PalitのRTX3070 GamingPro OC 8GBを購入しました。
このページでは、定番のベンチマークソフトや各種ゲームで検証したRTX3070の性能について詳しくまとめています。
グラフィックカードの買い替えやRTX3070を搭載したゲーミングPCの購入を検討している方は、ぜひご覧ください。
Palit RTX3070 GamingProの概要
今回購入したRTX3070はPalitのもの。
販売解禁後の翌日、ドスパラ秋葉原本店に足を運んでみたら、普通に売っていたので買ってきました。
RTX3080は販売解禁後から入手困難な状態が続いていますが、RTX3070は各メーカーともに在庫が潤沢なようで、一部の人気モデル以外は比較的スムーズに買えるようです。
まずはグラフィックカードのデザインやスペックなど、基本的な情報からお伝えします。
「そんなことよりベンチマークスコアが見たい!」
という方はこちらをご覧ください。
主なスペック
まずは主なスペックを表にまとめました。
ビデオメモリ | 8GB(GDDR6) |
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コアクロック | 1500MHz(ベースクロック) 1770MHz(ブーストクロック) |
メモリバス幅 | 256bit |
メモリスピード | 14Gbps |
占有スロット | 2.7 |
補助電源 | 8ピン ×2 |
サイズ | 294×112×60mm |
購入価格は税込みで70,950円。
GPU-Zの結果は以下の通り。
ビデオメモリはサムスン製のようです。
より詳しいスペックを知りたい方は、Palitの公式サイトをご確認ください。
RTX2070からRTX3090までの主なスペックを比較すると以下の通り。
RTX3090 | RTX3080 | RTX3070 | RTX2080 | RTX2070 | |
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製造プロセス | 8nm | 12nm NFF | |||
CUDAコア | 10496 | 8704 | 5888 | 2944 | 2304 |
クロック | 1.40~ 1.70GHz | 1.44~ 1.71GHz | 1.50~ 1.73GHz | 1515~ 1710GHz | 1410~ 1620GHz |
メモリタイプ | GDDR6X | GDDR6 | |||
メモリ容量 | 24GB | 10GB | 8GB | ||
メモリバス幅 | 384bit | 320bit | 256bit | ||
TDP | 350W | 320W | 220W | 215W | 175W |
推奨電源 | 750W | 650W | 550W |
RTX2070の後継機という位置づけですが、RTX2080をしのぐスペックです。
デザイン
Palit RTX3070 GamingPro OC 8GBはトリプルファンで、仕様上の寸法は294×112×60mm。
長さはほぼ30cmなので、小さめのケースだと入りきらない可能性があります。
RTX3070はツインファンモデルも各メーカーから販売されているので、ケースに合わせて最適なモデルを選びましょう。
側面から見ると、分厚さが際立ちます。
手持ちのRTX3080、RTX2080と比較してみました。
RTX3080は玄人志向(GALAKURO GAMING)のもの、RTX2080はMSIのRTX2080 GAMING TRIO。
MSIのRTX2080 GAMING TRIOがデカすぎただけと思いますが、こうやって比べてみるとPalitのRTX3070 GamingProはスリムに見えます。
出力端子
出力端子は以下の通り。
- HDMI 2.1 ×1
- DisplayPort 1.4a ×3
最大4画面まで出力可能で、最大解像度は7,680×4,320(8K)に対応しています。
USB Type-Cは非搭載。
ケースに設置した例
実際に筆者のメインPCに設置してみた様子がこちら。
実測で約1kgあるので、そのままだと若干傾きます。
筆者は長尾製作所のVGAサポートステイ(マグネットタイプ)を愛用。
Amazonで1,700円くらいで買えて安定感も抜群なので非常におすすめです。
側面から見るとPalitのロゴなどもなく、あっさりとした印象。
悪く書いてしまうと地味です。
縦置きにすると印象が変わると思いますが、ライザーケーブルは非所持のため今後気が向いたら試します。
ソフトウェアによる設定
Palit RTX3070 GamingPro OC 8GBは、専用ソフトウェア(ThunderMaster)に対応。
オーバークロックやファンの回転の制御など、細かく調整できます。
ハードウェアのモニタリングにも対応しているので、インストールしておくことをおすすめします。
ThunderMasterはPalitの公式サイトからダウンロードできます。
オーバークロックが原因で故障した場合、保証対象外になる可能性があります。くれぐれも慎重に判断してください。
ライティングのサンプル
パソコンの電源をONにすると、こんな感じ。
中身が見えやすいように、ガラスパネルを外して撮影しています。
