駿河屋で販売中のゲーミングPC(A2-Gamingバトル/RBM014)を購入しました。
Ryzen 5 4500とGTX 1660 SUPERで87,800円という格安モデルを買ったはずなのですが、届いたPCのスペックがちがうという想定外のトラブルが発生。
10万円以下で買えるゲーミングPCを探している方は、ぜひじっくりご覧ください。
駿河屋A2-Gamingバトルの概要
駿河屋のA2-Gamingバトルがどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
9万円でお釣りがくる業界最安PC
カジュアルゲーマーには十分な性能
改造がしやすいミニタワーケース
予定より届くのが遅かった
仕様と異なる製品が届いた
サポートの対応が遅すぎる
基本的なスペックからケースの構造、実際に人気ゲームを動かして計測したフレームレートまで、順に詳しくご説明します。
スペック
標準構成のスペックと価格はこちら。
OS | Windows 11 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Ryzen 5 4500 ※ |
GPU | GeForce GTX 1660 SUPER |
メモリ | DDR4-3200 16GB(8GBx2) |
ストレージ | 500GB NVMe SSD |
販売価格 ※税・送料込 | 87,800円 |
同等スペックの格安モデルはGALLERIAやNEXTGEARにもありますが、筆者が調べた限り、記事執筆時点で業界最安は駿河屋でした。(国内主要メーカーと比較)
今回、CPUにはRyzen 5 4500が搭載されているモデルを注文。
公式サイトや注文履歴にも、「Ryzen 5 4500」と明記されています。
しかしながら届いたPCを起動してみると、Ryzen 5 5500が搭載されていました。
タスクマネージャーや各種モニタリングツールでも確認しましたが、Ryzen 5 5500で間違いないようです。
納品書にもCPUはRyzen 5 4500と記載されており、組み立て担当者が間違えたのか、CPUの在庫がなくて代替品になったのか詳細は不明。
メールに記載されていた問い合わせ先の番号に電話をかけてもつながらず、LINEで問い合わせろと自動アナウンスが流れるのみ。
平日の朝9時すぎや17時ごろにかけても自動アナウンスのみです。
指示通りLINEから問い合わせてみましたが、記事執筆時点で返答はありません。
4500と5500で何がどうちがうのか、現在流通しているデスクトップ向けRyzen 5の主なスペックを比較すると以下の通り。
コア スレッド | クロック | 内蔵 GPU | L3 キャッシュ | TDP | アーキ テクチャ | |
---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 5 7600X | 6/12 | 4.7GHz~ 5.3GHz | 〇 | 32MB | 105W | Zen 4 |
Ryzen 5 7600 | 6/12 | 3.8GHz~ 5.1GHz | 〇 | 32MB | 65W | Zen 4 |
Ryzen 5 7500F | 6/12 | 3.7GHz~ 5.0GHz | – | 32MB | 65W | Zen 4 |
Ryzen 5 5600X | 6/12 | 3.7GHz~ 4.6GHz | – | 32MB | 65W | Zen 3 |
Ryzen 5 5600G | 6/12 | 3.9GHz~ 4.4GHz | 〇 | 16MB | 65W | Zen 3 |
Ryzen 5 5600 | 6/12 | 3.5GHz~ 4.4GHz | – | 32MB | 65W | Zen 3 |
Ryzen 5 5500 | 6/12 | 3.6GHz~ 4.2GHz | – | 16MB | 65W | Zen 3 |
Ryzen 5 4500 | 6/12 | 3.6GHz~ 4.1GHz | – | 8MB | 65W | Zen 2 |
5500は4500の上位モデルで、単体で購入する場合、1,000円前後の価格差があります。
コアやスレッド、ブーストクロックなどは似ていますが、L3キャッシュの容量やアーキテクチャが異なります。
組み立て担当者が間違えたのであれば得をしたという話にはなりますが、筆者はRyzen 5 4500を使いたかったため、仕様と異なるPCが届くことに違和感を隠せません。
パソコンの仕様および価格は時期によって変動します。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
丁寧とは言えない梱包
今までたくさんのゲーミングPCをレビューしてきましたが、このような状態で届いたのは初めて。
激安だから仕方ないとはいえ、商品のサイズに合わせた段ボールも用意していないようです。
納品についても注文時は「5営業日で発送予定」と記載されていましたが、実際に発送の通知が届いたのは注文から11日後。
