Lenovoが販売するゲーミングノート、Legion 750iをお借りしました。
機材貸出元:レノボ・ジャパン合同会社
240Hzの高リフレッシュレートモニターをはじめ、32GBメモリにRTX2080 SUPERを搭載したハイエンドモデル。
消費税と配送料込みで262,909円と、なかなか勇気のいる価格帯ですが、果たしてどれだけの性能を発揮できるのか、各種用途で検証しました。
極上のゲーミングノートを探している方は、ぜひじっくりご覧ください。
Lenovo Legion 750iの基本情報
Legion 750iがどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
最高画質でサクサク動かせる
240Hzの高リフレッシュレート
ゲーム実況やライブ配信も可能
テレワークや事務用途でも活躍
在庫状況が少々不安定
納期が2~3週間と長い
「各種人気ゲームでどれくらいフレームレートを出せるのか先に知りたい!」
という方はこちらからご覧ください。
スペック
CPUやGPUなど、今回お借りしたモデルの基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Core i7-10750H |
GPU | GeForce RTX 2080 SUPER with Max-Q Design |
メモリ | 32GB(16GB×2) |
ストレージ | NVMe M.2 SSD 1TB |
CPUは6コア12スレッドで動作周波数は2.60GHz(最大5.00GHz)と、ノートパソコン向けCPUとしてはハイエンドクラス。
GPUはハイエンドクラスのRTX2080 SUPERのMax-Qタイプですが、デスクトップPCに搭載されるRTX2080と比較すると、性能は若干落ちます。
CPUとGPUの詳しいスペックを知りたい方は、こちらをご覧ください。
メモリは標準仕様で32GB(16GB×2)、ストレージも1TBとたっぷり。
ゲームはもちろん動画編集などの用途でも使えますし、Office搭載モデルならビジネス用途でも活躍間違いなしです。
価格
Legion 750iのラインナップは大きく3種類。
各スペックと価格を整理すると以下の通り。
CPU | Core i7-10750H | ||
---|---|---|---|
GPU | RTX2060 | RTX2070 SUPER Max-Q | RTX2080 SUPER Max-Q |
メモリ | 16GB | 32GB | |
ストレージ | 1TB NVMe SSD | ||
販売価格 | 175,111円 | 198,370円 | 262,909円 |
いずれもOfficeを搭載した場合、2万円ほど値段が上がります。
ちなみに2021年1月15日(金)まで、Lenovoは「Legion祭」というセールを実施中で、Legion 750iも対象モデルのひとつ。
Eクーポン「MATSURI0115」を使用すると5,500円OFFになるので、忘れずにチェックしましょう。
ただし、記事執筆時点でRTX2060搭載モデルは在庫切れで、RTX2080 SUPER搭載モデルは納期が最短で2~3週間と非常に長くなっています。
デザイン・大きさ
ここからはLegion 750iのデザインをチェックしていきます。
メタリックグレーの天板に「LEGION」のロゴが目立ちます。
仕様上の大きさは359.3x259xmm。
15.6型のゲーミングノートとしては比較的スリムに仕上がっています。
分厚さはたったの19.9mmで、ゲーミングノートとしてはなかなかの薄型ボディ。
背面の排気口がカッコいいです。
重量は実測で約2.2kgでした。
一般的な薄型ノートパソコンと比べると重く感じますが、ちょっとした外出程度なら問題なく持ち運べます。
ACアダプター
ACアダプターは最大出力230Wの大容量タイプで、単体でそれなりの大きさがあります。
仕様上のバッテリー駆動時間(JEITA2.0)は最長8.5時間とたっぷりですが、ゲーミングノートは消費電力が高いため、基本的にACアダプターへの接続は必須。
とくにPCゲームのプレイ中は電力消費が激しく、バッテリー駆動ではパフォーマンスが著しく落ちます。
ちょっとした事務作業程度なら、バッテリーだけで数時間はまかなえるでしょう。
ACアダプターの重量は実測で約900gでした。
パソコンと一緒に持ち歩くと3kgを超えるので、長時間の移動は少々しんどいです。
インターフェイス
ここからはインターフェイスを見ていきます。
- USB3.1 Type-C(Thunderbolt 3)
- USB3.0 Type-C
- マイク・ヘッドホン コンボジャック
