Lenovoが販売するゲーミングPC、Legion T550iをお借りしました。
機材貸出元:レノボ・ジャパン合同会社
エントリーからミドルクラスまでをカバーするデスクトップモデルで、業界内でもトップレベルの高コスパが最大の魅力。
人気ゲームを快適に動かせるのはもちろん、ゲーム実況やライブ配信もこなせる万能な1台です。
どれだけのポテンシャルを秘めているのか、各種用途で検証した結果を詳しくご紹介します。
コスパの高いゲーミングPCを探している方は、ぜひじっくりご覧ください。
Legion T550iレビューの特徴
Legion T550iがどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
業界内でもトップクラスの高コスパ
高画質・高フレームレートで快適動作
1080pかつ60fpsで高画質配信も可能
動画編集用パソコンとしても超優秀
ファンがフル回転するとうるさい
在庫状況や出荷予定が不安定
基本的なスペックからケースの構造、実際に人気ゲームを動かして計測したフレームレートまで、順に詳しくご説明します。
スペック
CPUやGPUなど、お借りしたモデルの基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Core i7-10700 |
GPU | GeForce GTX 1660 SUPER |
メモリ | 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 256GB NVMe SSD 2TB HDD |
Core i7-10700は8コア16スレッドで動作周波数は2.90GHz(最大4.80GHz)、ゲーミングPCとしては定番のCPUです。
GPUもミドルクラスとしては定番のGTX 1660 SUPERを搭載。
CPUとGPUの詳しいスペックを知りたい方は、こちらをご覧ください。
メモリは16GB(8GB×2)、ストレージもHDDが2TBとたっぷり。
ゲームはもちろん動画編集などの用途でも使えますし、Office搭載モデルを選べばビジネス用途でも活躍します。
価格
Legion T550iはラインナップがとても幅広く、エントリークラスのGTX 1650 SUPERから最新グラボのRTX 3070まで、予算に合わせて選択可能。
主なモデルのスペックと価格を整理すると以下の通り。
CPU | Core i5-10400 | Core i7-10700 | ||
---|---|---|---|---|
GPU | GTX 1650 SUPER | GTX 1660 SUPER | RTX 2070 SUPER | RTX 3070 |
メモリ | 8GB | 16GB | ||
ストレージ | 256GB NVMe SSD 1TB HDD | 256GB NVMe SSD 2TB HDD | 512GB NVMe SSD 2TB HDD | |
販売価格 | 88,209円 | 120,463円 | 153,754円 | 174,724円 |
Lenovoはほかのメーカーとちがって、消費税と配送料込みの価格を掲載しているのが良心的です。
いずれもOffice搭載モデルを選んだ場合、2万円ほど値段が上がります。
ちなみに2021年1月15日(金)まで、Lenovoは「Legion祭」というセールを実施中で、Legion T550iも対象モデルのひとつ。
Eクーポン「MATSURI0115」を使用すると5,500円OFFになるので、忘れずにチェックしましょう。
ただし、一部モデルは出荷予定が2ヵ月以上と非常に長くなっているので要注意です。
ケース外観
ここからはLegion T550iの外観をご紹介します。
お尻が尖っている個性的なデザインです。
シンプルでカッコいいデザインですが、塗装の影響か少々汚れが目立ちやすい印象。
アルコール除菌タイプのウェットティッシュで拭いても、完全にはきれいになりませんでした。
仕様上の寸法は高さが約456mm、奥行きが約457mm、横幅が約185mmと、そこそこ大きいです。
重量は約15kgありますが、取っ手がついているので持ち運びがとても楽。
頻繁にパソコンの設置場所を変える方も安心です。
天板や底面には吸気口がなく、ケース前方から後方に向けて空気が流れていく設計。
後述しますが、冷却性能はあまり高くない印象です。
インターフェイス
前面にインターフェイスは何もなく、USBポートなどは天板に設置されています。
- 電源
- USB3.0 ×2
- ヘッドホン・マイクコンボジャック
筆者としては、USBポートは4つ欲しかったところ。
2つだとすぐに埋まってしまいます。
背面の主なインターフェイスは以下の通り。
- USB 3.0 Type-C
- USB 3.0
- USB 2.0
- LAN
映像の出力ポートは搭載されるグラフィックカードによって異なりますが、GTX 1660 SUPERは以下の3つ。
- DisplayPort
- HDMI
- DVI
また、デスクトップPCとしては珍しく、WiFi 6に対応した拡張カードが標準搭載されています。
有線LANをつなげられない方も安心です。
国内のBTOパソコンメーカーだと、デスクトップPCの無線LANは追加オプションになるところがほとんどです。
ケース内部
ケースファンは前面に2つと後方に1つ。
12cmと小さめのファンが使われていることもあり、ゲームプレイ中などは空気清浄機を「強」で動かしたときくらいの音がします。
部屋のドアを閉めていても隣の部屋にファンの回転音が聞こえてくるくらいなので、静音性を重視する方には少々おすすめしづらいです。
中身が見えないケースなので問題ありませんが、配線の美しさにはあまりこだわっていない模様。
裏配線はだいぶごちゃついているので、パーツの交換や増設は少々大変そうです。
空冷CPUクーラー
CPUクーラーはシングルファンの空冷式が搭載されていました。
