AMDの最新CPU、Ryzen 5 7600Xを購入したので、RTX 3060と組み合わせて人気ゲームをどこまで動かせるのか検証しました。
CPUとしての性能は前世代から着実にアップしていますが、システム全体の費用が上がってしまったことでコストパフォーマンスという点では微妙です。
AMDの最新CPUが気になっている方はぜひご覧ください。
検証用PCのスペックや概要
今回、検証のために用意した環境は以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
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CPU | Ryzen 5 7600X |
CPUクーラー | DeepCool LS520 |
GPU | Palit RTX 3060 Dual OC 12GB |
メモリ | DDR5-5200 32GB(16GB×2) |
マザーボード | ASUS TUF GAMING X670E-PLUS |
電源 | 1000W(80PLUS GOLD) |
ケース | DeepCool CK500 WH |
Ryzen 5 7600XとTUF GAMING X670E-PLUSはTSUKUMOで購入、2点で95,502円でした。
朝10時の整理券配布に間に合うように秋葉原へ行ったものの、わざわざ並ばずとも普通に買えたようです。
CPUとGPUの細かい情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。
メモリはZ690環境で使用していたKingstonのDDR5-5200を流用。
EXPO(Extended Profiles for Overclocking)には非対応のメモリですが、XMPの情報を読み込んでくれています。
EXPO対応メモリを使うと性能に変化はあるのか、後日検証予定です。
電源も1000Wを使用していますが、NVIDIAの公式サイトによるとRTX 3060搭載PCは550W以上が推奨とされています。
CPUのスペック比較
記事執筆時点で、新品で購入可能なミドルクラスCPUの主なスペックを比較しました。
CPU | Core i5 12600K | Core i5 12400F | Ryzen 5 7600X | Ryzen 5 5600X | Ryzen 5 4500 |
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コア/スレッド | 6+4/16 | 6/12 | |||
クロック | 3.7GHz~ 4.9GHz | 2.5GHz~ 4.4GHz | 4.7GHz~ 5.3GHz | 3.7GHz~ 4.6GHz | 3.6GHz~ 4.1GHz |
キャッシュ | 20MB | 18MB | 32MB | 8MB | |
TDP/PBP | 125W | 65W | 105W | 65W |
前世代のRyzen 5 5600Xと比べると、コア数とスレッド数は据え置きですが、消費電力とクロック数が上がっているのが特徴です。
ゲーム性能に大きく影響するといわれるL3キャッシュもRyzen 5 5600Xと変わらずで、これがゲームにどう影響するのか、主要タイトルで検証していきます。
ほかのCPUの検証結果
Core i5-12600KやRyzen 5 5600Xなど、ほかのCPUでもRTX 3060の性能を検証しています。
検証時期(ゲームのシーズンなど)が異なるため、あくまで参考程度にご覧ください。
定番ベンチマークのスコア
ここからは定番のベンチマークソフトのスコアをご紹介します。
計測結果はいずれも当サイトで検証したものなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R23
まずはCPUの性能をチェックするCINEBENCH R23のスコアから。
Core i7-12700K | |
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Core i5-12600K | |
Ryzen 5 7600X | |
Core i5-12400F | |
Ryzen 5 5600X |
順当なスコアといったところでしょうか。
同じRyzen 5でも5600Xから大幅にスコアが伸びています。
Core i7-12700K | |
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Core i5-12600K | |
Ryzen 5 7600X | |
Core i5-12400F | |
Ryzen 5 5600X |
シングルコアではCore i7-12700Kのスコアすら上回りました。
240mmクラスの簡易水冷を使用しても、CINEBENCH中のCPU温度は上限の95度に張り付きます。
Zen 4は95度まで温度を上げて、CPUの性能を引きずり上げるようで、より冷却性能の強いクーラーを使えばもう少しスコアが伸びるかもしれません。
PCゲームや日常的な用途でCPU温度が95度まで上がることはほとんどありません。
BIOSで調整
今回使用したASUSのTUF GAMING X670E-PLUSのBIOSには「AI Optimized」という機能があります。
ワンクリックで設定できる便利機能で、これを使用するとCINEBENCH中の温度が70度前後まで落ちました。
さらにスコアもわずかながら上昇。
性能を落とさずにCPU温度を下げられるなら、積極的に使ってもよさそうです。
手動で細かく設定を詰めても同等の結果を得られそうですが、ワンクリックでできたほうが断然楽。
他社のマザーボードにも同じような機能があるのかは不明です。
3D Markのスコア
続いて超定番の3D Markから、主要ベンチマークを試した結果がこちら。
グラボはすべてRTX 3060で統一しています。
Time Spy
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
---|---|
Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
CPUによって多少スコアに差は出ているものの、誤差の範囲ともいえそうです。
Fire Strike
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
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Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