年末年始や大型連休を挟んだり、繁忙期であれば仕方ありませんが、時期的にも1週間くらいで届くだろうと予想していたため、少々予定が狂ってしまいました。
使用したパーツの元箱や細かい付属品も同梱されていました。
万が一PCに初期不良や不具合があった場合、パーツ単位でメーカー保証を受けることになるものと思われます。
箱を捨ててしまった場合、保証を受けられなくなる恐れがあるため、捨てずに保管しておくことをおすすめします。
パーツの保証に箱が必要だとしても、箱を折りたたんで同梱すればきれいに梱包できるでしょうに。
CPUはRyzen 5 5500で間違いありませんでした。
ケース外観
ケースはThermaltakeのS100 TG。
仕様上では「GamingバトルRBMモデル専用MicroATX PCケース」と記載されており、時期によって採用されるケースが変わるかもしれません。
Micro-ATX規格のミニタワーで、正面から見て左側には強化ガラスのサイドパネルを標準搭載。
寸法は高さが約411mm、奥行きが約441mm、横幅が約220mm。
メーカーの仕様によるとグラボは最大330mm、CPUクーラーは高さ165mmまで搭載できるとのこと。
最近登場したパソコン工房のコスパ重視モデル「LEVELθ(シータ)」も、デザインは多少アレンジされていますが、素体はこのケースと思われます。
駿河屋のロゴはどこにも見当たらず、「自分で組んだ」と言われたら信じてしまいそうです。
BTOではよく見かける、RyzenやGeForceのシールも貼ってありません。(貼ってなくても問題はありません)
天面のメッシュパネルはマグネット式で簡単に着脱が可能。
ホコリがたまってきたときに、サッと掃除できるのは便利です。
電源直下のメッシュパーツも簡単に取り外しが可能。
パソコンを床に設置した場合はとくに、数ヶ月に1度は掃除することをおすすめします。
インターフェイス
電源ボタンなどの入出力端子はケースの天面にあります。
- 電源
- リセット
- USB3.0 Type-A ×1
- USB2.0 Type-A ×2
- マイク入力 ×1
- ヘッドホン出力 ×1
背面の主なインターフェイスは以下の通り。
- USB3.2 Gen2 Type-A ×1
- USB3.2 Gen1 Type-A ×4
- USB2.0 Type-A ×2
- 1G LAN
- DisplayPort ×3
- HDMI ×1
公式サイトの仕様では映像出力はDisplayPort ×1、HDMI ×1、DVI ×1となっていましたが、DisplayPort ×3のグラボが採用されていました。
格安モデルなので仕方ありませんが、Type-Cポートはひとつもありません。
標準仕様では無線でインターネットにつなげられないため、家庭の都合で有線での接続ができない方は、事前に対策を考えておきましょう。
ケース内部
ケース内部はご覧の通り。
各種ケーブルは黒で統一されており、すっきりと整理されています。
搭載パーツも最小限で使用するケーブルが少ないというのはありますが、価格の割に配線はとてもきれいに整理されています。
内蔵タイプの光学ドライブを搭載するスペースはなく、必要な方は外付けで代用するしかありません。
ケースファンは背面に120mmが1台のみ。
ケース自体はエアフロー重視の構造ですが、冷却パーツは必要最低限です。
フロントパネルは少しばかりのパワーで脱着が可能。
配線は何もつながっていないのでご安心を。
ケース天面にもファンやラジエーターを取り付け可能。
ケースファンの増設など、改造はとてもやりやすいケースです。
せっかく強化ガラスパネルがあるので、ある程度スキルがある方はRGBファンなどを増設してもよいでしょう。
パーツの交換や改造はメーカー保証が受けられなくなる恐れがあります。
マザーボード
マザーボードはASUSのローエンドマザーボード、PRIME A520M-Eを採用。
記事執筆時点だと7,480円で販売されている格安モデルです。
上位チップセットにあたるX570やB550と比べるとPCIeのレーン数が少なく、PCIe 4.0やオーバークロックには非対応など、デメリットもあります。
フェーズ周りのヒートシンクも非搭載で何とも貧弱に見えますが、ハイエンドCPUを使わない限り心配は無用。
今回のようなロースペック構成で、普通に動かす分には実用上の問題はありません。
PCIe ×1の空きスロットは確認できましたが、グラボとの距離がギリギリで、拡張カードなどの増設は難しそうです。
CPUクーラー
CPUクーラーはトップフローの空冷タイプで、いわゆるリテールクーラーを採用。
AK400などコスパに優れたCPUクーラーにカスタムできると良いのですが、記事執筆時点ではAK620やLE520といったハイスペックモデルしか用意されておらず。
ある程度スキルがある方は自分で改造してしまうのがよさそうです。
グラフィックカード
グラフィックカードはMSIのGeForce GTX 1660 SUPER VENTUS XS OCでした。
