日本HPが販売するゲーミングノート、OMEN 17をお借りしました。
機材貸出元:株式会社日本HP
17.3インチと大型の筐体に、Core i7-11800HとRTX 3070 Laptopを搭載したハイスペックゲーミングノートです。
ノートでもデスクトップに負けないくらいPCゲームをやりこみたい方は、ぜひご覧ください。
OMEN 17の概要と特徴
OMEN 17がどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
17.3インチの大画面でゲームを楽しめる
1080p・60fpsでライブ配信もこなせる
ゲーム起動中も冷却ファンの音が控えめ
ACアダプターが大きすぎる
キーボードが英語配列のみ
Apex Legendsやフォートナイトなどのゲームで、どれくらいフレームレートを出せるのか知りたい!という方はこちらからご覧ください。
スペック
今回お借りしたモデレートモデルの基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 11 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Core i7-11800H |
GPU | RTX 3070 Laptop |
メモリ | 16GB (8GB×2) DDR4-3200MHz |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
販売価格 | 234,000円(消費税・配送料込) |
CPUとGPUの細かい情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。
メモリとストレージも必要十分な容量を搭載。
PCゲームはもちろん、動画や写真編集などの用途でも活躍します。
ゲーミングPCの仕様や価格は時期によって変動します。最新情報は必ず公式サイトにてご確認ください。
デザイン・大きさ
ここからはOMEN 17のデザインをチェックしていきます。
シャドウブラックの天面にOMENのロゴのみというシンプルなデザイン。
ゲーミングノートとしては、やや控えめなデザインともいえそうです。
仕様上の寸法は397.1×262×29.5mmで、ビジネス向けの薄型ノートPCと比べると非常に大きく感じます。
一般的なクリアファイルと比べると、大きさが伝わりやすいでしょうか。
底面は排熱のためにところどころメッシュ状になっています。
筐体が大きいこともあってか、冷却ファンの回転音は比較的静か。
ゲーミングノートにとってケース内部の冷却は非常に重要なので、吸排気部分をふさがないように要注意です。
重量は実測で約2.9kgでした。
据え置きで使う分には気になりませんが、持ち歩きには向いていません。
ACアダプター
ACアダプターは330Wの超・高出力タイプが付属。
今までたくさんのゲーミングノートをレビューしてきましたが、ここまで巨大なACアダプターは初めて見ました。
最近増えてきている、ミニPCくらいの大きさです。
ゲーミングノートを初めて買う方だと、あまりの大きさに驚きそうです。
重量はケーブル込みで約1.2kg。
仕様上のバッテリー駆動時間は最大5時間とそれなり。
ハイスペックPCは消費電力が激しいため、基本的にACアダプターは必須と考えたほうが良いでしょう。
PCとACアダプターの総重量は4kgを超えました。
当サイトでレビューしてきたゲーミングノートのなかで、間違いなくトップレベルの重さです。
インターフェイス
ここからは各種インターフェイスを見ていきます。
まずは本体の左側から。
- 電源コネクタ
- 有線LAN
- SuperSpeed USB Type-A 5Gbps
- Mini DisplayPort
- HDMI 2.1
- Thunderbolt 4 with USB 4 Type-C 40Gbps
- ヘッドフォン・マイク コンボポート
- SDカード
映像出力端子がHDMIにMini DisplayPortと豊富なほか、USBはいずれも電源OFF時のUSBチャージに対応。
Type-CはThunderbolt 4にも対応しています。
右側はType-Aポートが2つのみとシンプル。
- SuperSpeed USB Type-A 5Gbps ×2
背面にポート類は何もありません。
Wi-Fi 6とBluetooth5.0も標準搭載されています。
キーボード
キーボードは光学検出機能付きメカニカルスイッチで、日本語配列でないという点に要注意。
貸出機だけかと思っていましたが、製品版も英語配列のようです。
17.3インチのノートPCとしては珍しくテンキーレス。
ネチっと粘りのある打鍵感で、薄型ノートPCのキーボードに慣れている方だと最初は違和感があると思います。
OMEN Gaming Hubや電卓などの独自キーがファンクションキーと並んで配列されているのも特徴的。
バックライトも搭載していますが、貸出機はOMEN Gaming Hubがどう頑張っても起動せず、どのようにカスタムできるか確認できていません。
公式サイトを見る限り、七色に光らせたりできるようです。
タッチパッドは一体型でさらさらとした質感です。
指紋認証などの機能は非搭載。
ディスプレイ
ディスプレイは17.3インチワイドのQHD(2,560×1,440)解像度で、リフレッシュレートは165Hz。
ふちの薄いナローベゼル仕様かつノングレア(非光沢)、さらにIPSパネルが採用されており、とても見やすいです。
約92万画素のWebカメラも搭載しており、オンライン会議や顔出しでのライブ配信などで使えます。