Fire Strikeも同じような傾向です。
Port Royal
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
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Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
レイトレーシングの性能をチェックするPort Royalはほとんどスコアに差が出ず。
これは筆者の推測ですが、レイトレーシングの処理はGPUに依存する要素が大きく、CPUの性能は影響しづらいものと思われます。
定番ベンチマークのスコア
FF15とFF14(暁月のフィナーレ)のベンチマークソフトを、それぞれフルHDの最高設定で走らせました。
FF15
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
---|---|
Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
CPUによる差というより、DDR4とDDR5の差かもしれません。
FF14 暁月のフィナーレ
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
---|---|
Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
FF14とは相性が良いのか、そこそこスコアが伸びています。
人気ゲームのフレームレート
ここからは実際に人気ゲームをフルHD解像度(1,920×1,080)でプレイして、フレームレートの平均値を算出しました。
今回検証したのは以下の通り。
- フォートナイト
- Apex Legends
- VALORANT
- Rainbow Six Siege
- モンスターハンターライズ
それぞれ順にご紹介します。
フォートナイト
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
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Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
フォートナイトはリプレイ機能を使用し、撃ち合い中のシーンを含む、同一場面の平均フレームレートを計測した結果です。
計測タイミングによって変動するものの、Core i7-12700Kと同等レベルの性能を発揮しています。
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
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Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
競技設定はレンダリングモード「DirectX11」で、「3D解像度」と「描画距離」を最大に設定して検証。
平均フレームレートで300近くをキープできるのは非常に優秀です。
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
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Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
こちらはレンダリングモードを「パフォーマンス」に変えて試した結果です。
もっとも高いスコアを出していますが、前世代のRyzen 5 5600Xも悪くないスコアを出しているのが目立ちます。
Apex Legends
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
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Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
Apex Legendsはカジュアルマッチを実際にプレイ。
計測環境が都度異なるため厳密な比較ではありませんが、最高画質でも快適にプレイが可能です。
144Hzのモニターを使用しているなら、無理に画質を落とす必要はなさそうです。
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
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Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
画質を落とせば平均値は240近くまで上昇。
一部のプロゲーマーやガチ勢の方でない限り、十分快適にプレイできるでしょう。
近接での撃ち合い中も常時240以上で安定させたいなら、もう少しグラボのパワーを上げたいです。
VALORANT
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
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Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
VALORANTはプラクティスのスパイク解除モードで検証。
スパイクラッシュを実際にプレイすると、平均400前後で安定。
最低フレームレートも240を下回ることがなく、最高画質のままでもサクサク快適です。
Rainbow Six Siege
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
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Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
レインボーシックスシージはベンチマークモードで検証した結果です。
このゲームも実際のマッチではフレームレートが50~100程度落ちると考えてください。
モンスターハンターライズ
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
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Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