控えめながらライティング機能も搭載していて、ThunderMasterから好みの色や発光パターンを選択可能。
プリセットは少なめで、複雑なライティングには対応していません。
個人的にはもう少し光ってほしいところですが、これはこれで悪くありません。
ライティングはOFFにもできるので、好みに合わせて判断してください。
RTX3070のベンチマーク結果
ここからは定番ベンチマークソフトをはじめ、各種ゲームでRTX3070の性能を細かくチェックしていきます。
検証で使用したパソコンのパーツ構成は以下の通り。
CPUやメモリはオーバークロックせず、すべて定格で動かしています。
ケース | Fractal Design Define R6 |
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CPU | Intel Core i9-9900K |
マザーボード | MSI MEG Z390 ACE |
メモリ | 64GB(DDR4-2666、16GB×4) CORSAIR VENGEANCE LPX |
電源 | CORSAIR HX1200i(80PLUS PLATINUM) |
「CPUが第9世代じゃねーか!」
というクレームがくると思いますので先に土下座しておきます。
Core i9-9900KからCore i9-10900Kに変えるのは、さっぱり魅力を感じなかったんだと言い訳させてください。
第11世代にはちょっとだけ期待しています。
掲載しているスコアは、いずれも筆者のPCで検証した結果です。あくまで参考程度にご覧ください。
3D Mark
まずは超定番、3D Markの各種ベンチマークを試した結果をご紹介します。
Time Spy
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 | |
RTX2070 |
なんとも順当なスコアです。
Fire Strike
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 | |
RTX2070 |
以前、お借りしたPC(GALLERIA ZZ)で検証したRTX2080 Tiのスコアは24,352でした。
「RTX3070の性能はRTX2080 Tiを上回る!」
という前評判は嘘ではなかったようです。
Port Royal
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 | |
RTX2070 |
レイトレーシングの性能は差が大きく出ています。
定番ベンチマーク
続いてこちらも定番のFF15とFF14のベンチマークソフトを試しました。
FF15
高品質 | 5,819(やや快適) |
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標準品質 | 7,125(快適) |
軽量品質 | 9,307(とても快適) |
高品質 | 12,186(非常に快適) |
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標準品質 | 15,733(非常に快適) |
軽量品質 | 17,121(非常に快適) |
フルHDなら高品質で「非常に快適」をたたき出せますが、4Kではさすがにスコアがダウン。
それでも標準品質なら「快適」に動かせます。
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 | |
RTX2070 |
FF15クラスの重いゲームを4Kでサクサク動かしたいなら、RTX3080の使用を推奨します。
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 | |
RTX2070 |
4Kと比較すると、フルHDではRTX30シリーズのスコアがあまり伸びていないことがわかります。
FF14
4K | 10,858(非常に快適) |
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フルHD | 19,846(非常に快適) |
FF14はそこまで重くないゲームなので、4Kでもサックサク動かせます。
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 | |
RTX2070 |
4Kの高解像度モニターで光の戦士になりたいなら、RTX3070はひとつの最適解になるでしょう。
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 | |
RTX2070 |
FF15と同じく、フルHDでは各グラボの差が縮まっています。
FPS・TPSゲーム
ここからは実際にいくつかのゲームをプレイして、フレームレートの平均値を算出しました。
いずれも各ゲームの最高画質に設定して、フルHD解像度のゲーミングモニター(リフレッシュレート240Hz)を使用。
まったく同じ条件で検証したわけではないので、誤差が含まれるものとご理解ください。
Apex Legends
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 |
Apex LegendsはRTX30シリーズと相性が良いようで、グラボの性能と比例してフレームレートも伸びました。