画質や画角にこだわる方は、外付けのWebカメラを別途用意したほうが良いでしょう。
ディスプレイは最大でここまで開きます。
sRGBカバー率は約98%
ディスプレイの色域をi1 Display Proでチェックしたところ、sRGBカバー率は約98.3%、AdobeRGBカバー率が約75.2%でした。
sRGB比は101%と、ゲーミングノートとしては非常に広い色域です。
ディスプレイサイズが大きいこともあり、動画や写真の編集、イラストなどの用途でも活躍してくれることでしょう。
OMEN 17のベンチマーク
ここからはOMEN 17の性能を、各種ベンチマークソフトを使用して数値化していきます。
今回の貸出機はOMEN Gaming Hubが起動せず、100%のパフォーマンスを発揮できていない可能性があります。
あくまで参考程度にご覧ください。
まずはパソコンの総合的な性能をチェックするPC Mark10を試した結果がこちら。
ゲームはもちろん、ExcelやWordなどの事務作業、各種クリエイティブ用途もサックサクにこなせるスペックです。
CINEBENCH R23
主なCPUをCINEBENCH R23のスコアで比較してみると以下の通り。
Core i7-11700K | |
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Core i5-12400F | |
Core i7-11800H | |
Ryzen 5 5600X | |
Core i5-11400F |
ノートPC向けのCPUとしてはトップレベルのスコアですが、若干控えめに出ています。
Fire Strike
3DMarkのFire Strikeのスコアを比較すると以下の通り。
RTX 3060 Ti | |
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RTX 3080 Laptop | |
RTX 3070 Laptop | |
RTX 3060 | |
RTX 3060 Laptop |
デスクトップ向けのRTX 3060を少し上回る程度でした。
ノートPC向けRTX 3070の性能としては標準的ですが、330Wの巨大ACアダプターを使用してこのスコアだと、やや物足りなさも感じます。
Crystal Disk Mark
ストレージの転送速度はGen4らしい素晴らしいスコアです。
書き出しは大幅に速度が落ちているものの、実用上気になることはほとんどないでしょう。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen4) | |
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NVMe M.2 SSD | |
SSD(SATA) | |
HDD |
オンラインゲーム
定番のベンチマークソフトをフルHD解像度の設定で走らせました。
重量級ゲームのFF15が最高画質で「とても快適」、FF14は「非常に快適」という結果でした。
グラフィックの重いゲームをプレイするなら、多少画質を調整したほうがいいかもしれません。
FF15
高品質 | 10237(とても快適) |
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標準品質 | 13593(非常に快適) |
軽量品質 | 16507(非常に快適) |
FF14 暁月のフィナーレ
最高品質 | 19795(非常に快適) |
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PCゲームのフレームレート検証
MSIのAfterburnerを使用して、人気ゲームの平均フレームレートを計測しました。
まずはフォートナイトとApex LegendsをフルHD解像度でプレイした結果がこちら。
最高画質 | 105fps |
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競技設定 | 236fps |
最高画質 | 115fps |
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低画質 | 204fps |
フォートナイトのレンダリングモードは「DirectX11」で計測。
「パフォーマンス」の競技設定では平均フレームレートが330前後まで伸びました。
Apex Legendsも画質を落とせば200前後で安定。
ディスプレイのリフレッシュレートが165Hzなので十分な性能です。
そのほかのゲームはすべて最高画質で検証しました。
Battlefield 2042 | 86fps |
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Call of Duty: Vanguard | 114fps |
Escape from Tarkov | 97fps |
VALORANT | 321fps |
Rainbow Six Siege | 372fps |
Battlefield 2042やタルコフのような重量級FPSゲームは、多少画質を落としたほうが快適です。
VALORANTで競技シーンを目指すような方は、240Hz以上のゲーミングモニターにつなげてプレイしてもよさそうです。
レイトレーシング性能
続いてレイトレーシング(DXR)に対応したゲームの平均フレームレートをチェックしました。
