日本HPが販売するゲーミングPC、OMEN 25L Desktop(AMD)をお借りしました。
機材貸出元:株式会社日本HP
Ryzen 5 5600XとRadeon RX 6700XTを搭載した、AMDづくしの白いOMENです。
記事執筆時点で公式サイトではすでに販売を終了していますが、Amazonなど一部サイトでは販売を継続している模様。
白いゲーミングPCを探している方は、ぜひご覧ください。
OMEN 25L(AMD)の概要と特徴
OMEN 25L Desktop(AMD)がどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
清潔感のあるおしゃれな白いケース
人気ゲームをサクサク快適にプレイ
1080p・60fpsでライブ配信も可能
公式サイトですでに販売を終了済
改造しづらい構造で拡張性も低め
基本的なスペックからケースの構造、実際に人気ゲームを動かして計測したフレームレートまで、順に詳しくご説明します。
スペック
今回お借りしたモデルの基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 11 Pro |
---|---|
CPU | Ryzen 5 5600X |
GPU | Radeon RX 6700 XT |
メモリ | DDR4-3200 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD Gen4 |
販売価格 | 231,000円(消費税・配送料込) |
販売価格は公式サイトではなく、Amazonを参考にしています。
CPUとGPUの細かい情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。
メモリは仕様上だとDDR4-3200となっていますが、CPU-ZではDDR4-3730と読み込まれていました。
国内のBTOメーカーと比べると、少しハイスペックなメモリを搭載しています。
OMENのレビュー
上位モデルのOMEN 45Lや40L、25Lもそれぞれ性能面を詳しくレビューしています。
あわせてご覧いただくと、各モデルのちがいがわかりやすいです。
ケース外観
ここからはケースのデザインを見ていきます。
構造は25L(Intel)とまったく同じようで、カラバリモデルと思われます。
正面から見て左側には強化ガラス製のサイドパネルを標準搭載。
仕様上の寸法は高さが約396mm、奥行きが約448mm、横幅が約165mmとゲーミングPCとしては比較的コンパクト。
重量も約13.81kgと標準的。
天面はメッシュ状になっており、空気が通りやすい構造です。
底面もメッシュ状になっており、ケースのエアフローを高めています。
LEDライティング
電源をONにすると、ケース前面のロゴマークやCPUクーラー、メモリが発光。
強化ガラスパネルが採用されていることもあり、非常に映えます。
ケースのライティングはプリインストールされている「OMEN Gaming Hub」から、好みに合わせてカスタマイズ可能。
撮影時は白色で統一しましたが、レインボーカラーなども設定できます。
パソコンが光っていると気が散る、という方は設定でOFFにしておくのがおすすめ。
アイドル状態が続くとライティングを自動でOFFにできたり、細かいところまで手が届くアプリです。
ケース前面にRGBファンがないため、45Lや40Lと比べるとやや落ち着いた印象でしょうか。
インターフェイス
電源ボタンなどはケース天面にあります。
- マイク
- ヘッドホン
- USB Type-A 5Gbps ×2
- 電源
リセットボタンは非搭載です。
独自のマザーボードが採用されていることもあり、背面の端子類は控えめです。
- USB 2.0 Type-A ×4
- SuperSpeed USB Type-C 5Gbps ×1
- SuperSpeed USB Type-C 10Gbps ×1
- ギガビットLANポート
- DisplayPort ×3
- HDMI ×1
Type-Cのポートが2つもあるのはとても便利。
また、無線LAN(Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2)も標準搭載。
ご家庭の都合で有線LANをつなげられない方も安心です。
オンラインゲームには有線でのネット接続を推奨します。
ケース内部
ケース内部はご覧の通り。
黒いケーブルが使われていることで、内部の配線があまり目立ちません。
マザーボードはMicroATXに近いサイズで、チップセットはB550。
市販の製品ではなく、独自仕様のものと思われます。
内部パーツへのアクセスは、ケース背面のボタンをワンタッチするだけ。
ドライバーなどの工具が不要で、ネジを紛失する心配もありません。