240Hzのゲーミングモニターの性能を最大限に引き出せます。
フォートナイト
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 |
フォートナイトもフレームレートは伸びていますが、差は小さめ。
DXR(レイトレーシング)はOFFで検証しています。
PUBG
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 |
PUBGに関してはRTX2080とほぼ同じスコアでした。
マップによってフレームレートが変動するので、状況が変わればもう少し伸びたかもしれません。
VALORANT
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 |
VALORANTはフレームレートが300を超える場面も多く、非常に快適にプレイ可能。
360Hzクラスのゲーミングモニターが欲しくなります。
4KやWQHDの高解像度
続いてWQHD(2,560×1,440)、4K(3,840×2,160)の高解像度でそれぞれゲームをプレイしました。
いずれも最高画質で、DLSS(Deep Learning Super Sampling)もONにしています。
フォートナイト
FHD | |
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WQHD | |
4K |
フォートナイトは4Kの最高画質でも120前後のフレームレートを出せました。
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 |
フォートナイトのようなシューターゲームを4Kでプレイする人は少数派だと思いますが、カクつきを感じることなく、快適にプレイできます。
モンスターハンターワールド:アイスボーン
FHD | |
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WQHD | |
4K |
モンハンワールドはHigh Resolution Texture PackもONにした状態でテスト。
同一のフリークエストを同一装備で周回したところ、4Kでも60前後をキープできました。
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 |
RTX2080では超えられなかった4Kかつ60fpsの壁を、ついに突破できました。
レイトレーシング性能
ここからはRTX30シリーズの目玉ともいえる、レイトレーシングに注目して各種ゲームを試しました。
Bright Memory RTX Benchmark
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 |
掲載しているスコアは以下の設定で試したときの平均フレームレートです。
- 解像度:フルHD
- RTX Quality:Very High
- DLSS:Quality
順当なスコアといえそうです。
フォートナイト
RTX3080 | |
---|---|
RTX3070 | |
RTX2080 |
9月のアプデでフォートナイトもDXRに対応したのでテストしました。
フルHDで試したためか、スコアは伸びてはいるものの、差はわずかです。
Battlefield V
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 |
激重FPSゲームのBattlefield Vは、DXR ONでも120近いフレームレートを出せました。
CoD:BOCWも後日検証予定です。
WATCH DOGS LEGION
FHD | |
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WQHD | |
4K |
WATCH DOGS LEGIONはベンチマークモードをテストした結果です。
最大負荷で試したところ、フルHDとWQHDではスコアに差が出ず。
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 |
もっといろいろ検証してみる必要はありますが、RTX30シリーズは高解像度になるほどスコアが伸びやすいようです。
ゲーム実況・ライブ配信
最後にOBSで配信と録画を試して、フレームレートがどれくらい落ち込むかを検証しました。
OBSの出力解像度はフルHD、フレームレートは60、エンコードはハードウェアに設定しています。
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 |
Apex Legendsは若干フレームレートが下がるものの、Twitchで配信しながらでも180前後のフレームレートを維持できました。
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 |
モンハンワールドも100前後のフレームレートをキープ。
パソコン1台で、快適にライブ配信が可能です。
ゲームプレイ中の消費電力
CORSAIRの「iCUE」でHX1200iの電源入力ログを5秒間隔で10分間取得し、Apex LegendsをフルHDモニターでプレイ中の消費電力を計測。