補助電源は8pin×1で、ツインファンのコンパクトなモデルです。
メモリ
メモリはヒートスプレッダ非搭載のシンプルなものが2枚。
ゲームがメインなら16GBでメモリ不足を感じる場面は少ないものの、動画編集などで必要性を感じたら32GBに増設しても良いでしょう。
ただしメモリスロットは2つしかないため、4枚挿しには対応していません。
CPU-Zで読み取った情報によると、A-DATAの製品が採用されているようです。
ストレージ
M.2 SSDはA-DATAのLEGEND 800を採用。
グラボの裏側にあるようで姿は見えません。
CrystalDiskInfoで読み取った情報は以下の通り。
単体で購入した場合、記事執筆時点では4,730円前後。
なおM.2 SSDの空きスロットはありません。
ケース背面側には2.5インチ×2、3.5インチ×2のストレージを増設できるシャドウベイも確認できました。
電源横のスペースはかなりカツカツですが、ミニタワーとしては十分な拡張性です。
注文時にHDDをカスタマイズすることもできるようです。
電源
電源はXPGのPYLON 550W(80PLUS BRONZE)を搭載。
MSIの公式サイトによると、GTX 1660 SUPER搭載マシンの推奨電源ユニット容量は450Wなので容量不足の心配はありません。
駿河屋A2-Gamingバトルの性能
ここからは各種ベンチマークソフトを使用して、搭載パーツの性能を数値化していきます。
いずれも素人が計測したデータなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R23
主なCPUをCINEBENCH R23のスコアで比較してみると以下の通り
本来使うはずだったRyzen 5 4500と比べると少し高いといったところ。
兄貴分にあたる5600や5600Xのスコアには届きません。
3D Mark
GTX 1660 SUPERはレイトレーシングに非対応で、いつも使用しているSpeed Wayは計測できず。
今回はFire Strikeのスコアで比較しました。
Fire StrikeはCPUでスコアが変動するため、同一条件下での比較でないことをご理解ください。
GTX 1660 SUPERのゲーム性能はRTX 3050と同程度ですが、レイトレーシングやDLSSなどに対応していないのが弱点。
フルHDで最高画質にこだわらず、カジュアルにPCゲームを遊ぶには十分な性能です。
Crystal Disk Mark
Gen3のNVMe M.2 SSDとしては標準的なスコアです。
2,000MB/s前後の格安SSDを搭載しているだろうと予想していたので、いい意味で裏切られました。
書き出しはやや速度が落ちているものの、体感できるほどの差はないため気にする必要はありません。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen 5) | 10,000MB/s |
---|---|
NVMe M.2 SSD (Gen 4) | 4,000~7,000MB/s |
NVMe M.2 SSD (Gen 3) | 2,000~3,000MB/s |
SSD(SATA) | 550MB/s |
HDD | 120~160MB/s |
静音性
市販の騒音計(サンコー小型デジタル騒音計)を使用して、PCに負荷をかけたときの騒音を計測しました。
計測時の室温は25度で、用途ごとのおおよその平均値をまとめた結果がこちら。
リテールクーラーにケースファンも1台のみと必要最低限の冷却パーツしか搭載していませんが、騒音は意外なほど控えめ。
高負荷時もイヤホンなどをつけていれば音はほとんど気にならず、快適にゲームを楽しめます。
筆者が使用している騒音計の目安は以下の通り。
60dB~ | 掃除機に匹敵するほどうるさい 遮音性の高いイヤホンやヘッドセットが必須 |
---|---|
50~60dB | 大多数の人がうるさく感じる イヤホンやヘッドセットの使用が必須 |
45~50dB | ファンの音がやや気になりはじめる イヤホンやヘッドセットの使用を推奨 |
40~45dB | ファンの音は聞こえるが不快ではない スピーカーでもゲームはプレイ可能 |
38~40dB | PCに耳を近づけると音が聞こえる程度 スピーカーでも快適にプレイが可能 |
冷却性能
PCに負荷をかけたときの温度も確認しました。
CINEBENCH計測中のCPU温度は最大で92℃まで上昇。
AMDの公式サイトによるとRyzen 5 5500の最大温度は90℃となっており、限界温度に達していると思われます。
さすがにリテールクーラーでは限界のようです。
ゲーム起動中、CPUは70度前後、GPUも70℃台をうろついていました。
やや高めではあるものの、実用上はまったく問題はありません。
PCゲームのフレームレート検証
まずは定番のベンチマークソフトを3種類試しました。
いずれも解像度はフルHDに設定、画質は最高で試しています。
FF15 | 6,347 快適 |
---|---|
