日本HPが販売するゲーミングPC、OMEN 45L Desktopをお借りしました。
機材貸出元:株式会社日本HP
Core i7-12700KとRTX 3080 Tiを搭載、4Kでも人気ゲームを快適にプレイできるモンスターマシンです。
ゲームはもちろん、ライブ配信や動画編集も1台でサクサクこなせるハイスペックモデルを探している方は、ぜひじっくりご覧ください。
OMEN 45L Desktopの概要と特徴
OMEN 45L Desktopがどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
冷却面が強化された個性的なケース
4Kでも人気ゲームをヌルヌルプレイ
1080p・60fpsで高画質配信も余裕
動画編集用パソコンとしても超優秀
ケースが巨大で重量も20kgオーバー
Apex Legendsやフォートナイトなどのゲームで、どれくらいフレームレートを出せるのか知りたい!という方はこちらからご覧ください。
スペック
今回お借りしたモデルの基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 11 Pro |
---|---|
CPU | Core i7-12700K |
GPU | GeForce RTX 3080 Ti |
メモリ | DDR4-3733MHz 32GB(16GB×2) |
ストレージ | 2TB NVMe SSD Gen4 |
販売価格 | 344,000円(消費税・配送料込) |
CPUとGPUの細かい情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。
メモリとストレージにも余裕があり、ゲームはもちろん動画編集などの用途でもゴリゴリに活躍してくれるパーツ構成です。
Core i9-12900KとRTX 3090を搭載したウルトラハイエンドモデルも販売中です。
パソコンの仕様および価格は時期によって変動します。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
40Lや25Lのレビュー
下位モデルにあたるOMEN 40L、OMEN 25Lも実機をお借りして詳しくレビューしました。
あわせてご覧いただくと、性能差がわかりやすいです。
ケース外観
ここからはOMEN 45L Desktopの外観をご紹介します。
簡易水冷CPUクーラーのラジエーターが独立分離したOMENチェンバー(特許取得済)を採用。
ほかのメーカーでは見られない独特なケースデザインで、冷却性能の高さが期待できます。
HPの公式サイトによると「キンキンに冷えたゲーミングマシン」とのこと。
正面から見て左側には強化ガラス製のサイドパネルを標準搭載。
電源をONにすると、ケース内部のライティングパーツが映えます。
仕様上の寸法は高さが約555mm、奥行きが約470mm、横幅が約204mmと大きく、重量も約22.6kgとヘビー級。
設置する際など、パソコンを持ち上げるときは腰を痛めないようにくれぐれも気をつけてください。
天面のメッシュパーツは簡単に着脱可能。
ホコリがたまってきた際など、掃除しやすいのは便利です。
底面にもメッシュパーツが採用されており、エアフローはとてもよさそうです。
LEDライティング
電源をONにすると、ケース前面の3連ファンなどが発光。
強化ガラスパネルが採用されていることもあり、非常に映えます。
ケースのライティングはプリインストールされている「OMEN Gaming Hub」から変更が可能。
色や発光パターンを好みに合わせてカスタマイズできます。
パソコンが光っていると気が散る、という方は設定でOFFにすることも可能。
アイドル状態が続くとライティングを自動でOFFにできたり、細かいところまで手が届くアプリです。
インターフェイス
電源ボタンなどは天面にあります。
- ヘッドホン
- マイク
- USB Type-A 5Gbps ×2
- USB 2.0 Type-A ×2
- 電源
左側のType-Aポートはバッテリーチャージ機能にも対応。
スマホやゲームパッド、外付けストレージなど、さまざまなものを接続できて便利です。
非常に大型なケースなので、机の上に設置すると抜き差しがやりづらいかもしれません。
独自のマザーボードが採用されていることもあり、背面の端子類は控えめです。
- USB 2.0 Type-A ×2
- SuperSpeed USB Type-A 5Gbps
- SuperSpeed USB Type-A 10Gbps
- SuperSpeed USB Type-C 5Gbps
- SuperSpeed USB Type-C 10Gbps
- ギガビットLANポート
- DisplayPort ×3
- HDMI ×1
Type-Cのポートが2つもあるのはとても便利です。
また、無線LAN(Wi-Fi 6、Bluetooth 5.0)も標準搭載。
ご家庭の都合で有線LANをつなげられない方も安心です。
オンラインゲームには有線でのネット接続を推奨します。
ケース内部
ケース内部はご覧の通り。
Micro-ATXに近しい、やや小さめのマザーボードが採用されています。
内部パーツへのアクセスは、ケース上部のボタンをワンタッチするだけ。
ドライバーなどの工具が不要で、ネジを紛失する心配もありません。
2.5インチ×2、3.5インチ×2のストレージを増設できるドライブベイも用意されており、拡張性も十分。
記事執筆時点では注文時のカスタマイズに対応していないようで、ストレージの増設は自身で改造する必要があります。
ケース内の各種ファンはハブで一括管理されているようです。
無線LANのカードも確認できました。
PCI Express Gen3 x4の空きスロットがひとつと、SATAも3つ空きがあります。
検証はしていませんが、キャプチャーボードなども増設できそうです。
水冷CPUクーラー
CPUクーラーは簡易水冷タイプを標準搭載。
仕様によるとCooler Master社製で、ラジエーターサイズは240mmとのこと。
4KでCyberpunk 2077のような重いゲームを動かしても、CPU温度は60度台をキープできていたので、冷却性能は申し分なし。
ライティングにも対応しています。
グラフィックカード
グラフィックカードはトリプルファンの大型タイプを搭載。
傾きやグラつきが発生しないよう、専用パーツでがっちりと固定されています。
