Ryzen 7 7800X3DとRTX 4070を組み合わせて、定番ベンチマークをはじめ人気ゲームでどれくらいフレームレートを伸ばせるか詳しく検証しました。
今回はライバルにあたるCore i7-14700K、Core i7-13700Fと性能をガチンコ比較。
ハイスペックなゲーミングPCを検討中の方は、ぜひご覧ください。
検証用PCのパーツ構成
検証のために用意した環境は以下の通り。
OS | Windows 11 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Ryzen 7 7800X3D |
CPUクーラー | CORSAIR H150 RGB 360mm |
CPUグリス | えくすとり~むぐりす あっぷるえでぃしょん |
GPU | Palit GeForce RTX 4070 Dual 12GB |
メモリ | Crucial DDR5-4800 16GB(8GB×2) |
マザーボード | ASUS TUF GAMING X670E-PLUS |
電源 | CORSAIR RM1000x SHIFT(Gold) |
ケース | 長尾製作所 ベンチテーブル |
BTOで販売される製品を想定して、メモリはDDR5-4800 16GB(8GB×2)をチョイス。
BIOSの細かい設定は何も変更せず、100%ポン付けの状態です。
CPU-Zの情報は以下の通り。
Core i7と性能を比較するために、Intel用の環境も用意しました。
OS | Windows 11 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Core i7-14700K Core i7-13700F |
CPUクーラー | CORSAIR H150 RGB 360mm |
CPUグリス | えくすとり~むぐりす あっぷるえでぃしょん |
GPU | Palit GeForce RTX 4070 Dual 12GB |
メモリ | Crucial DDR5-4800 16GB(8GB×2) |
マザーボード | MSI MPG Z690 CARBON WIFI |
電源 | CORSAIR RM1000x SHIFT(Gold) |
ケース | 長尾製作所 ベンチテーブル |
IntelのPBP(Processor Base Power)、MTP(Maximum Turbo Power)にあわせて、Core i7-14700KはPL1:125W、PL2:253Wに手動で設定。
Core i7-13700FもPL1:65W、PL2:219Wにしています。
筆者が見てきた限り、BTOメーカーでもPBP、MTPに沿って電力制限をかけていることが多いため、仮想BTOとして設定しています。
RTX 4070の性能については以下の記事もあわせてご覧いただくと、よりわかりやすいです。
CPUの基本スペック
今回比較する3者の主なスペックを比較してみました。
コア スレッド | クロック | L3 キャッシュ | TDP PBP | 価格 | |
---|---|---|---|---|---|
Core i7-14700K | 20(8+12) 28 | 3.4GHz~ 5.6GHz | 33MB | 125W | 69,776円 |
Ryzen 7 7800X3D | 8 16 | 4.2GHz~ 5.0GHz | 96MB | 120W | 53,801円 |
Core i7-13700F | 16(8+8) 24 | 2.1GHz~ 5.2GHz | 30MB | 65W | 57,500円 |
Ryzen 7 7800X3Dはコアやスレッド数はそこまで多くなく、ブーストクロックも5.0GHzとハイスペックCPUとしてはやや控えめです。
一方でゲームに重要とされるL3キャッシュの容量は突出しているのが特徴。
発売当初は7万円を超えていましたが、記事執筆時点では5万円台まで価格が下がってきたことも魅力を底上げしています。
筆者は10月下旬に57,980円で購入。
楽天の買い回りセールを最大限活用して、ポイント還元を含めると実質5万円以下で買うことができました。
掲載価格は11月29日時点のものです。最新情報は各ショップや販売サイトでご確認ください。
ベンチマークスコアや平均fps
定番ベンチマークのスコアや人気ゲームの平均fpsを計測しました。
パーツ構成やBIOSの設定によってスコアに多少の差が出るため、あくまで参考程度にご覧ください。
CINEBENCH R23
Ryzen 7 7800X3Dはマルチコア、シングルコアともにスコアが控えめ。
これはおそらくコアやスレッド数、ブーストクロックがそこまで高くないことが影響しているのではと思われます。