解像度はフルHD、ゲームのグラフィック設定はすべて最高に設定しています。
Cyberpunk 2077 | 57fps |
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WATCH DOGS LEGION | 34fps |
FARCRY 6 | 98fps |
DXR ONでもそれなりにプレイ可能ですが、WATCH DOGS LEGIONのような極めて重たいゲームは、多少画質を落としたほうがよさそうです。
高解像度(WQHD)での検証
WQHDの高解像度でも人気ゲームの平均フレームレートを検証しました。
対応ゲームはDLSS(Deep Learning Super Sampling)をONに設定、最高画質で検証した結果です。
フォートナイト | 78fps |
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Apex Legends | 89fps |
ELDEN RING | 58fps |
モンスターハンターライズ | 106fps |
原神 | 60fps |
フォートナイトやApex LegendsはWQHDでも平均60以上をキープできましたが、あえてWQHDでプレイするメリットはありません。
アクション系のゲームやMMOはWQHDと相性が良く、高解像度で高画質なグラフィックを楽しめます。
ELDEN RINGはグラフィックが重いため、場面によっては若干カクつくことがあるかもしれません。
ライブ配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用、配信と同時に録画も実施です。
Apex Legendsでいろいろ試した結果、以下の設定でトラブルなく配信・録画ができました。
ゲームの画質 | 低 |
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出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア |
音声ビットレート | 128 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ハードウェア |
配信&録画中もフレームレートは190前後をキープ。
配信するゲームによって設定を変える必要はありそうですが、ノートPC1台でもストリーマーとして活動できます。
クリエイティブ用途の動作検証
続いて動画や写真の編集など、クリエイティブ用途でも快適に使えるかを検証しました。
ゲーム以外の用途でもサックサクです。
Premiere Proで動画編集
まずはAdobeのPremiere ProでYoutube動画の編集を試しました。
動画素材をカットしてつなげたり、テロップや効果音を加える程度の編集なら、ストレスを感じることなくサクサク作業できます。
4K動画の編集に挑戦したり、動画編集に力を入れるならメモリは32GBに増設しておきたいですが、記事執筆時点では注文時のカスタマイズに対応していません。
4K動画の書き出し
参考までに、4K動画の書き出し時間を計測しました。
検証のために用意したのは、GoPro HERO7 Blackで撮影した4K 60fpsの動画データ。
書き出し条件とかかった時間は以下の通り。
H.264(Youtube 1080p FHD) | 22:17 |
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H.264(Youtube 2160p 4K UHD) | 13:03 |
一般的な薄型ノートパソコンだと40分以上かかることもザラなので、まずまずといったところ。
動画編集マシンとしても活躍するでしょう。
LightroomでRAW現像
デジカメで撮影したRAWデータの書き出し速度もチェックしてみました。
有効画素数3,635万のRAWデータ100枚をLightroomで書き出したところ、かかった時間は1分31秒でした。
ノートPCとしてはトップレベルの書き出し速度です。
ディスプレイの色域も広く、写真が趣味の方にも使いやすいマシンといえそうです。
Lightroomの書き出し条件は以下で統一しています。
画像形式 | JPEG |
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画質 | 100 |
カラースペース | sRGB |
画像のサイズ | 未調整(撮影データそのまま) |
解像度 | 350 |
メタデータ | すべてのメタデータ (人物情報や撮影場所の情報は削除) |
据え置き専用のハイスぺノート
レビューのまとめとして、OMEN 17の特徴をおさらいします。
17.3インチの大画面でゲームを楽しめる
1080p・60fpsでライブ配信もこなせる
ゲーム起動中も冷却ファンの音が控えめ
ACアダプターが大きすぎる
キーボードが英語配列のみ
OMEN Gaming Hubが起動しないトラブルはあったものの、性能面はおおむねスペック通り。
ゲーム以外の用途でも活躍するポテンシャルは十二分にありますが、英語配列のキーボードがネックになりそうです。
また、持ち歩くことを前提に考えている方は、サイズが小さめのOMEN 16を選ぶことをおすすめします。(OMEN 16もやや大きめですが)
車移動ならまだしも、4kg越えのPCを持ち歩くのは筋トレみたいなものです。
据え置き用のハイスペックPCを探しているなら、OMEN 17を検討してみてはいかがでしょうか。