グラボ交換は少々手間取りそうですが、サポートステイなどを別途買う必要がないのは便利です。
メモリ
メモリはHyperX社製の32GB(16GB×2)DDR4-3733MHzを採用。
動画編集などの用途で役立つほか、タルコフのようなメモリ消費の激しいゲームも快適に楽しめます。
ストレージ
M.2 SSDはグラボの裏側にあるため姿が見えませんが、仕様によるとWestern Digitalの WD_Blackが採用されている模様。
M.2 SSDの空きスロットもあり、2TBで足りない方は自身での増設をおすすめします。
必ずヒートシンクを使うように、と書かれています。
電源
電源はCooler Master社製の800W(80PLUS GOLD)が搭載されていました。
NVIDIAの公式サイトによると、RTX 3080 Ti搭載マシンの推奨電源は750Wなので多少余裕を持たせているようです。
記事執筆時点では注文時のカスタマイズは非対応。
OMEN 45L Desktopのベンチマーク
ここからはOMEN 45L Desktopの性能を、各種ベンチマークソフトを使用して数値化していきます。
まずはパソコンの総合的な性能をチェックするPC Mark10を試したところ、強烈なハイスコアをたたき出しました。
Digital Conent Creationのスコアが14,700というのは、当サイト史上No.1と思われます。
写真や動画の編集、事務仕事など、あらゆる用途をサックサクこなせます。
計測結果はいずれも当サイトで検証したものなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH
主なCPUをCINEBENCH R23のスコアで比較してみると以下の通り。
Core i7-12700K | |
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Ryzen 9 5900X | |
Core i5-12600K | |
Core i7-11700K | |
Core i5-12400F |
筆者のメインPC(Core i7-12700K)より若干スコアが高めです。
冷却性の高さがスコアに現れているのかもしれません。
Fire Strike
3DMarkのFire Strikeのスコアを比較すると以下の通り。
RX 6800 XT | |
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RTX 3080 Ti | |
RTX 3080 | |
RTX 3070 Ti | |
RX 6700 XT |
WQHDや4Kなどの高解像度モニターでも、人気ゲームをヌルヌル動かせるスコアです。
Crystal Disk Mark
Gen4対応のNVMe M.2 SSDが搭載されていることもあり、素晴らしい転送速度です。
書き出しは若干速度が落ちているものの、実用上気になることはほとんどないでしょう。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen4) | |
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NVMe M.2 SSD | |
SSD(SATA) | |
HDD |
オンラインゲーム
定番ベンチマークソフトを、それぞれ4KとフルHD解像度の最高設定で走らせました。
ゲームによって多少の調整は必要になりそうですが、4Kでも幅広いゲームを快適にプレイできそうです。
FF15
高品質 | 8280(快適) |
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高品質 | 16712(非常に快適) |
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FF14 暁月のフィナーレ
最高品質 | 16210(非常に快適) |
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最高品質 | 29392(非常に快適) |
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PCゲームのフレームレート検証
MSIのAfterburnerを使用して、人気ゲームの平均フレームレートを計測しました。
動画にもまとめているので、あわせてご覧いただくとよりわかりやすいです。
まずはフォートナイトとApex LegendsをフルHD解像度でプレイして、最高画質と低画質、それぞれ試した結果がこちら。
最高画質 | 156fps |
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競技設定 | 303fps |
最高画質 | 268fps |
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低画質 | 293fps |
フォートナイトのレンダリングモードは「DirectX11」で計測。
「パフォーマンス」に変えると、競技設定の平均フレームレートは400を超えます。
Apex Legendsは最高画質でも平均値が240を超え、低画質では300に張り付く場面も増えました。
ガチ勢の方も間違いなく納得できるであろう、素晴らしい性能です。
そのほかのゲームはすべて最高画質で検証しました。
Battlefield 2042 | 138fps |
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Call of Duty: Vanguard | 183fps |
Escape from Tarkov | 118fps |
VALORANT | 358fps |
Rainbow Six Siege | 416fps |
Battlefield 2042やタルコフのような重量級FPSゲームは、多少画質を落としたほうが快適です。
VALORANTでプロを目指すような方は、360Hzのモニターが欲しくなりそうです。
レイトレーシング性能
続いてレイトレーシング(DXR)に対応したゲームの平均フレームレートをチェックしました。
ゲームのグラフィック設定はすべて最高に設定しています。
Cyberpunk 2077 | 87fps |