Battlefield Vなどの重いゲームを動かしていると、CPU温度が90℃近くまで上がることもあったので、冷却性能はそれなり。
水冷CPUクーラーにカスタマイズすることはできないようです。
グラフィックカード
グラフィックカードはシングルファンのGTX 1660 SUPERが搭載されていました。
メーカーのロゴもなく、LenovoがOEMで発注したものと思われます。
拡張スロットには空きがるので、内蔵型のキャプチャーボードやサウンドカードなどを搭載できます。
メモリ
メモリはヒートシンク非搭載のシンプルなものが2枚(8GB×2)刺さっています。
ゲームがメインなら16GBでまったく問題ありません。
スロットには空きがあるので、動画編集などの用途でメモリ不足を感じる場面が増えてきたら、自身で増設してもよいでしょう。
ストレージ
3.5インチのストレージを2台設置できるスペースが用意されています。
2.5インチのSSDなどを搭載したいときは、3.5インチに合わせるための変換ブラケットが必要になりそうです。
スライド式で簡単に取り出せます。
マザーボードとストレージを接続するケーブル(SATAケーブル)の予備は付属していないので、自身でストレージを増設するときはケーブルも用意する必要があります。
WiFiカード
Wi-Fi 6(IEEE802.11ax/ac/a/b/g/n準拠)に対応したカードが搭載されていました。
Bluetoothにも対応しているので、マウスやキーボードを無線で接続することも可能です。
電源
電源は650W(80PLUS GOLD)が搭載されていました。
NVIDIAの公式サイトによると、GTX 1660 SUPERの推奨電源は450Wなので、だいぶ余裕を持たせている印象です。
650Wあれば、スペック上はRTX 3070も搭載できます。
Legion T550iのベンチマーク
ここからはLegion T550iの性能を、各種ベンチマークソフトを使用して数値化していきます。
まずはパソコンの総合的な性能をチェックするPC Mark10を試したところ、6,410というなかなか素晴らしいスコアが出ました。
一般的な薄型ノートPCだと「Digital Content Creation」のスコアは4,000ちょっとですから、恐ろしいポテンシャルを秘めています。
ゲームはもちろん、ExcelやWordなどの事務作業、各種クリエイティブ用途もサクサクこなせるスペックです。
計測結果はいずれも当サイトで検証したものなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH
主なCPUとCINEBENCH R15のスコアを比較してみると以下の通り。
Core i9-10900K | |
---|---|
Core i9-9900K | |
Core i7-10700 | |
Core i7-9700 |
Core i9-9900Kに迫るスコアです。
Core i7-10700はもう少し低めのスコアが出ることが多いのですが、数回試してみたものの、なぜか高めのスコアが出ました。
Fire Strike
3DMarkのFire Strikeは13,797と、こちらは順当なスコアでした。
主なグラフィックカードとスコアを比較すると以下の通り。
RTX2060 | |
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GTX1660 SUPER | |
GTX1650 SUPER | |
GTX1650 |
フルHDモニターなら、ほとんどのゲームを高画質~最高画質で快適に動かせます。
VR Mark
VR Markの各種スコアはご覧の通り。
別売りのVRゴーグルを用意すれば、幅広いVRゲームを快適に動かせます。
Crystal Disk Mark
CrystalDiskMarkでストレージの転送速度をチェックしました。
M.2 SSDは読み込みで約3,000MB/sとなかなかのスピードです。
書き込みは若干スコアが落ちるものの、実用上はほとんど気になりません。
HDDは標準的な転送速度でした。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen4) | |
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NVMe M.2 SSD | |
SSD(SATA) | |
HDD |
NVMe M.2 SSD(Gen4)は、今のところ限られた環境下でしか使えません。
オンラインゲーム
定番ベンチマークソフトを、それぞれフルHD解像度の設定で走らせました。
重量級ゲームのFF15は高品質で「やや快適」、標準品質で「快適」という結果に。
グラフィックの重いゲームを最高画質でサクサク動かすのは少々しんどい印象です。
FF14やドラクエXはグラフィックが軽めなので、WQHDなどの高解像度モニターでも快適に動かせるでしょう。
FF15
高品質 | 5994(やや快適) |
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標準品質 | 8402(快適) |
軽量品質 | 10877(とても快適) |
FF14 漆黒の反逆者
最高品質 | 15409(非常に快適) |
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ドラゴンクエストX
最高品質 | 22235(すごく快適) |
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PCゲームのフレームレート検証
ここからは実際にパソコンゲームを最高画質で動かして、どれくらいのフレームレートが出たかご紹介します。
フレームレートの抽出にはMSIのAfterburnerとGeForce Experienceを使用。