実際にゲームを動かすとどうなるかはこの後ご覧いただきます。
3D Markのスコア
定番の3D Markは3種類をテスト。
Speed WayはCPUの影響をほとんど受けず、スコアは微動だにせず。
Time SpyとFire StrikeはCPUでスコアがそこそこ変動しますが、もっとも高いスコアを出しているのはCore i7-14700Kでした。
FF15
グラフィックの重いFF15ベンチは、4Kだとほぼスコアに差が出ず。
ゲームとの相性が良くないのか、フルHDだとRyzen 7 7800X3Dは若干スコアが低めに出ていました。
FF14
FF14も4Kでは差がでず。
フルHDではRyzen 7 7800X3Dがもっとも高いパフォーマンスを見せてくれています。
フォートナイト
フォートナイトはリプレイ機能を使用し、解像度をフルHDに設定。
同一シーンのフレームレートを2種類の画質設定で比較しました。
DirectX 12の最高設定ではほとんど差が生まれず。
Intel CPUで1% Lowの数値が落ち込んでいるのは、計測中に一瞬プチフリーズのような現象が発生するため。
何度か試してもどこかしらのタイミングでカクつきが発生していたため、ゲーム側の問題かもしれません。
レンダリングモードをパフォーマンスに変えて、3D解像度のみを100%に設定した状態でも計測。
まったく同じシーンで同じように計測していますが、もっともフレームレートが伸びたのはRyzen 7 7800X3D。
実際のところ平均フレームレートが500から700に伸びても得られる体験はほとんど変わらず、Core i7-13700Fでも十分な性能といえます。
360Hz以上のハイエンドモニターでフレームレートを安定させたいなら、Ryzen 7 7800X3Dは魅力的なCPUといえるでしょう。
Overwatch 2
オーバーウォッチもフォートナイトと同様にリプレイ機能で同一シーンのフレームレートを計測。
デフォルトのウルトラ画質で試したところ、Ryzen 7 7800X3Dはイマイチ伸びず。
画質を最低にまで落とせば結果は変わってくるかもしれませんが、ウルトラ画質でも必要十分なフレームレートが出ています。
ApexLegends
ApexLegendsはフルHD解像度でカジュアルマッチを複数回プレイし、平均値を算出して比較しました。
比較時の条件をきっちりそろえるなら射撃訓練場での計測がベストですが、実際のマッチとフレームレートに大きな差が出るため避けました。
マップや立ち回り、戦闘状況でフレームレートの平均値は大きく変動するため、あくまで参考程度にご覧ください。
画質を落とすと、いずれの環境でも上限値の300にほぼ張り付いていました。
フルHDでApexLegendsをプレイしたいなら、グラボはRTX 4070を買っておけば十分といえそうです。
フレームレートの上限値がもう少し高ければCPUごとの差が出そうですが、このゲームに関してはどうにもできません。
VALORANT
VALORANTはスパイクラッシュを実際にプレイして計測。
ApexLegendsと同じく、条件を完ぺきにそろえるなら射撃場やプラクティスモードでの計測がベストですが、あまりに軽すぎて参考にならないため避けました。
このゲームはRyzenと相性がよく、Ryzen 7 7800X3Dはメキメキとフレームレートが伸びます。
とはいえCore i7-13700Fでも十分すぎるほど快適です。
Cyberpunk2077
サイバーパンクはベンチマークモードを4KとフルHDで計測。
どちらも誤差程度でした。
Forza Horizon 5
フォルツァホライゾンもベンチマークモードで計測。
4Kではほとんど変わらずでしたが、フルHDだとRyzen 7 7800X3Dは若干スコアが低めに出ていました。
ゲームとの相性の問題でしょうか。
Assassin’s Creed Mirage
アサクリミラージュもベンチマークモードで検証。
こちらも4Kではほとんど差が出ず、フルHDではRyzen 7 7800X3Dがもっとも高くなりました。
ゲーム性能以外の比較
ゲーム起動中の消費電力や発熱、クリエイティブ系の用途での性能もチェックしてみました。
CPUの消費電力
サイバーパンクのベンチマークをフルHDで走らせて、CPUの平均消費電力を計測しました。
Ryzen 7 7800X3Dの消費電力は、PL1:65Wに制限したCore i7-13700Fすら下回っていました。
ゲームや用途によって多少の差はあると思いますが、驚異的なワットパフォーマンスです。
CPU温度
同じくサイバーパンクのベンチマークをフルHDで走らせているときの、平均CPU温度を比較しました。
CPUクーラーは360mmラジエーターのCORSAIR H150 RGBを使用しています。
