MSIのRTX2080 GAMING TRIOを購入してしばらく経ちましたので、改めてレビューにまとめました。
フルHDモニターならApex LegendsやPUBGなどのFPSゲームも、最高画質で平均100以上のフレームレートをキープできて非常に快適です。
ただし、4Kモニターとなると話は変わってきます。
このページでは、定番のベンチマークソフトや各種ゲームで検証したRTX2080の性能について詳しくまとめています。
ゲーミングパソコンの購入やグラフィックスの買い替えを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
外観と主な仕様
まずはMSI RTX2080 GAMING TRIOの基本情報や外観から見ていきます。
「そんなことよりベンチマークスコアが見たい!」
という方はこちらをご覧ください。
基本情報
まずはRTX2080の主なスペックを表にまとめました。
ちがいがわかるように、MSIの上位&下位モデルと比較しています。
記載している価格はAmazon(記事執筆時点)を参考にしました。
より詳しいスペックを知りたい方は、MSIの公式サイトにてご確認ください。
RTX2080 Ti | RTX2080 | RTX2070 | |
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アーキテクチャ | Turing | Turing | Turing |
コア数 | 4352 | 2944 | 2304 |
コアクロック | 1755MHz/1350MHz | 1710MHz/1515MHz | 1620MHz/1410 MHz |
メモリ | 11GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 |
消費電力 | 300W | 260W | 175W |
SLI | 〇 | 〇 | × |
価格 | 156,902円 | 110,498円 | 70,687円 |
公式サイト | 詳しく見る | 詳しく見る | 詳しく見る |
RTX2080のSLIとRTX2080 Ti単体だと、どちらの方が性能アップにつながるのでしょうか。
いつか検証してみたいです。
GPU-Zの結果は以下の通り。
ビデオメモリはサムスン製のようです。
MSIのラインナップ
MSIの場合、同じRTX2080でも複数のモデルが販売されています。
- RTX2080 GAMING X TRIO
- RTX2080 GAMING TRIO
- RTX2080 VENTUS 8G OC
- RTX2080 VENTUS 8G
- RTX2080 VENTUS 8G V2
- RTX2080 SEA HAWK X
ハイエンドは「X」を冠するモデルで、省スペースに対応したモデルや水冷式(SEA HAWK)のモデルもあります。
予算や求める性能に合わせて細かく選べるのは便利ですね。
大きさ
仕様上の大きさは327x140x55.6mmで、重量も約1.5kgとかなりのヘビー級グラフィックス。
小さめのケースだと収まりきらない恐れがあるため、購入前に必ずケースのサイズを確認しましょう。
スロットも3つ占有するため、キャプチャーボードやその他のパーツを装着するときは要注意。
裏面にはバックプレートも搭載されています。
補助電源は8ピン×2です。
サポートバーが付属
大型グラフィックスの宿命ですが、そのままマザーボードに接続するだけでは自重で傾いてしまいます。
多少の傾きなら機能上は問題ないものの、見た目もよろしくありません。
その点、MSI RTX2080 GAMING TRIOにはサポートバーが付属。
SLI(2枚刺し)のときには使えませんが、グラフィックスの傾きをおおむね防げます。
存在感がものすごく強いです。
出力端子
出力端子は以下の通り。
- DisplayPort ×3
- HDMI(2.0)×1
- USB Type-C ×1
最大4画面まで出力可能で、最大解像度7680×4320(8K)に対応しています。
ライティング
デフォルトでも七色に発光しますが、MSIのMystic Lightでライティングを自由に設定できます。
ただ、私の環境ではなぜかMystic LightがRTX2080を認識しません・・・
マザーボードとゲーミングモニターは認識してくれるんですが。
オーバークロックに対応
MSIのDragon Centerというアプリをインストールすれば、ファンの回転数などを細かく設定できます。
オーバークロックも設定可能ですが、保証対象外になるため、あくまで自己責任で。
私は定格で使っています。
ベンチマーク結果
ここからは定番のベンチマークソフトを使って、RTX2080の性能を細かくチェックしていきます。
グラフィックス以外の構成は以下の通り。
CPUやメモリはオーバークロックさせず、定格で動かしています。
マザーボード | MSI MEG Z390 ACE |
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CPU | Intel Core i9-9900K |
CPUクーラー | NZXT KRAKEN X72 |
メモリ | CORSAIR DDR4 2666MHz 32GB(16GB×2) |
電源 | CORSAIR HX750i (80PLUS PLATINUM) |
ストレージ | SAMSUNG 970 EVO Plus 500GB SAMSUNG 860 EVO 1TB |
CPUやメモリがボトルネックになることはないはず・・・です。
Time Spy
ゲーミングパソコン用の定番ベンチマーク、Time Spyのスコアは10783でした。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
Fire Strike
Fire Strikeも今まで計測した中でトップのスコアです。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
VRMark
VRゲームをスムーズに動かすための指標となるVRMark(Orange Room)は11701という結果に。
これも今まで検証した中でトップのスコアです。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
RTX2080 | |
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GTX1660 Ti | |
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RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
SteamVR Performance Test
SteamのVRベンチも、ほぼ最上位のスコア。