300から500Wあたりで大きく変動していますが、平均値としては383Wでした。
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 |
これはRTX3070単体の消費電力ではなく、検証用PC全体での消費電力です。
搭載するCPUやその他パーツによって最適な電源容量は変わりますが、700~800W前後のものであれば安心と思われます。
RTX3070を安く購入するコツ
今回の検証結果を見る限り、RTX3070はRTX2080を超えた、と書いても怒られることはないでしょう。
筆者はMSIのRTX2080 GAMING TRIOを125,755円で購入したので、約7万円で買えるグラボに負けてしまうのは、少々複雑な気持ちではあります。
フルHDではRTX2080とあまり差がないゲームもありましたが、RTX3070のコスパが素晴らしいという事実は揺らぎません。
ここからはRTX3070はどこで買うとお得なのか、について簡単にまとめておきます。
グラフィックカード
RTX3070のグラボを買うなら、真っ先に検討したいのはPCショップ。
関東なら秋葉原、関西なら日本橋など、馴染みのお店がある方は、まずは足を運んでみてはいかがでしょうか。
筆者も今回は秋葉原のドスパラで買いました。
とはいえ、お住まいの地域によっては「近所に安く買える店がない!」という方もいるでしょう。
ネット通販でグラフィックカードを買うときのおすすめショップを表にまとめました。
TSUKUMO | 品ぞろえが豊富で梱包も恐ろしく丁寧。 都内だと注文の翌日に届くのも魅力。 PCパーツを買うときの信頼度は抜群です。 |
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パソコン工房 | TSUKUMOに負けないレベルの品ぞろえ。 お住まいの近くにパソコン工房の店舗があれば 何かあったときすぐ相談できるのも魅力。 |
ark(アーク) | 秋葉原の老舗パソコン専門ショップ。 梱包の丁寧さやサポート面は完璧ですが、 品ぞろえと発送スピードではやや劣る印象。 |
ドスパラ | ゲーミングPCのGALLERIAでおなじみ。 Palitのグラボはドスパラ専売。 モバイル会員になっておくといろいろお得。 |
Amazon | 品ぞろえと発送の速さ、カスタマーレビューの 件数では圧倒的。簡素すぎる梱包が最大の弱点。 精密機器の購入はちょっと怖い。 |
楽天市場 | 品ぞろえはAmazonに負けないが、 梱包や発送スピードはショップ次第。 楽天ポイントを使えるのが最大の強み。 |
楽天で買うときはビックカメラやJoshinなど、有名量販店なら発送が速くて梱包も丁寧なのでおすすめです。
ゲーミングパソコン
グラフィックカードではなく、RTX3070を搭載したゲーミングPCの購入を考えている方もいるでしょう。
コスパの高いBTOメーカーの最安モデルを表にまとめました。
パソコン工房 | TSUKUMO | フロンティア | ドスパラ | |
---|---|---|---|---|
モデル | LEVEL-R049 iX4-TAX | GA5J-D203/T | GAシリーズ | GALLERIA XA7R-R37 |
CPU | Core i5-10400 | Core i5-10400F | Core i7-10700F | Ryzen7 3700X |
GPU | GeForce RTX3070 | |||
メモリ | 16GB(8GB×2) | |||
ストレージ | 500GB NVMe SSD | 500GB NVMe SSD | 1TB NVMe SSD 2TB HDD | 512GB NVMe SSD |
電源 | 700W 80PLUS BRONZE | 750W 80PLUS GOLD | 850W 80PLUS GOLD | 650W 80PLUS BRONZE |
販売価格 | 143,980円~ | 154,800 円~ | 155,800円~ | 185,980円~ |
公式サイト | 詳しく見る | 詳しく見る | 詳しく見る | 詳しく見る |
今のところ最安はパソコン工房ですが、CPUがCore i5なのが気になります。
RTX3070搭載モデルは今後も各社からいろいろ出てくると思いますが、現時点でのおすすめはフロンティア。
価格やスペックだけでなく、納期やアフターサポートなども考慮しながら、あなたに合ったメーカーを選びましょう。
RTX3070のレビューまとめ
今回はPalitのRTX3070 GamingPro OC 8GBの性能を細かく検証してみました。
RTX20シリーズからの着実な進化を実感できて、これが7万円前後で買えるのはとてもお買い得に思えます。
GTX10シリーズのユーザーなら、間違いなく大幅な性能アップを実感できることでしょう。
レイトレーシング対応ゲームも最高画質のまま快適に動かせますし、FPSゲームも高フレームレートでプレイ可能。
ただし、4Kで高フレームレートを味わいたいなら、RTX3080を視野に入れたほうが良いように思います。
ゲームによって評価は変わるものの、フルHD~WQHDならRTX3070で十分快適かな、という印象です。
予算や求める性能に合わせて、納得のいくグラフィックカードを選んでください。