Thunderbolt 3に対応しているのはとても便利です。
- USB 3.0
カードリーダーは非搭載。
外部データを取り込みたいときは、外付けのカードリーダーなどを別途用意する必要があります。
- HDMI
- USB 3.1 ×1
- LAN
- 電源
- セキュリティホール
有線で接続するためのLANポートもありますが、次世代通信規格のWi-Fi 6に対応。
無線でもオンラインゲームを快適にプレイできます。
Bluetooth 5にも対応しているので、マウスやゲームパッドなどをワイヤレスでつなげられます。
キーボード
キーボードはテンキー付きの日本語配列(84キー)。
上下左右のカーソルキーやテンキーなど、いずれもクセの少ない配列で打ちやすいです。
強いて気になる点を挙げるなら、¥マークのキーだけ極端に小さく、バックスペースと打ち間違えそうになります。
エンターキーも小さめなので、ブラインドタッチをマスターするまでは多少慣れが必要かもしれません。
スピーカーも搭載していますが、ゲーム起動中は冷却ファンがフル回転するため、音質は期待できません。
とくに足音や銃声の聞き分けが重要なゲームは、イヤホンやヘッドセットが必須と考えましょう。
ファンクションキー(Fn)とQを押すことで、ファンの回転を制御可能。
ゲーム中はフル回転がおすすめですが、カフェで事務作業をするときなどは静音モードがおすすめ。
パソコンを使用する場所や用途に合わせて、各モードを使い分けられます。
タッチパッドは一体型で、パソコンの中心より少しだけ左側に寄せられています。
サラサラとした質感で操作しやすいです。
バックライト
バックライトの制御は、プリインストールされているコルセアのソフトウェア「iCUE」を使用。
たくさんのプリセットが用意されているほか、好みの色にカスタマイズすることも可能。
ファンクションキーとスペースキーだけでも発光パターンを切り替えられますが、バックライトにこだわる方はiCUEで設定しましょう。
キーボードだけでなく、背面の排気口や側面のUSBポートも光ります。
ディスプレイ
ディスプレイは15.6型のフルHD(1,920×1,080)解像度で視野角の広いIPSパネルを採用。
ノングレア(非光沢)で見やすく、ふちの薄いナローベゼル仕様なので、従来の15.6型よりコンパクト。
リフレッシュレートは240Hzと非常に高く、PS4やSwitchでは実現できない高フレームレートのヌルヌル感を味わえます。
ディスプレイ上部のWebカメラは物理的なロックが可能。
マスキングテープなどでカメラをふさぐ人も多いですが、ワンタッチでふたを開閉できるのは便利です。
使用する場面は少ないと思いますが、ディスプレイはほぼ水平に開きます。
sRGBカバー率約99.6%
ディスプレイの色域をi1 Display Proでチェックしたところ、sRGBカバー率は約99.6%、AdobeRGBカバー率が約76.1%でした。
ゲーミングノートとしては非常に色域が広く、WebデザインやRAW現像など、Web上で完結する業務なら仕事でも使えるレベル。
ただし、ガンマカーブには多少の乱れが見られたので、業務用途で使う場合は事前にキャリブレーションすることをおすすめします。
Legion 750iのベンチマーク結果
ここからはLegion 750iの性能を、各種ベンチマークソフトを使用して数値化していきます。
まずパソコンの総合的な性能をチェックするPC Mark10のスコアは4,651でした。
ノートパソコンで5,000を超えることはめったにないので、さすがというべきでしょうか。
計測結果はいずれも当サイトで検証したものなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH
まずはCINEBENCH R15でCPUの性能をチェックしてみたところ、1,094cbという結果でした。
主なCPUとスコアを比較してみると以下の通り。
Core i7-10875H | |
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Core i7-10750H ※別モデル | |
Core i7-9750H | |
Core i7-10750H |
Core i7-10750Hならもう少しスコアが伸びるはずですが、何度試しても伸び切らず。
CPUの発熱を抑えるために、性能をセーブしているのかもしれません。
Fire Strike
3DMarkのFire Strikeは18,031でした。
主なグラフィックカードとスコアを比較してみると以下の通り。
RTX2080 | |
---|---|
RTX2070 | |
RTX2080 Max-Q | |
