Intelの最新CPU、Core i5-13400Fを購入したので、RTX 3060と組み合わせて人気ゲームをどこまで動かせるのか検証しました。
先に結論をお伝えしておきますが、ゲーム用途がメインなら、Core i5-12400Fを買ったほうがコストパフォーマンスは高いです。
最新CPUの性能が気になっている方はぜひご覧ください。
検証用PCのスペックや概要
今回、検証のために用意した環境は以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
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CPU | Core i5-13400F |
CPUクーラー | DeepCool AK500 |
GPU | Palit RTX 3060 Dual OC 12GB |
メモリ | DDR4-3200 16GB(8GB×2) |
マザーボード | TUF GAMING Z690-PLUS D4 |
電源 | 1000W(80PLUS GOLD) |
ケース | DeepCool CH510 WH |
Core i5-13400Fはドスパラのネットショップで購入、送料込みで35,800円でした。
CPUとGPUの細かい情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。
マザーボードやグラボなど、CPU以外のパーツは以前から使用しているものです。
電源も1000Wを使用していますが、NVIDIAの公式サイトによるとRTX 3060搭載PCは550W以上が推奨とされています。
CPUのスペック比較
記事執筆時点で、新品で購入可能なミドルクラスCPUの主なスペックを比較しました。
CPU | Core i5 13400F | Core i5 12600K | Core i5 12400F | Ryzen 5 7600X | Ryzen 5 5600X |
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コア/スレッド | 6+4/16 | 6/12 | 6/12 | ||
クロック | 2.5GHz~ 4.6GHz | 3.7GHz~ 4.9GHz | 2.5GHz~ 4.4GHz | 4.7GHz~ 5.3GHz | 3.7GHz~ 4.6GHz |
L3キャッシュ | 20MB | 18MB | 32MB | ||
TDP/PBP | 65W | 125W | 65W | 105W | 65W |
販売価格 | 35,800円 | 43,980円 | 25,800円 | 39,800円 | 25,560円 |
Core i5-12400Fと比べると順当に進化しているように見えますが、コア数やL3キャッシュなどはCore i5-12600Kと変わらず。
Core i5-13400Fの中身は、Core i5-12600Kの消費電力を抑えた個体という噂も流れています。
個人的にCore i5は2万円台で買えてこそ、という気持ちが強いため、いくら最新世代といえど少々割高に感じてしまいます。
掲載価格は記事執筆時点のものです。最新情報はPCショップやAmazonなどでご確認ください。
ほかのCPUの検証結果
Core i5-12600KやRyzen 5 7600Xなど、ほかのCPUでもRTX 3060の性能を検証しています。
いずれも検証時期(ドライバのバージョンやゲームのシーズンなど)が異なるため、あくまで参考程度にご覧ください。
ほかのGPUの検証結果
RTX 3070やRTX 3060 Ti、RTX 3050でも同じように検証しています。
グラボが変わると価格帯も大きく変わってくるため、予算と用途に合わせて最適な1台を選んでください。
定番ベンチマークのスコア
ここからは定番のベンチマークソフトのスコアをご紹介します。
グラボはRTX 3060で統一して、CPUによる性能差がどの程度あるのかを検証しました。
計測結果はいずれも当サイトで検証したものなので、あくまで参考程度にお考えください。
Ryzen 5 7600XはDDR5-5200 32GB(16GB×2)を使用して検証しています。
CINEBENCH R23
まずはCPUの性能をチェックするCINEBENCH R23のスコアから。
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
Core i5-12400Fより高く、Core i5-12600Kには届かないという前評判通りのスコアです。
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
シングルコアでも同様の傾向です。
3D Markのスコア
続いて超定番の3D Markから、主要ベンチマーク3種類を試しました。
Time Spy
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
Time SpyはAPIにDirectX 12を使用。
わずかながらCPUによってスコアに差が出ています。
Fire Strike
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
Fire StrikeはAPIにDirect X11を使用。
誤差の範囲ともいえますが、Fire StrikeではCore i5-12400Fに僅差で負けています。
Speed Way
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
Speed Wayは最新APIのDirectX 12 Ultimateに対応。
CPUの影響を受けづらいようで、ほとんどスコアに差が出ませんでした。
定番ベンチマークのスコア
FF15とFF14(暁月のフィナーレ)のベンチマークソフトを、それぞれフルHDの最高設定で走らせました。
FF15
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
このゲームもCPUの影響は受けづらいのか、大きな差は生まれず。
FF14 暁月のフィナーレ
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
FF14ではスコアに多少差が出ています。
人気ゲームのフレームレート
ここからは実際に人気ゲームをフルHD解像度(1,920×1,080)でプレイして、フレームレートの平均値を算出しました。
今回検証したのは以下の通り。
- フォートナイト
- Apex Legends
- VALORANT
- Rainbow Six Siege
- CoD:MW2
それぞれ順にご紹介します。
フォートナイト
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
フォートナイトはリプレイ機能を使用し、近接での撃ち合い中のシーンを含む、同一場面の平均フレームレートを計測した結果です。
アンチエイリアスは「TSR 最高」に設定し、解像度は「ネイティブ」で検証しています。
チャプター4でグラフィック設定が大幅にアップデートされたこともあり、DirectX 12の差高画質ではいずれも平均40fps程度しか出せません。
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
DirectX 11に変えると、グラフィックが多少軽くなります。
しかしながらフレームレートに大きな変化はなく、最高画質だとCPUの影響はほぼないといえそうです。
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
競技設定は「3D解像度」と「描画距離」を最大に設定して検証。
こちらもフレームレートに大きな差は生まれず。
144Hzのモニターでプレイするなら、DirectX 11の競技設定でも十分といえそうです。
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
レンダリングモードを「パフォーマンス」に変えると、GPUの負荷が減ることで、CPUの影響を受けやすくなるようです。
CINEBENCHのスコアと同じく、Core i5-12400Fより高く、Core i5-12600Kには届かないという微妙な結果でした。
