日本HPが販売するゲーミングPC、OMEN。
洗練されたデザインで非常に人気の高いモデルですが、インターネット上ではネガティブな口コミや投稿が散見されるのも事実。
当サイトでは45Lと40L、25Lをメーカーからお借りして、たびたび指摘されるポイントが真実なのか実際に検証しました。
OMENが気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
購入時に知っておくべきポイント
Youtubeのコメントや配信時のチャットで度々質問をもらうポイントを整理しました。
- カスタマイズができない
- ケースの拡張性が低い
- ケースの冷却性能が心配
- 電源容量が少ないは過去
- 電源のケーブルは3ピン
- 価格や納期が不安定
それぞれ順にご説明します。
注文時のカスタマイズに非対応
まずHPのオンラインストアは、注文時のパーツカスタマイズに対応していません。
注文時に選択できるのは、周辺機器や延長保証などのサービス面のみ。
OMEN 45Lや40Lなどのハイスペックモデルであれば、標準仕様でメモリやストレージ容量に余裕があるため、とくに気にする必要はないと思います。
ただしOMEN 25Lはメモリが16GBで、Victusなどはストレージが512GBと必要最低限の容量しかないことも。
ドスパラやパソコン工房など、国内BTOメーカーだと予算や用途に合わせて注文時にパーツの増設ができますが、OMENやVictusは一切非対応。
メモリやストレージの容量に不満がある方は、購入後に自身で改造するしかありません。
ゲーミングスターターセットはお得か
OMENやVictusの注文画面では、ゲーミングスターターセットが選択可能。
これはHyperXの周辺機器がセットになったもので、はじめてゲーミングPCを買う方にはコスパも良くおすすめです。
どれくらいお得なのか細かく比較した結果を以下の記事にまとめているので、周辺機器も購入するつもりの方はぜひあわせてご覧ください。
拡張性が低めなのは25Lのみ
OMENはケースの拡張性が低い!というコメントも散見されますが、これは25Lのみの問題。
45Lや40Lにはケース背面側に2.5インチ×2、3.5インチ×2を搭載できるシャドウベイが用意されています。(45Lは3.5インチを1台使用済)
メモリが4スロット使えるのはもちろん、PCI Express Gen3 x4の空きスロットと、M.2 SSDの空きスロット(Gen3)も1つずつあります。
PCIeの空きスロットはグラボとの干渉がやや心配ですが、ゲーム用途がメインであれば、これ以上は必要ないといえる拡張性です。
一方でOMEN 25Lの場合、2.5インチと3.5インチ兼用のシャドウベイが1台のみ。
仕様によるとM.2 SSDの空きスロット(Gen3)もひとつあるようですが、PCIeの空きスロットはゼロ。
内蔵型のキャプチャーボードやLANカードなど、PCIeスロットを利用するタイプの拡張カードは25Lでは使えません。
25Lは背面側のUSBポートも少なめなので、周辺機器をたくさん接続したい方はUSBハブなどを別途用意したほうがいいかもしれません。
パソコンを買うときは公式サイトで仕様をよく確認しましょう。
ゲーム用途なら排熱は心配無用
すでに販売を終了していますが、以前販売していたOMEN 30Lは度々排熱が問題視されていました。(当サイトでは未レビュー)
40Lや45L、25Lの実機をお借りして検証したところ、ゲームを動かす程度なら排熱を気にしすぎる必要はありません。
45Lは最上位モデルかつ、ラジエーターをケースの外部に設置する特殊なケースを採用していることもあり、冷却性能は申し分なし。
40Lもゲームを動かす程度ならまったく問題ないものの、CINEBENCHなどでCPUに高い負荷をかけると、温度が上がりやすいです。
120mmラジエーターでフルパワーのCore i7-13700Kを冷やしきるのは、さすがに限界があります。
とはいえ実用上、CPU使用率が100%になるまで負荷をかけることは滅多にありません。
CINEBENCHなどのベンチマークソフトで世界記録を目指したい方には大きな問題となりえますが、そもそもそんな方は最初から自作に挑戦すべきです。
25Lはサイドフロータイプの空冷式で、ファンのサイズは約10cm。
見た目はやや貧弱ですが、ゲーム起動中もCPU温度は60~70度前後とまったく問題なし。
現在発売されているOMENには、ゲーミングPCとしての十分な冷却性能が備わっている、と考えて問題ありません。
ソフトウェアでモードチェンジ
OMENには専用ソフトウェア「OMEN Gaming Hub」がプリインストールされています。
PCのパフォーマンスやファンの回転を簡単に調整できる、とても便利なソフトウェアです。
パフォーマンスモードはゲームのフレームレートも伸びやすくなりますが、ファンがフル回転してうるさくなるのがデメリット。
静音モードに変えてもフレームレートが激減するわけではないため、排熱や騒音が気になる方はモードチェンジ機能の活用を推奨します。
ファンの増設や交換も要検討
