フロンティアで販売中のゲーミングPC、GAシリーズを購入しました。
Ryzen 5 5600XとRTX 4060 Tiを搭載しながら、14万円でお釣りがくる激安モデル。
予算15万円以下でコスパの高いゲーミングPCを探している方におすすめな1台です。
性能や課題点などをわかりやすくまとめました。
GAシリーズ(FRGAG-B550)の概要
今回購入したGAシリーズ(FRGAG-B550)がどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
14万円で買えるのはあまりに安すぎ
マザーボードが上下逆転の独自構造
幅広いゲームを最高画質で楽しめる
PC1台でVTuberとして活動も可能
リテールクーラーは性能がそれなり
USB Type-Cポートがひとつもない
基本的なスペックからケースの構造、実際に人気ゲームを動かして計測したフレームレートまで、順に詳しくご説明します。
スペック
OS | Windows 11 Home 64ビット |
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CPU | Ryzen 5 5600X |
GPU | GeForce RTX 4060 Ti |
メモリ | DDR4-3200 16GB(8GBx2) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
販売価格 ※税・送料込 | 139,100円 |
CPUやGPU、メモリの細かいスペックはこちらをご覧ください。
CPUは最新世代ではないものの、今の基準で考えてもゲーム用途では素晴らしい性能を発揮してくれます。
メモリとストレージも必要十分な容量を搭載。
動画編集などの用途でもPCをフル活用するなら、注文時のカスタマイズで増設しておくことをおすすめします。
フロンティアのセール品は仕様と価格がほぼ毎週変動します。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
ケース外観
ケースはATX規格のミドルタワーで、注文時にブラックとホワイトを選択可能。
どちらを選んでも料金は変わらないので、今回は清潔感のあるホワイトを選んでみました。
すっきりとしたデザインで、いい意味でゲーミングらしさがありません。
寸法は高さが約457mm、奥行きが約465mm、横幅が約210mm。
全面スチールパネルでケース内部は一切見えず、ガラスパネルなどのオプションも用意されていません。
電源をONにすると、入出力端子の近くが控えめに赤く光ります。
天面の防塵フィルターはマグネット式で簡単に着脱可能。
欲を言えば、フィルターも白で統一してほしかったところ。
ほこりがたまってきたとき、ササっと掃除ができるのは便利です。
電源直下の防塵パネルはスライド式。
パソコンを床に設置するとほこりがたまりやすいので、数ヶ月に1回くらいは掃除することをおすすめします。
フロントパネルも簡単に着脱可能。
取り外す際は少しばかりパワーが求められますが、配線は何もつながっていないのでご安心を。
インターフェイス
ケース前面の入出力端子は以下の通り。
- USB Type-A 2.0 ×2
- USB Type-A 3.2 Gen1 ×2
- ヘッドセット(4極ミニプラグ)
- 電源
写真右側の黒い丸ボタンが電源です。
USBポートが4つあると、ゲームパッドや外付けストレージなど、さまざまなものを接続できて便利です。
背面の主な入出力端子は以下の通り。
- PS/2(キーボード・マウス) ×1
- USB Type-A 3.2 Gen1 ×6
- ギガビットLAN ×1
- HDMI ×1
- Display Port ×3
Type-Cのポートがひとつもないのは少々残念なポイント。
また、標準仕様では無線でインターネットにつなげられません。
家庭の都合で有線での接続ができない方は、事前に対策を考えておきましょう。
梱包から取り出すと、ディスプレイと接続する方法についての注意書きが貼ってありました。
PC初心者の方が間違いやすいポイントですから、親切な対応です。
この後ご説明しますが、マザーボードの天地が逆転しているため、一般的なゲーミングPCとは端子の向きが異なります。
まるで北斗の拳に登場するサウザーのようです。
ケース内部
GAシリーズ最大の特徴がケースの内部構造。
マザーボードとグラボが上下逆に取り付けられています。
公式サイトの説明を引用すると以下の通り。
発熱量の大きいパーツ(グラフィックスカード・CPU・電源)をそれぞれ効率的に排熱する設計となっています。
