日本HPが販売するゲーミングPC、OMEN 35Lをお借りしました。
機材貸出元:株式会社日本HP
Core Ultra 7 265KとGeForce RTX 5070 Tiで人気ゲームをどれくらい動かせるかはもちろん、高負荷時の騒音や発熱についても検証結果をわかりやすくまとめています。
見た目もおしゃれで満足度の高いゲーミングPCを探している方は、ぜひじっくりご覧ください。
OMEN 35L(インテル)の概要

今回お借りした製品の特徴をまとめると以下の通り。
おしゃれで高級感のある白色ケース
人気ゲームを高画質で快適にプレイ
高負荷時もそよ風程度の騒音で快適
PC1台でVTuberとして活動も可能
競技ゲームガチ勢には不向き
基本的なスペックから搭載されている内部パーツ、実際に人気ゲームを動かして計測したフレームレートまで、順に詳しくご説明します。
スペック
主なパーツ構成と記事執筆時点の販売価格はこちら。
OS | Windows 11 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Core Ultra 7 265K |
GPU | GeForce RTX 5070 Ti 16GB |
メモリ | DDR5-5600 32GB(16GBx2) |
ストレージ | 2TB NVMe SSD(Gen4) |
販売価格 | 338,800円 |
CPUとGPUの細かい情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。


メモリやストレージもゲーム用途がメインであれば必要十分な容量を搭載。
注文時に増設できると便利なのですが、HPのオンラインストアはカスタマイズに対応していません。
パソコンの仕様および価格は時期によって変動します。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
ケース外観


仕様上の寸法は高さが約410mm、奥行きが約408mm、横幅が約210mm。
重量は約14.5kgと、ミドルスペックのゲーミングPCとしては標準的です。


以前レビューしたブラックの35L(AMD)はフロントパネルが強化ガラスでしたが、ホワイトはメッシュパネルとなっており、構造が少し異なります。



電源をONにすると、前後のファンとCPUクーラー、メモリなどが発光。

ライティングはプリインストールされている「OMEN Gaming Hub」から、好みに合わせてカスタマイズできます。


底面にはハメ込み式の防塵フィルターを搭載。
パソコンが倒れると危険なため、あらかじめケースを寝かせてから作業することをおすすめします。
メンテナンスのやりやすさを考えると、ここはスライド式にしてほしかったところ。

天面はメッシュ状になっていますが、脱着可能な防塵パネルはありません。
ほこりが目立ってきたときは、ハンディクリーナーなどで掃除するしかなさそうです。


フロントパネルも簡単に脱着が可能。
ケース下側に指を入れられる隙間があり、少し力を入れると取り外せます。
一番ほこりがたまりやすい場所なので、数か月に1回くらいは掃除することをおすすめします。
インターフェイス

電源ボタンなどはケース天面にあります。
- コンボポート
- USB Type-C 10Gbps ×1
- USB Type-A 5Gbps ×2
- 電源
Type-Cが用意されている点や、転送速度が記載されているのもわかりやすくてGoodです。

背面はとてつもない数の入出力端子が並んでいます。
- Thunderbolt 4 40Gbps ×1
- USB Type-C 10Gbps ×1
- USB Type-A 5Gbps ×2
- USB 2.0 Type-A ×4
- 2.5Gb LANポート
- HDMI2.1 ×1
- DisplayPort2.1a ×3
無線LAN(Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4)も標準搭載。
ご家庭の都合で有線LANをつなげられない方も安心です。
ケース内部


光るファンが多いこともあり、背面側のケーブルは少々ゴチャついている印象です。

ファンハブもありました。


リアファンは120mmが1台、フロントは140mmが2台です。
マザーボード

マザーボードは独自仕様の製品が採用されており、チップセットはZ890。
仕様から判断する限り、グラボの裏側にM.2 SSDの空きスロットがあるようです。
CPUクーラー

CPUクーラーは240mmラジエーターの簡易水冷を標準搭載。

RGBファンのライティングはもちろん、ポンプヘッドの表示もOMEN Gaming Hubからカスタマイズが可能。
モニタリングデータや時計の表示をはじめ、GIF画像を読み込むこともできるため、その日の気分に合わせて表示を変えられます。
グラフィックカード