Steamで販売されている、ほとんどのVRゲームを快適にプレイできる性能です。
Port Royal
レイトレーシング性能をチェックするための激重ベンチマークソフト、Port Royalは6266という結果でした。
きっと数年後にはレイトレーシングに対応したゲームが当たり前の時代になっているのでしょう。
RTX2080 | |
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RTX2070 |
FF15
高品質 | 10364(とても快適) |
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標準品質 | 13514(非常に快適) |
軽量品質 | 16249(非常に快適) |
高品質 | 4591(やや快適) |
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標準品質 | 5357(やや快適) |
軽量品質 | 7439(快適) |
FF15はフルHDなら最高画質で難なく遊べますが、4Kだと場面によっては多少重く感じることがありそうです。
FF14 漆黒の反逆者
最高品質 | 19071(非常に快適) |
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高品質 | 19026(非常に快適) |
標準品質 | 23012(非常に快適) |
最高品質 | 8900(非常に快適) |
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高品質 | 10226(非常に快適) |
標準品質 | 17603(非常に快適) |
FF14なら4Kモニターでも快適に動かせるという結果になりました。
DQX
最高品質 | 19538(すごく快適) |
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標準品質 | 19786(すごく快適) |
低品質 | 20743(すごく快適) |
ドラクエXはかなり軽いゲームなので、RTX2080はオーバースペックといえそうです。
ローエンドモデルのGTX1650でも快適に動かせます。
4Kはベンチマークソフトが非対応のため、検証していません。
フレームレート検証
ここからは実際にいくつかのゲームをプレイして、どれくらいのフレームレートを出せるか、平均値を検証しました。
いずれも最高画質に設定して、4KとフルHDの解像度でプレイしています。
リアルタイムレイトレーシングに対応しているゲームは、フルHDでONとOFFの状態をそれぞれ検証しました。
Apex Legends
フルHD | 138fps |
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4K | 94fps |
Apex LegendsはフルHDならフレームレートが100を切ることはありません。
4Kだと90前後をうろつくため、勝率を上げたいならある程度の画質調整は必須です。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
PUBG
フルHD | 154fps |
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4K | 75fps |
PUBGも最高画質で常時150以上のフレームレートをキープできますが、4Kでは70前後まで落ち込みます。
特別な理由がない限り、フルHDモニターでプレイすることをおすすめします。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
フォートナイト
フルHD | 189fps |
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4K | 66fps |
フォートナイトは最高画質でフレームレートが200を超えることが多いです。
240Hzのリフレッシュレートに対応したゲーミングモニターがあれば、とても快適です。
4Kモニターでプレイすると、ガクッとフレームレートが落ち込みます。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
レインボーシックスシージ
フルHD | 227fps |
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4K | 93fps |
レインボーシックスシージは少し古めのゲームなので、フルHDなら常時200以上のフレームレートを出せます。
4Kでも90前後のfpsを出せるので、そこそこスムーズに動かせます。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
CS:GO
フルHD | 280fps |
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4K | 201fps |
CS:GOも数年前に発売されたゲームなので、フルHDなら300近くまでfpsが伸びます。
4Kモニターでも200前後のfpsをキープできました。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
Battlefield V
フルHD(DXR OFF) | 153fps |
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フルHD(DXR ON) | 82fps |
4K(DXR OFF) | 49fps |
バトルフィールド5はフルHDでDXR(レイトレーシング)をONにすると、フレームレートが100を切ってしまいます。
シングルプレイならとくに問題ないものの、マルチプレイやバトルロイヤルモードで遊ぶなら、フレームレート優先の設定がおすすめ。
4Kで最高画質はさすがに厳しい印象です。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
METRO EXODUS
フルHD(DXR OFF) | 122fps |
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フルHD(DXR ON) | 86fps |
4K(DXR OFF) | 47fps |
メトロエクソダスはフルHDでDXR(レイトレーシング)をOFFにすれば、常時100以上のフレームレートを維持できます。
4Kではさすがにフレームレートが落ち込むものの、シングルプレイで素早い展開も少ないゲームなので、画質優先で楽しむのもひとつです。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
