BTOパソコン通販専門店のSTORM(ストーム)が販売する最新モデル、新界(シンカイ)シリーズ(PZ-KFSTi47)をお借りしました。
機材貸出元:株式会社アイティーシー
Core i7-13700FとRTX 4070 Tiの構成で人気ゲームをどれくらい動かせるかはもちろん、裏配線に特化した独自構造もわかりやすく解説しました。
見た目のカッコよさと性能の高さ、どちらも妥協したくない方におすすめな1台です。
新界(PZ-KFSTi47)の概要
2023年7月、都内某所で開催された製品発表会でお披露目された新界シリーズ。
MSIの裏配線マザーボード、B760M PROJECT ZEROを採用した独自モデルがついに発売です。
同時に発表された幻界シリーズについては記事執筆時点で未発売。
そのうち具体的な情報が出てくると思われます。
新界シリーズの主な特徴を整理すると以下の通り。
ケーブルがほぼ見えない独自構造
流行りのピラーレスケースを採用
重いゲームもサクサク快適に動作
PC1台でVTuberとして活動可能
ストレージの拡張性はやや低め
スペックだけ見ると価格は高め
基本的なスペックから搭載されている内部パーツ、実際に人気ゲームを動かして計測したフレームレートまで、順に詳しくご説明します。
スペック
今回お借りしたモデルの主なスペックをまとめました。
OS | Windows 11 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Core i7-13700F |
GPU | GeForce RTX 4070 Ti |
メモリ | DDR5-4800 32GB(16GBx2) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
販売価格 ※税込・送料別 | 330,000円 |
CPUは13世代のCore i7で、最新世代ではないものの必要十分な性能が備わったハイスペックモデル。
CPUやGPUの細かいスペックはこちらをご覧ください。
メモリとストレージもゲーム用途であれば必要十分な容量を搭載。
動画編集などの用途でもPCをフル活用するなら、注文時のカスタマイズで増設しておくことをおすすめします。
パソコンの仕様および価格は時期によって変動します。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
ケース外観
ケースは最近流行りのピラーレスタイプ。
正面から見て左側と前面が強化ガラスパネルになっており、ケース内部を広く魅せられます。
仕様上の寸法は高さが455mm、奥行き440mm、横幅は220mm。
グラボの補助電源以外、ケーブル類がほとんど見えない特殊な構造です。
また、上下左右のパネルをツールレスで脱着できるのも特徴のひとつ。
底面から冷たい空気を吸い込んで、側面と背面、天面へ排気する構造です。
天面パネルも少しばかりのパワーで脱着が可能。
ほこりがたまってきたときなど、ドライバーなどを使わずにパネルを外せるのは便利です。
底面にはマグネット式の防塵パネルを採用。
ケースの配線が伸びていることもあり、パネルの取り付けにはややコツがいりますが、簡単に掃除ができるのは楽です。
インターフェイス
電源ボタンなどはケースの下側にあります。
- USB3.0 ×2
- 電源
- マイク/ヘッドホン
- LEDコントロール
- USB3.1 Gen 2 Type-C
机の上、右手側に設置する分には気になりませんが、床に設置する場合や、机の上でも左手側に設置する場合は少々使いづらい配置です。
部屋のどこにPCを設置するのか、事前にイメージしておいた方がよいでしょう。
Type-Cのポートが使えるのは便利です。
背面の入出力端子も必要十分といった印象。
- USB 2.0 ×4
- USB 3.2 Gen2 Type A ×3
- USB 3.2 Gen2x2 Type C ×1
- Realtek 2.5Gbps LAN
- DisplayPort ×3
- HDMI ×1
2.5Gの有線LANに加え、無線LAN(Wi-Fi 6E Bluetooth)にも対応。
ご家庭の都合で有線LANをつなげられない方も安心です。
オンラインゲームには有線でのネット接続を推奨します。
LEDライティング
電源をONにすると、側面と背面のLEDファンが発光。