FF14 暁月のフィナーレ | 14,795 とても快適 |
BLUE PROTOCOL | 10,847 極めて快適 |
グラフィックの重いFF15はスコアが伸びず「快適」どまり。
そこまで重くないはずのFF14も「非常に快適」には一歩届きませんでした。
ゲームに合わせて画質調整は必須と考えた方がよいでしょう。
続いてMSIのAfterburnerを使用して、人気ゲームの平均フレームレートをフルHD解像度で計測しました。
フォートナイトはDirectX12とパフォーマンス、レンダリングモードごとに検証。
最高画質(DX12) | 14fps |
---|---|
競技設定(パフォーマンス) | 198fps |
DirectX12ではアンチエイリアスを「TSR最高」、3D解像度を100%で計測しています。
最高設定では紙芝居のようなカクつきが発生して、まともにプレイできません。
パフォーマンスモードの競技設定では快適に動かせましたが、平均値は200fpsに届かず。
144Hzや165Hzのモニターと相性がよさそうです。
最高画質 | 117fps |
---|---|
低画質 | 162fps |
Apex Legendsも最高画質では平均値がなんとか100を超えられる程度。
画質を落とせばおおむね144以上で安定していました。
カジュアルにプレイする分には問題ないスペックですが、競技シーンを目指すような方には物足りないスペックです。
そのほかのゲームはすべて最高画質で検証した結果です。
VALORANT | 256fps |
---|---|
Escape from Tarkov | 53fps |
Overwatch 2 | 142fps |
ARMORED CORE VI | 83fps |
Starfield | 48fps |
Cyberpunk 2077 | 56fps |
Forza Horizon 5 | 42fps |
レイトレーシング対応ゲームは、レイトレーシングをOFFにした状態の最高設定で計測した結果です。
VALORANTは平均値が240を超えていましたが、瞬間的に200を下回る場面も多く、240で張り付くほどのパワーはありません。
タルコフやスターフィールド、サイバーパンクなどの重いゲームは最高画質にこだわらず、低~中画質でプレイすることをおすすめします。
ちなみにVALORANTを起動するためには、BIOSでSecure Bootの設定を変更する必要がありました。
CPUがRyzen 5 4500だった場合、フォートナイトやVALORANTはもう少しfpsが下がる可能性があります。
ゲーム実況のライブ配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用し、配信と同時に録画も実施。
OBSの主な設定は以下の通り。
ゲームの画質 | 低 |
---|---|
出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア |
音声ビットレート | 128 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ハードウェア |
Apex Legendsで試したところ、配信・録画中の平均フレームレートは150前後で安定。
フレームレートは若干ダウンするものの、とくに支障はありません。
配信するゲームによってはOBSの出力解像度を落としたり、多少の設定調整が必要になりそうですが、それなりにライブ配信もこなせます。
初心者にはおすすめしません
駿河屋で買ったゲーミングPCのレビューをまとめます。
9万円でお釣りがくる業界最安PC
カジュアルゲーマーには十分な性能
改造がしやすいミニタワーケース
予定より届くのが遅かった
仕様と異なる製品が届いた
サポートの対応が遅すぎる
本来検証したかったCPUではないという点はさておき、9万円で買えるゲーミングPCとして考えれば、性能面は悪くないというのが本音です。
144Hzくらいのモニターを用意すれば、SwitchやPS4では味わえないPCゲームのヌルヌル感を堪能できます。
1円でも安く、そこそこゲームを動かせるPCが欲しい方にとっては、悪くない選択肢になりそうです。
ただし、PC初心者におすすめできるかというと完全に別の話。
そもそも仕様と異なる製品が届いていますし、電話はつながらず、LIENからの問い合わせに対してもレスポンスがありません。(既読にもならない)
PC自体は普通に動いているので問題ないとしても、万が一初期不良などがあった場合もこのような対応だと非常に困ります。
自作ユーザーが改造前提のサブPCとして購入したり、PCについて相談できる人が身近にいるならとくに問題はないと思いますが。
ゲーミングPCは長く使うものですから、価格の安さだけで判断せず、総合的に比較しながら納得のいく1台を選んでください。
他と比べて圧倒的に安いから仕方ないのでは?としか思えないマイナス要素ですね
ちゃんとしたサポート欲しいならそもそも新進気鋭のBPOメーカーでは買わないですし
CPUが違うのだけが明らかな問題