Core i7-13700Fと比べるとやや高めですが、そこまで温度が上がることはないようです。
240mmラジエーターの簡易水冷クーラーや、ハイスペックな空冷クーラーでも問題なく運用できそうです。
65Wに制限したCore i7-13700Fは、3,000円前後の格安CPUクーラーでも問題なく運用可能です。
RAW現像
Lightroomで写真(RAWデータ)の書き出し速度を比較しました。
まったく同じデータをまったく同じ条件で書き出して、スマホのストップウォッチで計測。
手動での計測となるため若干怪しいデータではありますが、もっとも速かったのはCore i7-14700K。
とはいえ3者とも非常に優秀で、100枚のRAWデータを30秒ちょいで書き出せるのは素晴らしいです。
動画編集
Premiere Proで動画を書き出した際の速度も比較してみました。
ハードウェア(GPU)エンコードなのでほとんど差が出ないと思っていましたが、もっとも速かったのはCore i7-14700K。
何度か設定を見直しましたが、条件にズレなどがないことは確認済み。
なぜここまで大きな差が出たのか、正直なところ原因がよくわかっていません。
Blender
最後にBlenderのベンチマークをCPUで回してみました。
スコアが高いほど優秀という意味で、Core i7-14700Kが突出していました。
3DCGは専門外なので詳しいことはよくわかっていませんが、CPUでゴリゴリレンダリングをするような方はCore i7-14700Kを選んだほうがよさそうです。
おすすめのBTOパソコン
Ryzen 7 7800X3DとRTX 4070を搭載したBTOパソコンをピックアップしました。
ゲーミングPCを選ぶときは基本的なスペックと価格だけでなく、アフターサポートや納期、支払方法なども総合的に比較して選ぶことをおすすめします。
掲載している仕様および価格は記事執筆時点の情報です。最新情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。
マウスコンピューター
記事執筆時点でもっとも安かったのは、マウスコンピューターのNEXTGEAR JG-A7G70。
OS | Windows 11 Home |
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CPU | Ryzen 7 7800X3D |
クーラー | 簡易水冷(240mmラジエーター) |
チップセット | A620 |
GPU | GeForce RTX 4070 |
メモリ | DDR5-4800 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD Gen4 |
電源 | 750W(BRONZE) |
販売価格 | 254,800円~(消費税・配送料込) |
Micro-ATXのおしゃれでコンパクトなケースに、ハイスペックなパーツを搭載。
マウスコンピューターはメーカー保証が標準で3年と長く、アフターサポートも24時間365日対応と安心感が抜群。
マザーボードは必要最低限の機能といった印象ですが、追加オプションでLEDファンをカスタマイズできるのも魅力。
デザインと価格、そして購入後のサポートまで隙のない1台で非常におすすめです。
実機レビュー
パーツ構成は異なりますが、NEXTGEARの実機をお借りして詳しくレビューしています。
ケースの構造や拡張性、メンテナンスのやりやすさなど、気になる方は是非あわせてご覧ください。
ark
続いては秋葉原の老舗PCショップ、arkのオンラインストア。
OS | Windows 11 Home |
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CPU | Ryzen 7 7800X3D |
クーラー | 空冷(AK400) |
チップセット | B650 MSI MAG TOMAHAWK WIFI ATX |
GPU | GeForce RTX 4070 |
メモリ | DDR5-4800 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD Gen4 Crucial P3 Plus |
電源 | 800W(GOLD) |
販売価格 | 268,800円~(消費税・配送料込) |
ケースにMSIのMAG VAMPIRIC 010X ATXを採用したモデル。
標準仕様のCPUクーラーがAK400なのは少々心配ですが、注文時にカスタマイズも可能。
CPUクーラーに限らずですが、arkは市販の人気モデルにカスタムできるのが魅力です。
ケースや搭載パーツにこだわった1台を探しているなら、チェックしてみてはいかがでしょうか。
ドスパラ