最大の熱源となるグラフィックスカードをケース上部にレイアウトし、上面から外気を大きく取り込み側面のパンチホールから熱を逃しやすくすることで、他パーツへの熱干渉を最大限抑えつつ高い冷却効果が得られます。
ケースのエアフローをざっくりと図にまとめてみました。
今回はCPUクーラーが空冷ですが、簡易水冷クーラーを使用した場合、グラボとラジエーターそれぞれに冷たい風を送れるのが最大のメリット。
ケース側面からも熱された空気が逃げていく構造です。
ただ240mm以上の大型ラジエーターは取り付けられないため、Core i9クラスのハイエンドCPUをフルパワーで運用するのは厳しいと思われます。
配線は表側のみで完結しており、裏側に配線は一切ありません。
カラフルな電源ケーブルがやや目立つものの、中身が見えるケースではないので気にする必要はないでしょう。
ケースファンは前面に2台と、背面に1台。
ケースメーカーとして有名なPhanteks(ファンテックス)の120mmファンが採用されていました。
光学ドライブを搭載できるスペースも確認できました。
パソコンでDVDなどを見たい方は、注文時のカスタマイズで増設が可能です。
2.5インチ×2を増設できるシャドウベイも用意されています。
3.5インチはケース底面にネジで固定する仕組みで、最大1台まで。
電源ケーブルが結束バンドでガチガチに固定されているため、ハードディスクを底面に取り付ける際は一旦ケーブルをばらす必要があります。
また、マザーボードと接続するためのSATAケーブルは同梱されておらず。
自身でストレージを増設する際は、SATAケーブルも購入する必要があります。
パソコンの扱いに慣れていない方は、注文時のカスタマイズで増設したほうが無難です。
マザーボード
マザーボードはASRockのB550 Phantom Gaming 4を採用。
ATX規格のマザーボードで、見た目で判断する限り市販品とちがいはないように思います。
PCIeやM.2の空きスロットもあり、拡張性は申し分なし。
実際に試してはいませんが、内蔵型のキャプチャーボードなども搭載できそうです。
CPUクーラー
CPUクーラーはRyzen 5 5600Xに付属するリテールクーラー。
冷却性能と静音性はそれなりなので、予算に余裕がある方は注文時にカスタマイズすることを推奨します。
グラフィックカード
グラフィックカードはPalitのGeForce RTX 4060 Ti StormX 8GBと思われるものが搭載されていました。
今回は貸出ではなく自費購入なので、グラボを取り外してチェック。
PalitといえばドスパラのGALLERIA、というイメージが強い方も多いのではないでしょうか。
最近は日本国内での販路を広げているのか、フロンティアをはじめ、他社製品でもチラホラ見かける機会が増えています。
シングルファンゆえに仕方ありませんが、ゲーム起動中など、ファンの音はやや大きめ。
ケース内部には大型グラボを支えるための専用ステーも用意されています。
実際にトリプルファンのグラボ(GIGABYTE GeForce RTX 3060 VISION OC 12G)を取り付けてみました。
グラボステーは3つのネジでがっちりと固定でき、グラボの幅に合わせて微調整も可能。
30cmを超える巨大グラボも安心して使えそうです。
パーツの改造で万が一トラブルが起きた場合、メーカー保証を受けられない可能性があります。
メモリ
メモリはヒートスプレッダ非搭載のシンプルなものが2枚。
CPU-Zで読み取った情報によると、Samsung製のパーツが搭載されているようです。
取り外してみると、メモリそのものはKingston製でした。
ゲームがメインなら16GBでメモリ不足を感じる場面は滅多にないものの、動画編集などで必要性を感じたら32GBに増設しても良いでしょう。
空きスロットは2つあるため、4枚刺しも可能です。
ストレージ
M.2 SSDはグラボの真裏にあるため、姿が見えません。
CrystalDiskInfoで読み取った情報は以下の通り。
メモリと同じくKingston製のようです。
グラボとヒートシンクを取り外してご対面。
標準仕様で1TBと十分な容量が搭載されていますが、ゲームをたくさんインストールしたり、動画素材をたくさん保存したい方はカスタマイズで増設がおすすめです。
電源
電源は600W(80PLUS BRONZE)を搭載。
NVIDIAの公式サイトによると、RTX 4060 Ti搭載マシンのシステム電力要件は550Wなので容量不足の心配はありません。
後々CPUやグラボのアップデートなどを考えているなら、大容量電源にカスタムしておくのがおすすめです。
GAシリーズ(FRGAG-B550)の性能