45Lと比べて排熱がやや弱い40Lですが、ケース天面に120mmファンを2つ増設できそうなスペースが用意されています。
エアフローを強化したいなら、自身でファンを増設してみても良いでしょう。
また、Youtubeのコメントで教えてもらった情報によると、40Lのケース前面に240mmラジエーターの簡易水冷を取り付けられるようです。
すべてのメーカーの簡易水冷クーラーが取り付けられるかは不明ですが、CPUクーラーの交換を検討してみてもいいかもしれません。
ケースの裏側にはファンハブも用意されており、マザーボードの端子が足らなくなる心配はありません。
ただし、パーツ交換が原因でPCにトラブルが発生した場合、メーカー保証を受けられなくなる恐れがあります。
ケースファンの交換や増設はそこまで難しい作業ではありませんが、初心者の方は慎重に判断してください。
ケースファンでどの程度CPUやGPUの温度が変化するかは、以下の動画で詳しく解説しています。
電源容量が少なめなのは旧モデル
「OMENは電源容量が少ない!」という指摘もよく目にしますが、それは過去の話。
Intelの13世代CPUとRTX 40シリーズを搭載したモデルの電源容量は以下の通り。
45L | 1200W(80PLUS GOLD) |
---|---|
40L | 800W(80PLUS GOLD) |
25L | 800W(80PLUS GOLD) |
参考までに、RTX 30シリーズを搭載した旧モデルの電源容量がこちら。
45L | 800W(80PLUS GOLD) |
---|---|
40L | 800W(80PLUS GOLD) |
25L(AMD) | 600W(80PLUS GOLD) |
25L(Intel) | 500W(80PLUS BRONZE) |
25L(旧モデル)は電源容量の低さが度々指摘されていました。
NVIDIAの公式サイトによると、RTX 3060の推奨電源は550W。
競合メーカーもRTX 3060を搭載したマシンでは600W以上の電源を搭載していることがほとんど。
25L(旧モデル)のスペックだと、ゲーム起動中の消費電力は300~350W前後となるため、電源容量が500Wあれば何も問題はありません。
自作PC界隈でよく目にする「電源容量は消費電力の2倍を選べ!」というのは、あくまで目安としての話です。
しかしながら変換効率はやや落ちますし、電源の負荷率が高まることで内蔵ファンがたくさん回転し、騒音の上昇やファンの寿命が短くなるというデメリットがあるもの事実。
海外でもネガティブな意見が多かったのか、最新モデルでは余裕のある電源容量になって一安心です。
低容量電源の検証結果
推奨容量より低い電源でゲームを動かすとどうなるか、実際に450Wの電源を購入して検証しました。
結論としては普通にゲームを動かせて、致命的な問題は何も発生せず。
気になる方は以下の動画もあわせてご覧ください。
電源のケーブルは3ピン
筆者が見てきた限り、デスクトップのOMENとVictusは電源のケーブルが3ピンです。
ほとんどの家庭用コンセントは2ピンだと思うので、そのままではPCの起動すらできません。
3ピンに対応した延長タップを購入するか、3ピンを2ピンに変換するためのアダプター、どちらかが必要です。
変換アダプターならホームセンターなどで数百円で買えるので、出費を最小限に抑えられます。
価格の安さと納期の速さは運次第
OMENの通常価格は業界相場と比較するとやや高めです。
とくに最新パーツを搭載したモデルは割高で、発売後しばらくは値下がりしないことがほとんど。
しかしながら時期による変動が大きく、期間限定セールやアウトレットセールでは競合他社を圧倒するほど安くなることも。
セールの内容や対象モデルは時期によって異なるため、こまめに公式サイトをチェックしてみてください。
また、年末年始やボーナス時期などの繁忙期は納期が不明になってしまうことも。
通常は注文から1週間程度で届くことが多いですが、いつ届くかは注文するタイミング次第。
納期や在庫状況は日々変動するため、公式サイトでこまめに最新情報を確認するしかありません。
クーポンの活用がおすすめ
HPのオンラインストアで使える、期間限定の割引クーポンを用意しています。
OMENはもちろん、条件を満たしていればビジネス向けのノートPCなども割引可能。
割引率や対象モデルは時期によって変動するため、以下のまとめページをブラウザのお気に入りに登録しておくことをおすすめします。
1万円以上安く買えることもあるため、HPのパソコンが気になっている方はぜひご活用ください。
OMENの特徴をよく理解して購入を
OMENはとても人気ですが、他社のゲーミングPCと比べて気になる点があるのも事実。
ゲームや動画編集などの用途がメインなら、排熱や電源容量を気にしすぎる必要はありません。
メーカー保証が外れるリスクはあるものの、ある程度スキルがあるなら自身で改造するのも楽しみ方のひとつです。
ゲーミングPCは高い買い物ですから、製品やメーカーの特徴をよく理解したうえで選んでください。
OMENのレビュー記事もあわせてご覧いただくと、より分かりやすいです。