RTX2060 |
デスクトップPC向けのRTX2070に匹敵するスコアでした。
フルHD解像度のモニターなら、ほとんどのゲームを最高画質で快適に動かせるスコアです。
VR Mark
VR Markの各種スコアはご覧の通り。
特別重いVRゲームでなければ、問題なく動かせます。
VRゲームで遊ぶには、別売りのヘッドマウントディスプレイが必要です。
Steam VRパフォーマンステスト
Steam VRパフォーマンステストも、最高スコアのレディをたたき出しました。
Crystal Disk Mark
ストレージ(M.2 SSD)の転送速度は、読み書きともに3,000MB/sを超える素晴らしいスコアでした。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen4) | |
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NVMe M.2 SSD | |
SSD(SATA) | |
HDD |
ノートパソコンに搭載できるM.2 SSDとしては、ハイエンドクラスのものを搭載しているようです。
Gen4対応のM.2 SSDは、今のところ一部のデスクトップ環境でしか使えません。
オンラインゲーム
定番ベンチマークソフトも走らせました。
いずれも解像度は1920×1080(フルHD)のノートパソコンに設定しています。
重量級ゲームのFF15は、高品質で「快適」という結果でした。
グラフィックの重いゲームでも、最高画質で快適に動かせます。
FF14やドラクエXはグラフィックが軽いため、何の問題もなくサクサクです。
FF15
高品質 | 8269(快適) |
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標準品質 | 10490(とても快適) |
軽量品質 | 12075(非常に快適) |
FF14 漆黒の反逆者
最高品質 | 15155(非常に快適) |
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ドラゴンクエストX
最高品質 | 14127(すごく快適) |
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PCゲームのフレームレート検証
ここからは実際にパソコンゲームを最高画質で動かして、どれくらいのフレームレートが出たかご紹介します。
フレームレートの抽出にはMSIのAfterburnerとGeForce Experienceを使用。
動画にもまとめているので、あわせてご覧いただくとよりわかりやすいです。
まずはフォートナイトをフルHDモニターでプレイして、最高画質~低画質でフレームレートがどれくらい変化するかチェックしました。
最高画質 | |
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高画質 | |
中画質 | |
低画質 |
もう少し伸びることを期待していましたが、画質を落としても大幅な伸びは見られず。
とはいえ最高画質で100前後のフレームレートを出せるなら、十分快適です。
そのほかの人気ゲームはすべて最高画質でプレイして、平均値を算出しました。
Apex Legends | 88fps |
---|---|
PUBG | 116fps |
VALORANT | 190fps |
Rainbow Six Siege | 148fps |
モンハンワールド:アイスボーン | 78fps |
VALORANTのような軽いゲームなら、フレームレートは200前後まで伸びます。
モンハンワールドのような重いゲームで80前後のフレームレートを維持できるのは、なかなか優秀です。
レイトレーシング性能
Battlefield VとWATCH DOGS LEGIONで、レイトレーシング(DXR)をONにした状態のフレームレートをチェックしました。
DXR ON | 56fps |
---|---|
DXR OFF | 74fps |
DXR ON | 65fps |
---|---|
DXR OFF | 77fps |
最高画質でレイトレーシングをONにするとフレームレートが落ち込みますが、60前後をキープできているので及第点といえるでしょう。
Bright Memory RTX Benchmark
ベンチマークソフトのBright Memoryを走らせた結果がこちら。
RTX3080 | |
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RTX3070 | |
RTX2080 | |