ここからは各種ベンチマークソフトを使用して、フロンティアのゲーミングPC(FRGAG-B550)の性能を数値化していきます。
いずれも素人が計測したデータなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R23
主なCPUをCINEBENCH R23のスコアで比較してみると以下の通り
2020年に発売された旧世代のCPUということもあり、最新世代のミドルクラスCPUと比べると、スコアはどうしても見劣りします。
下位モデルであるはずのRyzen 5 5600にも負けていましたが、これは誤差の範囲でしょうか。
シングルコアは期待値通りのスコアが出ていました。
3D Mark
3DMarkの定番ベンチマークを3種類を試してみました。
主なグラボとSpeed Wayのスコアを比較した結果がこちら
RTX 3060 Ti以上、RTX 3070未満という、RTX 4060 Tiらしいスコアが出ています。
グラボがシングルファンだからといって、パフォーマンスが落ちることはありません。
フルHD解像度のモニターなら、ほとんどのゲームを最高画質でサクサク動かせる実力があります。
Crystal Disk Mark
Gen3のNVMe M.2 SSDとしては悪くない転送速度です。
書き出し(Write)はやや速度が落ちているものの、実用上気になることはほとんどありません。
転送速度にこだわる方は、注文時のカスタマイズでGen4対応のSSDに変えることも可能です。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen 5) | 10,000MB/s |
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NVMe M.2 SSD (Gen 4) | 4,000~7,000MB/s |
NVMe M.2 SSD (Gen 3) | 2,000~3,000MB/s |
SSD(SATA) | 550MB/s |
HDD | 120~160MB/s |
静音性
市販の騒音計(サンコー小型デジタル騒音計)を使用して、PCに負荷をかけたときの騒音を計測しました。
計測時の室温は27度で、用途ごとのおおよその平均値をまとめた結果がこちら。
アイドル時(PCで何も動かしていない状態)はほぼ無音で、ケースに耳を近づけるとほんのりと音が聞こえる程度。
CINEBENCH R23やグラフィックの重いゲームでPCに負荷をかけると、47~48dBあたりまで騒音が上昇。
足元に設置していてもファンの音がそこそこ聞こえてくるため、快適にゲームを楽しみたいならヘッドセットやイヤホンの使用を推奨します。
BIOSを確認してみると、CPUクーラーやケースファンはサイレントモードに設定されていました。
AMDのリテールクーラーは高負荷時の騒音が大きめなので、静音性にこだわるなら、CPUクーラーのカスタマイズがおすすめです。
筆者が使用している騒音計の目安は以下の通り。
60dB~ | 掃除機に匹敵するほどうるさい 遮音性の高いイヤホンやヘッドセットが必須 |
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50~60dB | 大多数の人がうるさく感じる イヤホンやヘッドセットの使用が必須 |
45~50dB | ファンの音がやや気になりはじめる イヤホンやヘッドセットの使用を推奨 |
40~45dB | ファンの音は聞こえるが不快ではない スピーカーでもゲームはプレイ可能 |
38~40dB | PCに耳を近づけると音が聞こえる程度 スピーカーでも快適にプレイが可能 |
冷却性能
PCに負荷をかけたときの温度も確認しました。
CINEBENCH R23計測中は、CPU温度が最大で83度まで上昇。
CPUにおまけでついてくるリテールクーラーとしては頑張っている方です。
ゲーム起動中、グラボは70度前後で安定していましたが、CPU温度は80度を超えていることが多かったです。
実用上の問題はとくにないものの、CPU温度は割と高め。
何度も同じことをお伝えして恐縮ですが、やはり予算に余裕があるならCPUクーラーはカスタマイズしたほうがいいです。
今回のパーツ構成だと、マザーボードの上下が逆転した独自ケースを採用している恩恵をほとんど実感できず、ちょっぴり残念です。
PCゲームのフレームレート検証
まずは定番のベンチマークソフトを3種類試しました。
いずれも解像度はフルHDに設定、画質は最高で試しています。
FF15 | 12,093 非常に快適 |
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FF14 暁月のフィナーレ | 23,456 非常に快適 |