背面側のパネルは一般的なプラスドライバーでは開けられず、パーツ交換などの改造は難易度が高めです。
ケースファンのサイズは背面側が約10cm、前面は約12cm。
ベンチマークなどで負荷をかけると、そこそこ回転音が大きくなります。(46~48dB程度)
ファンの回転は手動で細かく設定することもできます。
無線LANのカードも確認できました。
PCIeスロットに空きはなく、仕様を見る限りM.2 SSDの空きスロットは1つあるようです。
ミドルタワーのゲーミングPCとして考えると、拡張性はやや低めです。
CPUクーラー
CPUクーラーはRGBファンを搭載したサイドフロータイプ。
ファンのサイズは実測で約10cmでした。
ゲーム起動中のCPU温度はおおむね60度台、CINEBENCH中でも60度後半をキープできており、冷却性能は見た目以上にしっかりしています。
ケース内部の高さが実測で約15cm程度しかないため、CPUクーラーを市販品に交換する際は注意が必要です。
グラフィックカード
グラフィックカードはツインファンのRX 6700 XTを搭載。
傾きやグラつきが発生しないよう、専用パーツでがっちりと固定されています。
グラボ交換は少々手間取りそうですが、サポートステイなどを別途買う必要がないのは便利です。
メモリ
メモリはHyperXの16GB(8GB×2)DDR4-3200MHz。
OMEN Gaming Hubからワンクリックで3467MHzにオーバークロックも可能です。
大幅な性能アップは見込めませんが、動作が不安定になることもないため、せっかくなら性能を最大限に引き出して使うことをおすすめします。
メモリをオーバークロックする際はPCの再起動が必要です。
ストレージ
M.2 SSDはWestern DigitalのWD_Black(Gen4)を採用。
発熱を抑えるヒートシンクは搭載されていないようです。
ケース前面には3.5インチのストレージを増設できるドライブベイもありました。
ストレージの増設はそこまで難しい作業ではありませんが、パーツ改造による故障はメーカー保証が適用されない可能性があるため、くれぐれも慎重に判断してください。
電源
電源はCooler Master社製の600W(80PLUS GOLD)を採用。
AMDの公式サイトによると、RX 6700 XT搭載マシンの推奨電源は650Wですが、600Wでもとくに問題はありません。
ベンチマークソフトを使用してCPUとグラボに強い負荷をかけた場合、PC全体の消費電力はおおむね300W台をキープしていました。
負荷が軽めのゲームだと300Wを下回ることもあり、600Wの電源で十分といえそうです。
将来的によりハイスペックなグラボへ交換することになった場合、600Wではパワー不足になる可能性もあります。
OMEN 25L(AMD)のベンチマーク
ここからはOMEN 25L Desktop(AMD)の性能を、各種ベンチマークソフトを使用して数値化していきます。
ベンチマークはすべてOMEN Gaming Hubでパフォーマンスモードに設定、メモリも3467MHzにオーバークロックして計測しています。
まずはパソコンの総合的な性能をチェックするPC Mark10を試した結果がこちら。
PCゲームはもちろん、写真や動画の編集、事務仕事など、あらゆる用途をサクサクこなせる素晴らしいスコアです。
計測結果はいずれも当サイトで検証したものなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R23
主なCPUをCINEBENCH R23のスコアで比較してみると以下の通り。
Core i7-12700F | |
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Core i5-12400F | |
Ryzen 5 5600X | |
Core i5-11400F | |
Ryzen 5 4500 |
Ryzen 5 5600Xとしては標準的なスコアです。
スコアはやや差が開いているものの、ゲーム性能という点ではCore i5-12400Fと同等以上のポテンシャルがあります。
Fire Strike
3DMarkのFire Strikeのスコアを比較すると以下の通り。
RTX 3080 | |
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RTX 3070 Ti | |
RX 6700 XT | |
RTX 3070 | |
RTX 3060 Ti |
RTX 3070のライバルにあたるグラボなので、妥当なスコアといえそうです。
フルHD解像度のモニターなら、ほとんどのゲームを最高画質でサクサク動かせます。
Crystal Disk Mark
Gen4対応のNVMe M.2 SSDが搭載されていることもあり、素晴らしい転送速度です。