グラボはトリプルファンのRTX 5070 Tiを搭載。
電源をONにすると文字の部分が光るものの、単色発光のみ。
ケースのフロントパネル側でグラボをがっちりと固定しているため、自重で傾く心肺はなさそうです。
メモリ

メモリはKingstonのFURYを標準で搭載。


仕様上はDDR5-5600となっていますが、OMEN Gaming HubからXMPを読み込むことで6000に設定も可能。

劇的な変化は期待できないものの、パフォーマンスにこだわるならオーバークロックして使うことをおすすめします。
ストレージ

M.2 SSDには発熱を抑えるためのヒートシンクが搭載されていて、姿が見えません。
CrystalDiskInfoで読み取った情報は以下の通り。

型番から判断する限り、ウェスタンデジタルの製品が採用されているようです。

シャドウベイはケースのフロント側に1台のみ。
拡張性は控えめです。
電源

電源は1000W(80PLUS GOLD)を搭載。
RTX 5080搭載マシンの最小システム電力は750Wで、容量不足は心配無用。
仕様に「ゼロRPM対応」と書かれており、低負荷時はファンが止まるセミファンレスタイプと思われます。
OMEN 35L(インテル)の性能

ここからは各種ベンチマークソフトを使用して、搭載パーツの性能を数値化していきます。
ベンチマークはすべてOMEN Gaming Hubでパフォーマンスモードに設定して計測。

いずれも素人が計測したデータなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R23

Core Ultra 7 265Kとしてはマルチコアのスコアが控えめです。
これはPL1:160W、PL2:250Wに設定されているため。
CPUを常時フルロードさせるような用途はともかく、ゲーム用途がメインであれば気にする必要はまったくありません。

OMEN Gaming HubからCPUのオーバークロックもできますが、動作が不安定になる恐れもあるため、下手に手を出さないほうが良いでしょう。

計測中の温度も確認してみると、250Wで動作すると90度を超えていましたが、160Wでの動作中は60~70度台で安定。
冷却性能も問題なさそうです。
3D Mark

RTX 5070 Tiの標準的なスコアがきっちり出ています。
一部の極端に重たいゲームを除けば、4Kの最高画質で幅広いゲームをサクサク快適に楽しめる実力があります。
Crystal Disk Mark

Gen4 SSDとしては悪くない転送速度です。
ハイエンドクラスの製品と比べると若干差はあるものの、体感できるほどの差はないため気にする必要はないでしょう。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen 5) | 10,000~15,000MB/s |
---|---|
NVMe M.2 SSD (Gen 4) | 4,000~7,000MB/s |
NVMe M.2 SSD (Gen 3) | 2,000~3,000MB/s |
SSD(SATA) | 550MB/s |
HDD | 120~160MB/s |
静音性
市販の騒音計(サンコー小型デジタル騒音計)を使用して、用途ごとの騒音を計測しました。

CPUに高負荷をかけるとそれなりに音が発生するものの、ゲームを動かすくらいならほぼ無音。
かつてのOMENは高負荷時の騒音があまりにもひどかったのですが、35Lはとても静かです。
シェーダーのコンパイル中など、ゲームでもCPUに負荷がかかると一時的に音が大きくなる場面はあるものの、ほぼ気にならないレベルです。

ファンの回転量もOMEN Gaming Hubから細かく設定可能。
こだわりがなければデフォルト設定のままで問題ありません。
筆者が使用している騒音計の目安は以下の通り。
60dB~ | 掃除機に匹敵するほどうるさい 遮音性の高いイヤホンやヘッドセットが必須 |
---|---|
50~60dB | 大多数の人がうるさく感じる イヤホンやヘッドセットの使用が必須 |
45~50dB | ファンの音がやや気になりはじめる イヤホンやヘッドセットの使用を推奨 |
40~45dB | ファンの音は聞こえるが不快ではない スピーカーでもゲームはプレイ可能 |
38~40dB | PCに耳を近づけると音が聞こえる程度 スピーカーでも快適にプレイが可能 |
PCゲームのフレームレート検証