モンハンライズは大社跡でアケノシルム討伐クエストをプレイ。
ゲームとの相性が良くないのか、Ryzen 5 7600Xだけフレームレートが伸びず。
アクション系のゲームは平均60を超えていれば問題はないため、実用上の問題は一切ありません。
レイトレーシング性能
レイトレーシング対応ゲームの平均フレームレートも検証しました。
今回検証したのは以下の通り。
- WATCH DOGS LEGION
- FARCRY6
- Forza Horizon 5
- Cyberpunk 2077
いずれも最高画質のDXR ONでベンチマークモードを走らせた結果です。
WATCH DOGS LEGION
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
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Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
このゲームはCPUの影響をあまり受けないようで、ほとんど差がありません。
FARCRY6
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
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Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
こちらも誤差の範囲といえそうです。
Forza Horizon 5
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
---|---|
Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
DDR4環境のCore i5だけは何度試してもスコアが伸びませんでした。
ここでもRyzen 5 5600Xの優秀さが際立っています。
Cyberpunk 2077
Core i7-12700K DDR5-5200 | |
---|---|
Ryzen 5 7600X DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR5-5200 | |
Core i5-12600K DDR4-3200 | |
Core i5-12400F DDR4-3200 | |
Ryzen 5 5600X DDR4-3200 |
DDR4とDDR5でスコアに差が出ているようです。
ゲーム実況・ライブ配信
Twitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用し、配信と同時に録画も実施します。
Apex Legendsの配信を試したところ、以下の設定でスムーズにライブ配信ができました。
ゲームの画質 | 低 |
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出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア(NVENC) |
音声ビットレート | 128 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ソフトウェア |
配信中のフレームレートは平均200前後で、やや落ちてはいるものの快適にプレイできるレベルです。
ゲームによっては最高画質のままでも快適に配信・録画ができそうです。
おすすめのBTOパソコン
Ryzen 5 7600XとRTX 3060を搭載したBTOパソコンは選択肢が非常に少ないです。
例年だと最新CPUの発売と同時に各メーカーから最新モデルが発売されていましたが、今回は記事執筆時点で取り扱いメーカーは数社のみ。
TSUKUMOやフロンティア、G-Tuneなども、そのうち取り扱いを開始すると思われます。
掲載している仕様および価格は記事執筆時点の情報です。最新情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。
パソコンショップセブン
まずはパソコンショップセブンのZEFT Gaming PC。
OS | Windows 11 Home |
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CPU | Ryzen 5 7600X |
GPU | RTX 3060 |
メモリ | DDR5-4800 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 500GB NVMe SSD |
販売価格 | 226,800円~(消費税・配送料込) |
マザーボードはASRockのX670E Steel Legend、ケースも人気が高いNZXT H510を採用し、光学ドライブや無線LANも標準搭載と、なかなかコスパの高い構成です。
見た目のカッコ良さにもこだわりたい方は、検討してみてはいかがでしょうか。
ドスパラ
続いてはドスパラが販売するGALLERIA ZA5R-R36。
OS | Windows 11 Home |
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CPU | Ryzen 5 7600X |
GPU | RTX 3060 |
メモリ | DDR5-4800 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD Gen4 |
販売価格 | 283,280円~(消費税・配送料込) |
やや値段が高めですが、240mmクラスの簡易水冷クーラーをはじめ、X670E チップセットのマザーボードやGen4対応のストレージを標準搭載。
アクリルパネルでケース内部を魅せられるのもGALLERIAの魅力です。
導入コストの高さが大きな課題
Ryzen7000シリーズはソケットがAM5に変わり、今までのRyzen(AM4)と互換性がなくなったことで、マザーボードとDDR5メモリの購入が必須となったのが大きな痛手。
円安や輸送費コスト上昇などの要因も重なり、B650チップセットの下位マザーボードですら3万円台からと大幅に値上がりしています。
価格を抑えてゲーム環境を整えたいなら、記事執筆時点ではRyzen 5000シリーズが有力候補になりそうです。
型落ちになったとはいえ、ゲームによっては12世代のCore i5を上回るほど優秀で、日常用途でストレスを感じることはほとんどありません。
最新パーツにこだわるか、コスパにこだわるかは人それぞれですから、自分自身が納得できるパーツを選んでください。