色や発光パターンはLEDコントロールのボタンから変更が可能。
マザーボード経由のソフトウェアによる制御には対応していないようです。
真っ白はもちろん、虹色に光らせたり点滅させることもできるなど、発光パターンはかなりたくさん用意されています。
LEDコントロールのボタンを長押しすることでライティングを消すことも可能。
その日の気分でライティングをカスタマイズできます。
本来は本格水冷のポンプを設置するためのスペースと思われますが、お気に入りのフィギュアを飾れば、LEDファンがカッコよく照らしてくれます。
ケース内部
ケース内部はご覧の通り。
新界シリーズ最大の特徴ともいえる裏配線構造です。
CPUの補助電源や24ピンケーブルも、すべてマザーボードの裏側から接続。
完成品として見る分には面白いですが、ピンを曲げてしまいそうで組み立てはとても大変そうです。
システムファンやUSB2.0、オーディオ系の端子もすべて裏側で接続。
各種ファンはハブ経由で制御されていました。
マザーボード
マザーボードはMicroATX規格のMSI B760M PROJECT ZEROを採用。
CPU-Zで読み取った情報は以下の通り。
PCIeの空きスロットは×1と×16をそれぞれひとつずつ確認。
表側にコネクタやケーブルが一切ないため、内蔵キャプチャーボードなどの拡張カードを挿しやすそうです。
BIOSはMSIおなじみの構造で、PROJECT ZERO仕様のデザインにカスタムされていました。
CPUクーラー
CPUクーラーは240mmラジエーターの簡易水冷タイプ。
ファンは光りません。
サイドフロータイプの空冷クーラーを採用したモデルも販売中です。
ポンプヘッドの表示はプリインストールされた専用ソフトウェアからカスタマイズが可能。
CPUの使用率や温度をはじめ、時計なども表示可能。
静止画ではなく動きのある映像なので、眺めているだけでも楽しめます。
プリセットはとても多く、LEDファンのライティングに合わせてカスタマイズしてみてください。
グラフィックカード
グラフィックカードはINNO3D製のRTX 4070 Tiを搭載。
スリムなトリプルファンで、低負荷時はファンが停止するセミファンレス機能に対応。
補助電源には450Wの白い16ピンケーブルが使われていました。
メモリ
メモリはCrucial製のDDR5-4800 32GB(16GB×2)を標準搭載。
CPU-Zで読み取った情報は以下の通り。
注文時に光るメモリを選択できると良いのですが、記事執筆時点ではカスタマイズの選択肢にRGBメモリが用意されていません。
ストレージ
M.2 SSDはヒートシンクに隠れて姿が見えません。
CrystalDiskInfoで読み取った情報によると、CrucialのP3が採用されているようです。
注文時にもう1台、M.2 SSDを増設できるほか、背面のシャドウベイにSATAタイプのSSDを最大2台まで搭載可能。
背面のケーブルはがっちり固定されているため、シャドウベイにストレージを固定するのは少々大変。
自作経験が豊富な方はともかく、大容量のストレージが必要な方は注文時にカスタマイズしておくのが無難です。
もちろんSATAのコネクタも背面にあります。
L字型のSATAケーブルがあると使いやすそうです。
電源横のスペースには余裕がなく、3.5inのストレージは搭載できません。
2.5inを2台搭載できれば十分に思いますが、ストレージの拡張性よりデザインを優先した構造といえそうです。
電源
電源は850W(80PLUS GOLD)を採用。
NVIDIAの公式サイトによると、RTX 4070 Ti搭載マシンの最小システム電力は700W。
容量不足については心配無用ですが、欲をいえば電源も白で統一してほしかったところ。
新界(PZ-KFSTi47)の性能
ここからは各種ベンチマークソフトを使用して、搭載パーツの性能を数値化していきます。
いずれも素人が計測したデータなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R23
主なCPUをCINEBENCH R23のスコアで比較してみると以下の通り
65Wに制限したCore i7-13700Fと比べると、マルチコアのスコアが大幅に伸びています。
BIOSを確認してみると、PL1:160W、PL2:219Wに設定されていました。
240mmの簡易水冷クーラーに合わせて、CPUの消費電力を上げているようです。