Apex Legends
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
Apex Legendsは射撃訓練場でバンガロールのウルトにグレネードを重ねて、前後の平均値を計測しました。
実際のマッチでは最高画質で平均120~130fps前後は出るため、比較用の数値としてご覧ください。
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
フォートナイトのパフォーマンスモードほどではありませんが、多少はCPUの影響を受けるようです。
アイテムをあさっているだけなら上限の300fps付近まで伸びることもあり、RTX 3060との組み合わせなら、十分快適にプレイ可能です。
VALORANT
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
VALORANTはプラクティスのスパイク解除モードで検証。
スパイクラッシュを実際にプレイすると、場面によって平均値が50~100程度落ちます。
とはいえフレームレートが240を下回ることはなく、最高画質のままでもサクサク快適です。
Rainbow Six Siege
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
レインボーシックスシージはベンチマークモードで検証した結果です。
このゲームも実際のマッチではフレームレートが50~100程度落ちると考えてください。
CoD:MW2
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
CoD:MW2もゲーム内のベンチマークモードで計測。
CPUの影響を受けづらいようで、ほとんど差がありませんでした。
推奨設定では平均フレームレートが100を超えるので、ある程度やりこむなら画質調整をおすすめします。
レイトレーシング性能
レイトレーシング対応ゲームの平均フレームレートも検証しました。
今回検証したのは以下の通り。
- WATCH DOGS LEGION
- FARCRY6
- Forza Horizon 5
いずれも最高画質のDXR ONでベンチマークモードを走らせた結果です。
WATCH DOGS LEGION
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
このゲームはCPUの影響をあまり受けないようで、ほとんど差がありません。
FARCRY6
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
こちらも誤差の範囲といえそうです。
Forza Horizon 5
Core i7-12700K | |
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Ryzen 5 7600X | |
Core i5-13400F | |
Core i5-12600K | |
Core i5-12400F | |
Core i3-12100F |
Forza Horizon 5に関してはまったくスコアが変化せず。
何度か試しましたが、78から微動だにしません。
CPUの影響を受けづらいゲームをメインに考えているなら、ハイスペックなCPUはコスパが悪い、ということになります。
ゲーム実況・ライブ配信
Twitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用し、配信と同時に録画も実施します。
Apex Legendsの配信を試したところ、以下の設定でスムーズにライブ配信ができました。
ゲームの画質 | 低 |
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出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア(NVENC) |
音声ビットレート | 128 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ソフトウェア |
配信中のフレームレートは平均170~180前後で、やや落ちてはいるものの快適にプレイできるレベルです。
ゲームによっては最高画質のままでも快適に配信・録画ができそうです。
おすすめのBTOパソコン
Core i5-13400とRTX 3060を搭載したBTOパソコンは、記事執筆時点ではまだ選択肢が少ないです。
TSUKUMOやフロンティア、G-Tuneなども、そのうち取り扱いを開始すると思われます。
掲載している仕様および価格は記事執筆時点の情報です。最新情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。
パソコン工房
まずはパソコン工房のLEVEL∞(インフィニティ)から。
OS | Windows 11 Home |
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CPU | Core i5-13400 |
GPU | RTX 3060 |
メモリ | DDR4-3200 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 500GB NVMe SSD |
販売価格 | 183,800円~(消費税・配送料込) |
microATX規格のミニタワーで、チップセットはB660を採用。
光学ドライブを標準搭載し、電源も700Wと余裕があります。
人気のRGB Buildとちがっておしゃれとはいえないデザインのケースですが、コスパ重視で選びたい方におすすめです。
ドスパラ
続いてはドスパラが販売するGALLERIA RM5C-R36。
OS | Windows 11 Home |
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CPU | Core i5-13400F |
GPU | RTX 3060 |
メモリ | DDR4-3200 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 500GB NVMe SSD |
販売価格 | 184,980円~(消費税・配送料込) |
こちらは「F」つきのCore i5-13400を搭載。
最新チップセットのB760を採用し、電源は650W(80PLUS BRONZE)。
アクリルパネルでケース内部を魅せられるのもGALLERIAの魅力です。
パソコンショップセブン
最後はパソコンショップセブンのZEFT Gaming PC。
OS | Windows 11 Home |
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CPU | Core i5-13400 |
GPU | RTX 3060 |
メモリ | DDR4-3200 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 500GB NVMe SSD |
販売価格 | 187,800円~(消費税・配送料込) |
ケースはCoolerMasterのミドルタワー、Silencio S600を採用。
無線LANや光学ドライブも標準搭載。
自作PCからの買い替えの場合、「OSなし」で購入できるのも魅力です。
コスパはCore i5-12400の圧勝
だいぶモヤっとする最新CPUです。
Core i5-12400Fと比べてCINEBENCHなどのスコアは上がっていますが、約1万円の価格差を埋めるほどの価値はありません。
フォートナイトの平均フレームレートが20程度上がったところで、得られる体験は何も変わらないからです。
コストパフォーマンスでCPUを選ぶなら、記事執筆時点ではCore i5-12400Fを選ぶのがベストではないでしょうか。
「Core i5-12400Fが値上がりする」という噂もあるようですが、そうなると今度はRyzen 5 5600Xの価値が相対的に上昇して、さらにCore i5-13400Fの影が薄れます。
今のところCore i5-13400Fを選ぶべき理由がひとつも見当たらず、とても困惑中です。
最新パーツにこだわるか、コスパにこだわるかは人それぞれですから、自分自身が納得できるパーツを選んでください。