの動画を作成しました。
カチャカチャとうるさい音がならないので、静かな場所でも使いやすいですね。
仕様書によると、キーピッチは約18.7mm、キーストロークは約1.5mmとのこと。
標準的なノートパソコンのキーボードといえます。
各種ベンチマーク結果
ここからは各種ベンチマークソフトなどを使用して、Pavilion Gaming 15の性能面を見ていきます。
まずはCPUから見ていきましょう。
CPU

CPUの基本性能をチェックする上で有名なCINEBENCH R15を使ってみたところ、955cbという結果でした。
まったく同じCPUを搭載しているGS65 Stealth Thin 8REは1055cbという結果だったので、若干低めの数値です。
とはいえ、一般的なノートパソコンに搭載されているCPUと比べて高性能であることに間違いはありません。
参考までに、少し前まで私が使っていたMacBook Pro(Core i7-5557U)の結果はこちら。

世代に差があるとはいえ、Core i7-8750Hの性能の高さをおわかりいただけたことでしょう。

いずれの数値も当ブログで計測したものなので、参考程度にお考え下さい。
ストレージ
デュアルストレージ(SSDとHDD)の転送速度をCrystalDiskMarkでチェックしてみます。
メインのSSDはPCIe NVMe M.2という爆速仕様ですが、期待値の1500MB/s以上は出ませんでした。
HDDは標準的な数値ですね。
SSD(PCle)

HDD

3D性能

3D性能をチェックするため、3DMarkのFire Strikeのスコアも確認したところ6240でした。
搭載されているグラフィックスはエントリークラスのGTX1050 Tiなので、やはりそれなりの数値ですね。
とはいえ余程のハイスペックゲームでない限り、画質を調整すれば快適に遊べる数値です。

いずれの数値も当ブログで計測したものなので、参考程度にお考え下さい。
オンラインゲーム
有名どころのパソコンゲームが快適に動くかどうかも、各ゲームのベンチマークソフトでチェックしてみました。
いずれも1920×1080(フルHD)の環境で確認しています。
重量級ゲームの代表的存在、ファイナルファンタジー15だと画質を落とさないと快適にプレイすることは難しそうです。
ドラクエXのような比較的軽いとされるゲームなら、最高画質でも問題なく遊べるでしょう。
FF15

高品質 | 2520(やや重い) |
---|---|
標準品質 | 3478(普通) |
軽量品質 | 4890(やや快適) |
FF14 紅蓮のリベレーター

最高品質 | 9467(非常に快適) |
---|---|
高品質 | 9527(非常に快適) |
標準品質 | 10834(非常に快適) |
ドラゴンクエストX

最高品質 | 12682(すごく快適) |
---|---|
標準品質 | 16652(すごく快適) |
低品質 | 14436(すごく快適) |
フォートナイトをプレイ
ベンチマークソフトだけではなく、実際にFPSゲーム(フォートナイト)で遊んでみました。
フレームレートを画面右上に表示させながら遊んでみた様子を動画にまとめたので、よろしければご覧ください。
すべての品質を「エピック」に設定していたのですが、フレームレートは終始40前後。
カクカクするような感じはないものの、本気で勝ちに行くなら画質を落としたほうがよいでしょう。
アンチエイリアスやエフェクトなどの設定を「中」や「低」に設定すると、フレームレートは100以上をキープできました。
ちなみに、フォートナイト初心者の私はバトルロイヤルのつもりでプレイしていましたが、選ぶモードを間違えていたようです・・・
プレイが下手なのはパソコンのせいではなく、私の実力です。
RAW現像の処理速度結果
ゲームだけではなく、写真データのRAW現像が快適にできるかどうかもチェックしてみます。
用意したのは有効画素数3,635万のニコンD810で撮影したRAWデータ100枚。
RAW現像はCPU性能がものをいう領域ですが、高画素データの等倍表示で待たされることもなく、サクサク快適に動いてくれました。
ホワイトバランスや傾きなどを調整しても、タイムラグなく即座に表示できるのはとても快適です。
Lightroomの書き出しも高速
RAWデータからjpegへの書き出し速度もチェックしてみました。
Lightroomの書き出し条件は以下の通り。
- 画像形式:JPEG
- 画質:100
- カラースペース:sRGB
- 画像のサイズ:未調整(撮影データそのまま)
- 解像度:350
- メタデータ:すべてのメタデータ(人物情報や撮影場所の情報は削除)
所要時間は約3分半でした。

これだけ書き出しが早いと、ほかの作業に時間を割けるので非常に助かります。
ゲーミングノートはゲームがメインと思われがちですが、日々何百枚と写真を撮影するカメラマンにもおすすめです。
ファンの排気音は控えめ
jpegへの書き出し中はパソコン内部のファンがフル回転しますが、そこまでうるさいという感じはしないですね。
静まり返った場所だとさすがに目立つとは思いますが、一般的なオフィスや自宅で使う分にはほとんど気にならない程度です。
CPUフル稼働中はパソコンも多少熱を帯びるものの、触れないほど熱くなるなんてことはありません。
コスパの良いゲーミングノート

Pavilion Gaming 15のハイパフォーマンスモデルをひとしきり使ってみましたが、とてもバランスの良いモデルだと感じます。
RAW現像をサクサク快適にしてくれる高性能なCPUと、幅広いゲームを楽しめるエントリークラスのグラフィックスも搭載。
薄型ボディで持ち運びやすく、値段も10万円前後からラインナップ。
普通のノートパソコンのようなシンプルなデザインも、幅広い人に受け入れられるでしょう。
「ゲーミングパソコンを使ってみたいけど、あまり予算はかけたくない」
「ゲーム以外にも幅広い用途に使える、コスパの高いパソコンが欲しい」
と考えている方にはぴったりのモデルです。