3D Mark
3DMarkのSpeedWayを走らせて、主なグラボとスコアを比較しました。
フルHDやWQHDはもちろん、4Kでも重いゲームを快適に楽しめる素晴らしいスコアです。
Crystal Disk Mark
Gen3としてはなかなか良い転送速度が出ています。
書き出しは若干速度が落ちているものの、体感できるほどの差はないため気にする必要はありません。
転送速度にこだわる方は、注文時のカスタマイズでGen4に変えることもできます。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen 5) | 10,000MB/s |
---|---|
NVMe M.2 SSD (Gen 4) | 4,000~7,000MB/s |
NVMe M.2 SSD (Gen 3) | 2,000~3,000MB/s |
SSD(SATA) | 550MB/s |
HDD | 120~160MB/s |
静音性
市販の騒音計(サンコー小型デジタル騒音計)を使用して、用途ごとの騒音を計測しました。
高負荷時も50dBを超えることはなく、搭載スペックを考えると騒音を抑えられている方です。
ただアイドル時(PCで何も動かしていない状態)でも扇風機を「弱」で回している程度の音が常に発生しており、無音とは言えない状態。
イヤホンなどをつけていればまったく気になりませんが、静音にこだわる方はやや気になるかもしれません。
筆者が使用している騒音計の目安は以下の通り。
60dB~ | 掃除機に匹敵するほどうるさい 遮音性の高いイヤホンやヘッドセットが必須 |
---|---|
50~60dB | 大多数の人がうるさく感じる イヤホンやヘッドセットの使用が必須 |
45~50dB | ファンの音がやや気になりはじめる イヤホンやヘッドセットの使用を推奨 |
40~45dB | ファンの音は聞こえるが不快ではない スピーカーでもゲームはプレイ可能 |
38~40dB | PCに耳を近づけると音が聞こえる程度 スピーカーでも快適にプレイが可能 |
冷却性能
PCに負荷をかけたときの温度も確認しました。
CINEBENCH R23は計測開始直後にPL2の設定値(219W)まで消費電力が一気に上がりますが、CPU温度は最大でも83度。
PL1の160Wで動作している間も70度前後で安定していました。
実際の用途でCINEBENCHほど強烈な負荷をかけることは滅多にないため、この程度の温度上昇であれば心配無用です。
ゲーム起動中はCPU、GPUともに60~70度前後といったところ。
プレイするゲームによって温度は変動するものの、必要十分な冷却性能といえそうです。
PCゲームのフレームレート検証
まずは定番のベンチマークソフトを3種類試しました。
いずれも画質は最高設定で試しています。
フルHD | WQHD | 4K | |
---|---|---|---|
FF15 | 19,701 非常に快適 | 15,948 非常に快適 | 9,030 とても快適 |
FF14 暁月のフィナーレ | 29,748 非常に快適 | 27,017 非常に快適 | 16,530 非常に快適 |
BLUE PROTOCOL | 33,997 極めて快適 | 26,457 極めて快適 | 13,622 極めて快適 |
グラフィックの重いFF15は4Kだと「非常に快適」に一歩届かずでしたが、画質を下げなくともストレスなく動かせそうです。
続いてMSIのAfterburnerを使用して、人気ゲームの平均フレームレートをフルHD解像度で計測しました。
フォートナイトはDirectX12とパフォーマンス、レンダリングモードごとに検証。
最高画質(DX12) | 117fps |
---|---|
競技設定(パフォーマンス) | 465fps |
DirectX12ではアンチエイリアスを「TSR最高」、テンポラルスーパー解像度は「推奨」、さらにハードウェアレイトレーシングもONで計測しています。
パフォーマンスモードの競技設定は3D解像度のみ100%で計測。
最近のアップデートで初期マップに戻ったこともあり、直近のデータと比べてかなり軽くなっています。
今後のアプデでまた変動すると思いますが、ガチ勢の方も十分納得できる性能です。
そのほかのゲームはすべて最高画質で検証した結果です。
Apex Legends | 288fps |