書き出しは若干速度が落ちているものの、実用上気になることはほとんどないでしょう。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen4) | |
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NVMe M.2 SSD | |
SSD(SATA) | |
HDD |
オンラインゲーム
定番のベンチマークソフトも走らせました。
重量級ゲームのFF15が最高画質で「とても快適」、FF14は「非常に快適」という結果でした。
ほとんどのゲームを快適に動かせますが、グラフィックの重いゲームをヌルヌル動かしたいなら多少画質を落としてもよさそうです。
FF15
高品質 | 11794(とても快適) |
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標準品質 | 16002(非常に快適) |
軽量品質 | 19956(非常に快適) |
FF14 暁月のフィナーレ
最高品質 | 21251(非常に快適) |
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PCゲームのフレームレート検証
MSIのAfterburnerを使用して、人気ゲームの平均フレームレートを計測しました。
解像度はすべてフルHDで統一しています。
まずはフォートナイトをレンダリングモードごとに試した結果がこちら。
最高画質(DX11) | 93fps |
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競技設定(DX11) | 205fps |
最高画質(DX12) | 120fps |
競技設定(DX12) | 342fps |
競技設定(パフォーマンス) | 264fps |
RadeonはDirectX12と相性が良く、DirectX11やパフォーマンスモードではフレームレートが伸びづらい点に要注意。
数値上のフレームレートは出ていても、突発的にカクつきが発生することもあり、GeForceと比べるとやや安定感に欠ける印象です。
フォートナイトをメインに考えているなら、グラボはGeForceを選んだほうが無難かもしれません。
Apex Legendsは最高画質と低画質、それぞれ試しました。
最高画質 | 142fps |
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低画質 | 144fps |
Originの新規インストールができなくなり、EA appに更新したところ、フレームレートの上限を開放するコマンドが使用不可になった模様。
いろいろ試行錯誤したものの、解決策は見つからず。
最高画質でもほぼ144に張り付いていたため、ゲーム自体はサクサク快適に動かせました。
RadeonはApexと相性が良く、フレームレートがとても伸びやすいです。
そのほかのゲームはすべて最高画質で検証した結果です。
Overwatch 2 | 176fps |
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Battlefield 2042 | 114fps |
Escape from Tarkov | 105fps |
VALORANT | 373fps |
Rainbow Six Siege | 351fps |
ELDEN RING | 60fps |
モンスターハンターライズ | 138fps |
Overwatch 2はそこまでグラフィックが重くないため、最高画質(エピック)でもヌルヌル動かせました。
Battlefield 2042やタルコフをやりこむなら、多少画質を落としたほうがいいかもしれません。
レイトレーシング性能
続いてレイトレーシング(DXR)に対応したゲームの平均フレームレートをチェックしました。
ゲームのグラフィック設定はすべて最高に設定し、ベンチマークモードで計測しています。
Marvel’s Spider-Manにはベンチマークモードがないため、街並みを飛び回った際の平均値を計測しました。
Cyberpunk 2077 | 29fps |
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WATCH DOGS LEGION | 42fps |
FARCRY 6 | 83fps |
Marvel’s Spider-Man Remastered | 61fps |
Forza Horizon 5 | 102fps |
Radeonは伝統的にレイトレーシングの処理が苦手ですが、今回検証した限り、そこそこのスコアは出せるようです。
Cyberpunk 2077やWATCH DOGS LEGIONのような重いゲームでレイトレを試すのはあきらめたほうがよさそうです。