モンスターハンターワールド
フルHD | 104fps |
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4K | 35fps |
モンハンワールドはかなり重いゲームなので、4Kだとフレームレートは35前後まで落ち込みます。
とはいえPS4(Proは除く)のフレームレートが30なので、30以上出ていればそれなりにプレイできます。
フレームレートより画質を優先したい方は、4Kモニターでのプレイをおすすめします。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
SEKIRO
フルHD | 60fps |
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4K | 58fps |
SEKIROは仕様上、フレームレートが60までしか上がりません。
フルHDなら60ベタ付きですが、4Kでプレイすると瞬間的に50台後半に落ち込む場面があります。
ただ、プレイにはほとんど支障が出ないので、高解像度モニターでも快適に遊べます。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
デビルメイクライ5
フルHD | 193fps |
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4K | 59fps |
デビルメイクライ5は4Kでも問題なくプレイできます。
モニターの最大リフレッシュレート以上にfpsが上がらない仕様なので、144Hz以上に対応した4Kモニターならもう少し高いスコアを出せそうです。
フルHDでもモニターが60Hzだと60fpsまでしか上がりません。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
Anthem
フルHD | 99fps |
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4K | 43fps |
AnthemはフルHDなら最高画質で快適にプレイできますが、4Kでは40前後にまで落ち込みます。
フレームレートが60を切ってしまうと、敵に囲まれたときなどに画面がカクつきます。
スムーズに動かせるようにグラフィック設定を工夫しましょう。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
ストリートファイターV
フルHD | 60fps |
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4K | 60fps |
ストリートファイターVは4Kモニターでも上限の60fpsをキープできました。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
DEAD OR ALIVE 6
フルHD | 60fps |
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4K | 57fps |
DOA6を4Kでプレイすると、バトル中は60fpsをキープできるものの、前後のムービーシーンでfpsが50前後に落ち込みます。
フルHDでプレイするなら、常に60ベタ付きです。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
League of Legends
フルHD | 363fps |
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4K | 323fps |
League of Legendsはグラフィックが軽めなので、4Kモニターでも快適に動かせました。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
Rocket League
フルHD | 248fps |
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Rocket Leagueもかなり軽いゲームなので、フルHDなら上限値の250にほぼベタ付き。
4Kに非対応のようで、オプションで設定できませんでした。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
黒い砂漠
フルHD | 103fps |
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4K | 30fps |
リマスター品質で黒い砂漠をプレイすると、フルHDなら100前後のfpsで快適にプレイできます。
4Kでリマスター品質は画面がカクつくので、どうしても4Kモニターでプレイしたいなら画質調整は必須です。
RTX2080 | |
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RTX2070 | |
GTX1660 Ti | |
GTX1650 |
ゲーム実況・配信検証
ここからはパソコンゲームの動画配信について検証した結果をご紹介します。
配信ソフトはStreamlabs OBSを使用、WEBカメラとFaceRigを使って画面左下に私の顔をトレースしたアバターも表示。
Twitchでゲーム実況を配信しつつ、フルHD解像度の60fpsで録画も実施しました。
配信結果
モンスターハンターワールドのプレイ動画をTwitchで配信したところ、何も問題なくスムーズに配信と録画ができました。
普通にゲームをプレイしたときと、実況動画を配信・録画しているときのGPU使用率などの変化を比較すると以下の通り。
CPUとメモリ使用率が上がって、フレームレートは若干下がっているものの、まだまだ余裕があります。
今回は20分程度の配信でしたが、2~3時間連続で動画を配信しても問題なさそうです。
ゲームの実況動画をスムーズに配信・録画できるかは、グラフィックス以外にCPUやメモリ、ストレージの性能も影響します。もちろんネット回線の速度や安定性も重要です。
RTX2080のレビューまとめ
今回はMSI RTX2080 GAMING TRIOの性能を細かく検証してみました。
フルHDならほぼすべてのゲームを最高画質で快適に動かせますし、多少画質を調整すれば4Kでもスムーズに遊べます。
とくにApex LegendsやPUBGなどのFPSゲームは、144Hz以上に対応したゲーミングモニターと組み合わせれば、かなり快適な環境が整います。
ただ、ほかのグラフィックスと比べて値段が高いのも事実。
FPSゲームがメインではなく、高解像度モニターにも興味がなければ、RTX2070やGTX1660Tiを選んだほうが満足度は高いかもしれません。
予算や用途に合わせて、納得のいくグラフィックを選びましょう。