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WATCH DOGS LEGION | 76fps |
FARCRY 6 | 112fps |
さすがはRTX 3080 Tiというべきでしょうか。
DXR ONの最高画質でも快適にプレイできます。
4K解像度での検証
4Kでも人気ゲームの平均フレームレートを検証しました。
対応ゲームはDLSS(Deep Learning Super Sampling)をONに設定、最高画質で検証した結果です。
フォートナイト | 80fps |
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Apex Legends | 170fps |
ELDEN RING | 60fps |
モンスターハンターライズ | 122fps |
原神 | 60fps |
マインクラフト | 105fps |
Cyberpunk 2077(DXR ON) | 75fps |
今回検証したゲームは、すべて平均60以上をキープできました。
Cyberpunk 2077のようなストーリーを楽しむタイプのゲームは4Kと相性が抜群。
バトロワ系ゲームを4Kでプレイする人はほとんどいないと思いますが、4Kの最高画質はグラフィックが非常に美しく、まるで別ゲームのように楽しめます。
VRゲームの動作検証
Oculus Quest 2を専用ケーブルでつないで、PC用のVRゲームを実際に動かしてみました。
Half-Life: Alyx | 70fps |
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Beat Saber | 68fps |
Half-Life: Alyxはグラフィックが重めですが、最高画質でもおおむね快適に動かせました。
Beat SaberはPCを使わずとも動かせる軽いゲームなので、サックサクに動作可能。
ヘッドマウントディスプレイがあれば、VRゲームも快適に楽しめます。
ゲーム実況の動画配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用、配信と同時に録画も実施です。
Apex Legendsでいろいろ試した結果、以下の設定でスムーズにライブ配信ができました。
ゲームの画質 | 最高 |
---|---|
出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア |
音声ビットレート | 128 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ハードウェア |
配信中もゲームのフレームレートは250前後をキープ。
高画質でライブ配信をしたい方にもおすすめです。
配信するゲームによってCPUやGPUの負荷は変わるため、ゲームに合わせて設定を工夫する必要があります。
アバター表示でも配信が可能
FaceRigを使用してアバターを表示させながら配信を試したところ、こちらも最高画質のままトラブルなく配信・録画ができました。
フレームレートは200前後にまで落ちるため、気になる方は多少ゲームの画質を落としたほうがよさそうです。
ハードウェアエンコードではGPUの負荷が高くなるため、配信または録画をソフトウェアエンコード(CPU)に変えてもいいかもしれません。
Webカメラなどの配信機材を整えれば、PC1台でVTuberとしてゲーム実況の配信も可能です。
アバターを表示するソフトや配信するゲームによってPCの負荷は変わります。
クリエイティブ用途の動作検証
続いて動画や写真の編集など、クリエイティブ用途でも快適に使えるかを検証しました。
ゲーム以外の用途でもサックサクです。
Premiere Proで動画編集
まずはAdobeのPremiere ProでYoutube動画の編集を試しました。
動画素材をカットしてつなげたり、テロップや効果音を加える程度の編集なら、処理の遅延を感じることはまったくありません。
After Effectsで演出を加えたり、4K動画の編集を考えている方も、ストレスなく作業できることでしょう。
4K動画の書き出し
参考までに、4K動画の書き出し時間を計測しました。
検証のために用意したのは、GoPro HERO7 Blackで撮影した4K 60fpsの動画データ。
書き出し条件とかかった時間は以下の通り。
H.264(Youtube 1080p FHD) | 3:19 |
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H.264(Youtube 2160p 4K UHD) | 3:07 |
一般的な薄型ノートパソコンだと40分以上かかることもザラなので爆速です。
動画編集マシンとしても抜群に優秀です。
LightroomでRAW現像
デジカメで撮影したRAWデータの書き出し速度もチェックしてみました。
有効画素数3,635万のRAWデータ100枚をLightroomで書き出したところ、かかった時間は1分3秒でした。
写真編集用マシンとしても、文句なしの性能です。
Lightroomの書き出し条件は以下で統一しています。
画像形式 | JPEG |
---|---|
画質 | 100 |
カラースペース | sRGB |
画像のサイズ | 未調整(撮影データそのまま) |
解像度 | 350 |
メタデータ | すべてのメタデータ (人物情報や撮影場所の情報は削除) |
非常に完成度の高いゲーミングPC
レビューのまとめとして、OMEN 45L Desktopの特徴をおさらいします。
冷却面が強化された個性的なケース
4Kでも人気ゲームをヌルヌルプレイ
1080p・60fpsで高画質配信も余裕
動画編集用パソコンとしても超優秀
ケースが巨大で重量も20kgオーバー
ケースの大きさ&重さに目をつぶれるなら、欠点と呼べそうなところがひとつもありません。
競技シーンを目指している方はもちろん、配信や動画編集に挑戦したい方にとっても、非常に心強い相棒になってくれることでしょう。
なかなか勇気のいる価格帯ではありますが、搭載されているスペック&性能を考えれば、素晴らしいコスパといえそうです。
性能の高さと見た目のカッコよさ、どちらも妥協したくない方は、OMEN 45L Desktopを検討してみてはいかがでしょうか。