まずは定番のFF14ベンチを解像度ごとに回してみました。
フルHD | 24,746 非常に快適 |
---|---|
WQHD | 21,344 非常に快適 |
4K | 13,878 とても快適 |
4Kの判定は非常に快適に届かずでしたが、実際はストレスなく遊べると思われます。
そのほか定番ゲームのベンチマークも解像度ごとに回してみました。
フルHD | WQHD | 4K | |
---|---|---|---|
CoD:BO6 | 260fps | 202fps | 138fps |
アサクリシャドウズ | 116fps | 111fps | 89fps |
Cyberpunk 2077 | 289.00fps | 198.83fps | 112.08fps |
黒神話:悟空 | 215fps | 167fps | 102fps |
いずれも最高画質でアップスケーリングはDLSSのクオリティに統一、Cyberpunk 2077と黒神話:悟空はマルチフレーム生成を4xに設定して計測した結果です。
レイトレーシングに対応した激重タイトルも、4Kの最高画質でストレスなく遊べます。
フルHD | 242fps |
---|---|
WQHD | 218fps |
4K | 163fps |
モンハンワイルズはベンチマークではなく製品版をウルトラ画質、レイトレ 高設定で実際にプレイ。
マルチフレーム生成 4xを設定し、隔ての砂漠でアルシュベルド討伐クエストを動かして平均値をまとめました。
RTX 5070 Tiなら従来のフレーム生成(2x)でも4Kで70~80fps前後は出るため、無理にマルチフレーム生成を使う必要はなさそうです。
続いて定番のシューター系ゲームをフルHDで実際にプレイして、平均フレームレートを計測しました。
フォートナイトはDirectX12とパフォーマンス、レンダリングモードごとに検証。
競技設定(DirectX12) | 236fps |
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競技設定(パフォーマンス) | 243fps |
3D解像度と描画距離を最高、その他は最低まで落とした、いわゆる競技設定でソロマッチをプレイ。
カジュアルに遊ぶには十分な性能ではありますが、ゲーム最強クラスの性能を持つRyzen 7 9800X3Dと比べるとフレームレートの伸びはイマイチ。
これはCore Ultraの特性みたいなもので、グラフィックの軽いゲームではRyzenと比べてフレームレートが伸びづらいです。
Apex Legends | 251fps |
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VALORANT | 359fps |
Apex LegendsとVALORANTも、最高画質でストレスなく遊べるだけのフレームレートは出ます。
Apex Legendsは低画質まで落としても平均値がほとんど変わらないため、無理に画質を下げなくてよさそうです。
カジュアルに遊ぶ分には十分な性能ですが、本気でプロゲーマーを目指すような方だと物足りなさを感じてしまうかもしれません。
ゲーム実況のライブ配信

TwitchでApex Legendsのゲーム実況をスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用し、配信と同時に録画も実施。
VTube Studioでアバターも表示しながら試しました。
ゲームやOBSの主な設定は以下の通り。
ゲームの設定 | フルHD、最高画質 |
---|---|
出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア(NVENC, H.264) |
音声ビットレート | 160 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ハードウェア(NVENC, H.264) |
VTube StudioはCPUの負荷がそこそこ高いソフトウェアですが、途中で映像が乱れたり、配信が停止するようなこともなく、最後までノートラブル。
フレームレートは200前後まで落ち込むため、本気でやりこんでいる方だと少し気になるかもしれません。
配信中にパソコンの騒音が気になってしまう方には、魅力的な選択肢になりそうです。
カジュアルゲーマーにおすすめ

レビューのまとめとして、改めて特徴をおさらいします。
おしゃれで高級感のある白色ケース
人気ゲームを高画質で快適にプレイ
高負荷時もそよ風程度の騒音で快適
PC1台でVTuberとして活動も可能
競技ゲームガチ勢には不向き
おしゃれなPCで、静かにゲームを楽しみたいカジュアル派の方におすすめのマシンです。
フォートナイトやVALORANTのような競技性の高いゲームでランク上位を目指すようなは、他社製品を探したほうが良いでしょう。
価格も落ち着いてきて割高感はないものの、HPはVTuberコラボなどで大幅な値引きを実施することもあるため、いつ買うべきかの見極めが非常に難しいです。
HPのオンラインストアは常に何かしらのセールが実施されているため、OMENが気になっている方はこまめにチェックしてみるのがおすすめです。