RTX2080 Max-Q |
掲載しているスコアは以下の設定で試したときの平均フレームレートです。
- 解像度:フルHD
- RTX:Very High
- DLSS:Quality
RTX30シリーズとはさすがに大きな差がありますが、ゲーミングノートとしてはなかなか優秀です。
VRゲームの動作検証
Oculus Quest 2を専用ケーブルでつないで、PC用のVRゲームを実際に動かしてみました。
Half-Life: Alyxは最高画質だと一部動作が不安定になりましたが、画質を落とすと安定して動かせました。
Beat SaberはPCを使わずとも動かせる軽いゲームなので、何の不具合もなく動かせます。
スクショは避けましたが、VRカノジョも快適にプレイできました。
ヘッドマウントディスプレイがあれば、VRゲームも楽しめます。
ゲーム実況の動画配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用、配信と同時に録画も実施です。
Apex Legendsを試したところ、1080pかつ60fpsの設定では配信がときどき静止画になってしまいました。
録画のエンコードをハードウェアからソフトウェアに変えると改善しますが、それでも若干カクつきが発生。
60fpsでスムーズに配信したいなら、出力解像度を1080pから少し落としたほうがよさそうです。
スマホゲームなども配信可能
キャプチャーボードをつないでスマホゲームの配信も試してみました。
iPhone8でPUBG MOBILEの配信を試したところ、こちらは1080pかつ60fpsでスムーズに配信&録画できました。
スマホゲームやコンソール機の配信なら、こまかい設定をいじらずとも高画質での配信が可能です。
クリエイティブ用途の動作検証
続いて動画や写真の編集など、クリエイティブ用途でも快適に使えるかを検証しました。
Premiere Proで動画編集
まずはAdobeのPremiere ProでYoutube動画の編集を試しました。
メモリが32GBも搭載されているため、とても快適に動かせます。
After Effectsで演出を加えたり、4K動画の編集も問題なくこなせるでしょう。
4K動画の書き出し
参考までに、4K動画の書き出し時間を計測しました。
検証のために用意したのは、GoPro HERO7 Blackで撮影した4K 60fpsの動画データ。
書き出し条件とかかった時間は以下の通り。
H.264(Youtube 1080p FHD) | 25:22 |
---|---|
H.264(Youtube 2160p 4K UHD) | 26:01 |
一般的な薄型ノートパソコンだと40分以上かかることも多いので、まずまずの書き出し速度です。
LightroomでRAW現像
デジカメで撮影したRAWデータの書き出し速度もチェックしてみました。
有効画素数3,635万のニコンD810で撮影したRAWデータ100枚をLightroomで書き出したところ、かかった時間は2分5秒。
主なCPUと結果を比較したグラフはこちら。
Core i9-10885H | |
---|---|
Core i7-10750H | |
Core i7-9750H | |
Core i7-8750H |
CINEBENCHではイマイチスコアが伸びなかったCore i7-10750Hですが、RAW現像の書き出しはとてもスムーズでした。
ノートパソコンとしてはトップレベルの書き出し速度。
sRGBカバー率もほぼ100%なので、写真を撮ることが好きな方にもおすすめできます。
Lightroomの書き出し条件は以下で統一しています。
画像形式 | JPEG |
---|---|
画質 | 100 |
カラースペース | sRGB |
画像のサイズ | 未調整(撮影データそのまま) |
解像度 | 350 |
メタデータ | すべてのメタデータ (人物情報や撮影場所の情報は削除) |
薄型でパワフルなゲーミングノート
レビューのまとめとして、Legion 750iの特徴をおさらいします。
最高画質でサクサク動かせる
240Hzの高リフレッシュレート
ゲーム実況やライブ配信も可能
テレワークや事務用途でも活躍
在庫状況が少々不安定
納期が2~3週間と長い
約26万円という価格に恥じない、ゲーミングノートとしてはトップクラスの性能でした。
いずれはRTX30シリーズを搭載したゲーミングノートも出てくると思いますが、いつ頃販売されるかは未定。
5,500円引きのセールが適用されるのは1月15日(金)までですし、記事執筆時点では48回まで分割手数料も無料。
在庫状況と出荷目安には要注意ですが、気になっている方はぜひチェックしてみてください。