Cyberpunk 2077 | 59fps |
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WATCH DOGS LEGION | 88fps |
FARCRY 6 | 98fps |
Marvel’s Spider-Man Remastered | 88fps |
Forza Horizon 5 | 102fps |
レイトレをOFFにすると、グラフィックの重いゲームも快適にプレイできます。
Forza Horizon 5は設定を変えて何度か試したものの、ベンチマークのスコアが変わらず。
ゲーム実況の動画配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用、配信と同時に録画も実施します。
Apex Legendsでいろいろ試した結果、以下の設定でスムーズにライブ配信ができました。
ゲームの画質 | 低 |
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出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア(AMD, H.264) |
音声ビットレート | 128 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ソフトウェア(x264) |
フレームレートの上限を開放できていないこともあり、配信中も144fpsに張り付いていました。
録画のエンコーダはハードウェア(GPU)でも問題ありませんが、CPUに余力があるためソフトウェア(CPU)に設定しています。
フレームレートにこだわらず、カジュアルに楽しむ程度なら、最高画質で配信してもよさそうです。
配信するゲームやプレイスタイルに合わせて最適な設定を見つけてください。
クリエイティブ用途の動作検証
続いて動画や写真の編集など、クリエイティブ用途でも快適に使えるかを検証しました。
ゲーム以外の用途でもサックサクです。
Premiere Proで動画編集
まずはAdobeのPremiere ProでYoutube動画の編集を試しました。
動画素材をカットしてつなげたり、テロップや効果音を加える程度の編集なら、処理の遅延を感じることはほとんどありません。
After Effectsで演出を加えたり、4K動画の編集を考えているなら、メモリを16GBから32GB以上に増設してもよさそうです。
4K動画の書き出し
参考までに、4K動画の書き出し時間を計測しました。
検証のために用意したのは、GoPro HERO7 Blackで撮影した4K 60fpsの動画データ。
書き出し条件とかかった時間は以下の通り。
H.264(Youtube 1080p FHD) | 4:23 |
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H.264(Youtube 2160p 4K UHD) | 4:12 |
一般的な薄型ノートパソコンだと40分以上かかることもザラなので爆速です。
動画編集マシンとしても抜群に優秀です。
LightroomでRAW現像
デジカメで撮影したRAWデータの書き出し速度もチェックしてみました。
有効画素数3,635万のRAWデータ100枚をLightroomで書き出したところ、かかった時間は1分17秒と素晴らしい速さでした。
Gen4対応のM.2 SSDもスピードアップに貢献していると思われます。
写真編集用マシンとしても、文句なしの性能です。
Lightroomの書き出し条件は以下で統一しています。
画像形式 | JPEG |
---|---|
画質 | 100 |
カラースペース | sRGB |
画像のサイズ | 未調整(撮影データそのまま) |
解像度 | 350 |
メタデータ | すべてのメタデータ (人物情報や撮影場所の情報は削除) |
おしゃれで映える白いゲーミングPC
レビューのまとめとして、OMEN 25L Desktop(AMD)の特徴をおさらいします。
清潔感のあるおしゃれな白いケース
人気ゲームをサクサク快適にプレイ
1080p・60fpsでライブ配信も可能
公式サイトですでに販売を終了済
改造しづらい構造で拡張性も低め
HPでは「Victus 15L」という白いゲーミングPCも販売していますが、ケースの中身は見えず、OMENと比べるとスペックも控えめ。
ゲーミングPCとしての性能と見た目のおしゃれさ、どちらも妥協したくない方にとって、白いOMEN 25Lは有力候補になれそうです。
動画にもまとめているので、あわせてご覧いただくとより分かりやすいです。
今後、公式サイトで後継モデルが販売されるのかなど、詳細は一切不明。
国内に在庫がどの程度残っているのかもわかりませんが、気になる方はAmazonをチェックしてみてください。