BLUE PROTOCOL | 22,458 極めて快適 |
グラフィックの重いFF15でも「非常に快適」を叩き出しており、なかなか素晴らしいです。
RTX 4060 Tiは発売当初の価格の高さもあって何かと叩かれがちですが、フルHDでゲームを動かす分にはすこぶる優秀です。
続いてMSIのAfterburnerを使用して、人気ゲームの平均フレームレートをフルHD解像度で計測しました。
フォートナイトはDirectX12とパフォーマンス、レンダリングモードごとに検証。
最高画質(DX12) | 70fps |
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競技設定(パフォーマンス) | 292fps |
DirectX12ではアンチエイリアスを「TSR最高」、テンポラルスーパー解像度は「推奨」、さらにハードウェアレイトレーシングもONで計測しています。
パフォーマンスモードの競技設定は3D解像度のみ100%で計測。
240fps張り付きでプレイするには若干パワー不足ではあるものの、大多数の方が満足できる性能といえるでしょう。
最高画質 | 226fps |
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低画質 | 290fps |
Apex Legendsは最高画質でも144以上を余裕でキープ。
画質を落とせば平均値は240を超えるものの、近距離での戦闘中などは200前後まで落ち込むこともチラホラ。
細かいことにこだわらないなら十分快適にプレイ可能です。
そのほかのゲームはすべて最高画質で検証した結果です。
VALORANT | 332fps |
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Escape from Tarkov | 94fps |
Overwatch 2 | 290fps |
ARMORED CORE VI | 95fps |
Starfield | 112fps |
Cyberpunk 2077 | 78fps |
Forza Horizon 5 | 105fps |
Cyberpunk 2077はもっとも重たいオーバードライブモードで検証。
DLSS 3.0やフレーム生成がうまく機能しているようで、グラフィックの重いタイトルも最高画質でストレスなく楽しめます。
ゲーム実況のライブ配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用、配信と同時に録画も実施。
別売りのWebカメラを使用して、FaceRigでアバターも表示しながら試しました。
OBSの主な設定は以下の通り。
ゲームの画質 | 最高 |
---|---|
出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア |
音声ビットレート | 128 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ハードウェア |
最高画質のApex Legendsで試したところ、平均フレームレートは160~170前後で安定。
さすがにフレームレートの低下は避けられないものの、PC1台でVTuberとしてゲーム実況の配信も可能です。
FaceRigをオフにして、ゲームの画質を落として同様に配信と録画を試したところ、フレームレートは270前後で安定していました。
配信するゲームによっては設定の調整が必要になると思いますが、これからライブ配信に挑戦してみたい方にもおすすめです。
価格と性能で評価するなら超コスパ
レビューのまとめとして、GAシリーズ(FRGAG-B550)の特徴をおさらいします。
14万円で買えるのはあまりに安すぎ
マザーボードが上下逆転の独自構造
幅広いゲームを最高画質で楽しめる
PC1台でVTuberとして活動も可能
リテールクーラーは性能がそれなり
USB Type-Cポートがひとつもない
CPU温度や騒音など、ところどころ気になる点はあるものの、価格と性能の2点で評価するなら、素晴らしいコスパと言わざるを得ません。
Ryzen 5 5600XもCINEBENCHのスコアがパッとしないだけで、ゲーム用途では旧世代らしからぬパフォーマンスを発揮してくれます。
フロンティアはアフターサポートが24時間対応ではなく、分割払いを選択した際の手数料も有料、延長保証も選択不可など、サービス面では他社に劣る点があるのも事実。
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