---|---|
VALORANT | 393fps |
Escape from Tarkov | 118fps |
Overwatch 2 | 469fps |
Apex Legendsは最高画質のままでも上限の300付近で安定するため、フレームレートにこだわらないなら画質を下げる必要がありません。
VALORANTやOverwatch 2をやりこむなら、360Hz以上のハイエンドモニターと組み合わせてもよさそうです。
高解像度での検証
WQHDと4Kでも人気ゲームをいろいろ動かしてみました。
レイトレーシングやフレーム生成、DLSSやFSRなどに対応しているゲームはいずれもONで検証しています。
ARMORED CORE VI | 115fps |
---|---|
Assassin’s Creed Mirage | 155fps |
Starfield | 132fps |
Cyberpunk 2077 | 107fps |
Forza Horizon 5 | 202fps |
Cyberpunk 2077はもっとも重たい設定のオーバードライブモードで検証。
DLSS 3.0やフレーム生成がうまく機能しているためか、WQHDならグラフィックが重いタイトルも最高画質で快適に楽しめます。
ARMORED CORE VI | 108fps |
---|---|
Assassin’s Creed Mirage | 107fps |
Starfield | 70fps |
Cyberpunk 2077 | 66fps |
Forza Horizon 5 | 144fps |
4Kでは全体的にフレームレートがダウンしているものの、いずれも快適にプレイ可能。
Cyberpunk 2077は場面によって若干カクつくことがあるかもしれませんが、多少画質を調整するだけでストレスなくプレイ可能です。
ゲーム実況のライブ配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用し、配信と同時に録画も実施しています。
Core i7-13700FとRTX 4070 Tiの組み合わせならスペックに余裕があるため、別売りのWebカメラを使用して、FaceRigでアバターも表示しながら試しました。
OBSの主な設定は以下の通り。
ゲームの画質 | 最高 |
---|---|
出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア |
音声ビットレート | 128 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ハードウェア |
最高画質のApex Legendsで試したところ、配信&録画中も平均フレームレートは250前後で安定。
配信するゲームによっては多少設定の調整が必要になるかもしれませんが、PC1台でVTuberとしてゲーム実況の配信も可能です。
これからライブ配信に挑戦してみたい方はもちろん、すでにストリーマーとして活躍している方にも安心しておすすめできます。
価格は高めだが満足感もたっぷり
レビューのまとめとして、新界(PZ-KFSTi47)の特徴をおさらいします。
ケーブルがほぼ見えない独自構造
流行りのピラーレスケースを採用
重いゲームもサクサク快適に動作
PC1台でVTuberとして活動可能
ストレージの拡張性はやや低め
スペックだけ見ると価格は高め
ピラーレス構造のケースと裏配線に特化したマザーボードを組み合わせたことで、これ以上ないほどに見た目がすっきり。
記事執筆時点ではMSIのB760M PROJECT ZEROと対応ケースは一般流通しておらず、購入できるのはストームの新界のみ。
デスクトップPCのケーブルを極力見せたくない方にとって、非常に魅力的な存在になるのではないでしょうか。
基本的なスペックだけで比較すると業界最安とは言えませんが、独自構造のケースやマザーボードなど、搭載パーツを見ていけば納得感は十分。
また、新界シリーズ購入でMSIのゲーミングモニター(フルHD、100Hz)がもらえるキャンペーンも実施中。
先着順とのことで、すでに終了していた場合はご了承ください。
11月30日まで36回まで分割手数料が無料になるキャンペーンも実施中なので、見た目にこだわった1台を探している方は、ストームをチェックしてみてはいかがでしょうか。