まずはフォートナイトをフルHDモニターでプレイして、最高画質~低画質でフレームレートがどれくらい変化するかチェックしました。
最高画質 | |
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高画質 | |
中画質 | |
低画質 |
最高画質だと100を下回りますが、中画質程度まで落とすと200前後で安定します。
最低画質まで落とすとあからさまにグラフィックが粗くなるので、画質とフレームレートのバランスを考えて調整することをおすすめします。
そのほかの人気ゲームはすべて最高画質でプレイして、平均値を算出しました。
Apex Legends | 94fps |
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PUBG | 160fps |
VALORANT | 282fps |
CoD:BOCW | 88fps |
Battlefield V | 79fps |
Rainbow Six Siege | 204fps |
モンハンワールド:アイスボーン | 50fps |
WATCH DOGS LEGION | 32fps |
VALORANTのような軽いゲームなら、フレームレートは300近くまで伸びます。
CoD:BOCWやBattlefield Vなどはグラフィックが重めなので、多少画質を落としたほうが快適です。
WATCH DOGS LEGIONはFPSゲームではないので、30以上をキープできればそこまでカクつきは感じません。
VRゲームの動作検証
Oculus Quest 2を専用ケーブルでつないで、PC用のVRゲームを実際に動かしてみました。
Half-Life: Alyxはグラフィックが重めですが、最高画質でも問題なく動かせました。
Beat SaberはPCを使わずとも動かせる軽いゲームなので、サックサクに動作可能。
ヘッドマウントディスプレイがあれば、VRゲームも快適に楽しめます。
ゲーム実況の動画配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用、配信と同時に録画も実施です。
Apex Legendsを試したところ、ソフトウェアエンコードなら最高画質のまま1080pかつ60fpsでスムーズに配信できました。
ハードウェアエンコードは頻繁にコマ落ちが発生するのでおすすめしません。
パソコン1台でライブ配信も楽々こなせます。
スマホゲームなども配信可能
キャプチャーボードをつないでスマホゲームの配信も試してみました。
iPhone8でPUBG MOBILEの配信を試したところ、こちらも1080pかつ60fpsでスムーズに配信&録画できました。
スマホゲームやコンソール機の配信なら、こまかい設定をいじらずとも高画質での配信が可能です。
クリエイティブ用途の動作検証
続いて動画や写真の編集など、クリエイティブ用途でも快適に使えるかを検証しました。
Premiere Proで動画編集
まずはAdobeのPremiere ProでYoutube動画の編集を試しました。
メモリが16GB搭載されているため、処理の遅延を感じることもなく快適に動かせます。
After Effectsで演出を加えたり、4K動画の編集もがっつりやるつもりなら、メモリを32GB以上に増やすことを視野に入れても良いでしょう。
4K動画の書き出し
参考までに、4K動画の書き出し時間を計測しました。
検証のために用意したのは、GoPro HERO7 Blackで撮影した4K 60fpsの動画データ。
書き出し条件とかかった時間は以下の通り。
H.264(Youtube 1080p FHD) | 5:22 |
---|---|
H.264(Youtube 2160p 4K UHD) | 5:40 |
一般的な薄型ノートパソコンだと40分以上かかることも多いので爆速。
動画編集マシンとしても、とても優秀です。
LightroomでRAW現像
デジカメで撮影したRAWデータの書き出し速度もチェックしてみました。
有効画素数3,635万のニコンD810で撮影したRAWデータ100枚をLightroomで書き出したところ、かかった時間は2分4秒。
主なCPUと結果を比較したグラフはこちら。
Core i9-10900K | |
---|---|
Core i9-9900K | |
Core i7-10700 | |
Core i7-9700 |
Core i9にはさすがに敵わないものの、実用上ストレスを感じることはほとんどないでしょう。
プロカメラマンが業務用途で十分使えるレベルの書き出し速度です。
Lightroomの書き出し条件は以下で統一しています。
画像形式 | JPEG |
---|---|
画質 | 100 |
カラースペース | sRGB |
画像のサイズ | 未調整(撮影データそのまま) |
解像度 | 350 |
メタデータ | すべてのメタデータ (人物情報や撮影場所の情報は削除) |
コスパを重視する方におすすめ
レビューのまとめとして、Legion T550iの特徴をおさらいします。
業界内でもトップクラスの高コスパ
高画質・高フレームレートで快適動作
1080pかつ60fpsで高画質配信も可能
動画編集用パソコンとしても超優秀
ファンがフル回転するとうるさい
在庫状況や出荷予定が不安定
Core i7-10700とGTX 1660 SUPERの組み合わせで、さらに無線LANも標準搭載しておきながら、消費税と配送料込みで12万円台というのは業界トップレベルの安さです。
ファンがフル回転するとうるさく感じるものの、イヤホンやヘッドセットなどをつけていると、ほとんど気になりません。
2021年1月15日(金)までなら5,500円引きのセールが適用されますし、記事執筆時点では48回まで分割手数料も無料。
在庫状況と出荷目安には要注意ですが、コスパ重視でゲーミングPCを探している方は、候補に入れてみてはいかがでしょうか。