ドスパラで販売中のGALLERIA XA7R-R47にも注目。
OS | Windows 11 Home |
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CPU | Ryzen 7 7800X3D |
クーラー | 簡易水冷(240mmラジエーター) |
チップセット | B650 |
GPU | GeForce RTX 4070 |
メモリ | DDR5-4800 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
電源 | 750W(GOLD) |
販売価格 | 293,280円~(消費税・配送料込) |
翌日出荷という業界屈指の超スピード納品に対応しているのが大きな魅力。
分割手数料は最大36回まで無料で、マウスコンピューターと同じくアフターサポートは24時間365日対応。
GALLERIAは価格変動が激しく、いつの間にか価格が変わっていることも多いため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
実機レビュー
Ryzen 7 7800X3DとGeForce RTX 4070 Tiを搭載したGALLERIAをレビューしています。
独自ケースの構造や簡易水冷クーラーの冷却性能など、購入前に是非チェックしてみてください。
サイコム
サイコムではハイスペックモデルのG-Master Spear X670Aをカスタマイズ。
OS | Windows 11 Home |
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CPU | Ryzen 7 7800X3D |
クーラー | 空冷(サイドフロー) Noctua NH-U12S redux |
チップセット | X670 TUF GAMING X670E-PLUS WIFI |
GPU | GeForce RTX 4070 |
メモリ | DDR5-4800 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD Gen4 Crucial P3 Plus |
電源 | 750W(GOLD) SilverStone製 |
販売価格 | 316,720円~(消費税・配送料込) |
ケースはCoolerMasterのMasterBox CM694を採用。
派手さはないものの、拡張性に優れた大型のケースです。
CPUクーラーは空冷最強ともいわれるメーカー、NoctuaのNH-U12S reduxを標準搭載。
搭載パーツは細かくカスタマイズできるため、細部までこだわり抜いたゲーミングPCが欲しい方は、候補に入れてみてください。
実機レビュー
Ryzen 7 7800X3DとGeForce RTX 4080を搭載したカスタムモデルを以前レビューしています。
サイコムが気になっている方は、是非あわせてご覧ください。
パソコン工房
最後にパソコン工房のLEVEL∞(インフィニティ)。
OS | Windows 11 Home |
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CPU | Ryzen 7 7800X3D |
クーラー | 簡易水冷(240mmラジエーター) |
チップセット | X670 |
GPU | GeForce RTX 4070 |
メモリ | DDR5-4800 32GB(16GB×2) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD Gen4 |
電源 | 800W(GOLD) |
販売価格 | 319,800円~(消費税・配送料込) |
価格はやや高めですが、チップセットがX670でメモリも32GB(16GB×2)を標準搭載しているのが魅力。
パソコン工房はポイント還元率が高く、アフターサポートも24時間365日対応。
記事執筆時点では分割手数料も最大48回まで無料となっており、まとまった支払いを避けたい方も安心です。(分割払いには審査があります)
CPUは用途に合わせて判断を
ゲーム用途では最強ともいわれるRyzen 7 7800X3Dですが、解像度や画質設定によってはライバルのCore i7とほとんど変わらないことも。
フォートナイトやVALORANTなど、フルHDのシューター系ゲームと相性が良いのは間違いないですが、4Kやグラフィックの重いゲームだとCPUの性能差は無視できる程度。
5万円台で買えるハイスペックCPUとして考えれば、コスパ最強クラスなのは紛れもない事実なので、自作派の方にとっても魅力的な選択肢になることでしょう。
パーツごとの性能や特徴をよく理解して、納得のいく1台を選んでください。