AMDの最新APU、Ryzen 5 5600Gで人気ゲームをどこまで動かせるのかを検証しました。
軽めのゲームならそこそこ動かせますが、一部ゲームは家庭用ゲーム機で遊んだほうが快適に思えることも。
APUの性能が気になっている方は、ぜひご覧ください。
検証用PCのスペックや概要
今回、検証のために用意した環境は以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
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CPU | Ryzen 5 5600G |
GPU | Radeon Graphics(内蔵GPU) |
メモリ | 16GB(8GB×2)DDR4-3200 |
ストレージ | 256GB SSD(SATA) 1TB M.2 SSD |
電源 | 750W(80PLUS PLATINUM) |
CPUとGPUの細かい情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。
マザーボードはASRockのB550M Pro4で、事前にBIOSはアップデートしておきました。
メモリクロックは3,200MHzに設定、CPUクーラーはRyzen 5 5600Gに付属のリテールクーラーを使用しています。
電源はもともと搭載していた750Wをそのまま使用していますが、APU単体なら350W程度でもまったく問題ありません。
Ryzen 5 5600Xで検証した結果
内蔵GPUを搭載していないRyzen 5 5600Xも購入済みで、グラボごとにどれくらいフレームレートを出せるのか検証しています。
ある程度本格的にゲームがしたいなら、やはりグラボは必須です。
定番ベンチマークのスコア
ここからは定番のベンチマークソフトのスコアをご紹介します。
計測結果はいずれも当サイトで検証したものなので、あくまで参考程度にお考えください。
PC Mark10
まずはパソコンの総合的な性能をチェックした結果がこちら。
ビジネス向けの薄型ノートPCと比べれば、なかなか優秀なスコアです。
メールやチャットのやりとりをはじめ、zoomなどを利用したWeb会議、ExcelやWordなどの事務作業もサクサクこなせます。
参考までに、Ryzen 5 5600XとRTX 3060を搭載した状態で計測したスコアがこちら。
グラボがあることで「Digital Content Creation」のスコアは大きく伸びていますが、「Essentials」や「Productivity」はわずかに下がっています。
グラボを必要としない用途であれば、Ryzen 5 5600G単体でも十分活躍することがわかります。
CINEBENCH R20
主なCPUをCINEBENCH R20のスコアで比較してみると以下の通り。
Ryzen 7 5800X | |
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Core i7-10700 | |
Ryzen 5 5600G | |
Ryzen 5 5600X | |
Core i5-11400F |
ほんのわずかな差ではありますが、Ryzen 5 5600Xのスコアを上回っています。
筆者が購入したRyzen 5 5600Xがハズレ石だった可能性も捨てきれません。
シングルコアのスコアに注目してみると、順位が逆転します。
Ryzen 7 5800X | |
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Ryzen 5 5600X | |
Ryzen 5 5600G | |
Ryzen 7 3700X | |
Core i7-10700 |
世代が異なるとはいえ、Ryzen 7 3700Xを上回っている点に注目です。
Fire Strike
3DMarkのFire Strikeを試した結果がこちら。
GeForce GTX 1650 | |
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Intel Iris Xe Graphics | |
Radeon Graphics | |
Radeon Vega 8 | |
Intel UHD Graphics |
昔からAMDの内蔵GPUは強いと評判ですが、あくまで「内蔵GPUとしては強い」という程度。
実態としてはGTX 1650の半分以下の性能しかありません。
過度な期待は禁物です。
オンラインゲーム
定番ベンチマークソフトを走らせました。
比較的グラフィックが軽いとされるFF14ですが、1080p(フルHD)の最高品質で動かすのは少々厳しい模様。
解像度を720pに落とせば、最高品質でもそこそこ動かせるようです。
ドラクエXは非常にグラフィックが軽いため、フルHDでも最高画質で楽しめます。
FF14 暁月のフィナーレ
最高品質 | 3347(設定変更を推奨) |
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高品質 | 3606(設定変更を推奨) |
標準品質 | 5911(普通) |
最高品質 | 6312(やや快適) |
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高品質 | 6756(やや快適) |
標準品質 | 10237(快適) |
ドラゴンクエストX
最高品質 | 12206(すごく快適) |
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標準品質 | 15576(すごく快適) |
低品質 | 17553(すごく快適) |
PCゲームのフレームレート検証
ここからは実際にパソコンゲームを動かして、どれくらいのフレームレートが出たかご紹介します。
動画にもまとめているので、あわせてご覧いただくとより分かりやすいです。
平均フレームレートの計測にはMSIのAfterburnerを使用。
まずは主な人気ゲームをフルHD(1080p)解像度、低画質でプレイした結果がこちら。
フォートナイト | 108fps |
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Apex Legends | 27fps |
マインクラフト | 58fps |
VALORANT | 121fps |
Rainbow Six Siege | 58fps |
BIOHAZARD VILLAGE | 28fps |
DEATH STRANDING | 22fps |
SEKIRO | 27fps |
STREET FIGHTER V | 60fps |
原神 | 44fps |
フォートナイトの低画質はレンダリングモード「パフォーマンス」で「3D解像度」のみ100%に設定して試した結果です。
ストVはAfterburnerが表示できず、Radeon Softwareのパフォーマンスロギングを使用しました。
フォートナイト(パフォーマンスモード)やVALORANT、原神のような軽いゲームはそこそこ動かせましたが、30fpsを下回るとさすがに快適とは言えません。
とくにApex Legendsのようなシューターゲームで30fpsを下回るのは致命的で、筆者は酔いそうになりました。
BIOHAZARD VILLAGEやDEATH STRANDINGなども、プレステ4でやったほうがマシと思われます。
解像度720pでの検証
解像度をフルHD(1080p)から720pに落として再度検証してみました。
フォートナイト | 167fps |
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Apex Legends | 62fps |
フォートナイトは144以上で安定、Apex Legendsも720pなら60前後のフレームレートを出せました。
ただし、720pはグラフィックがかなり粗くなります。
SwitchでApex Legendsをやるよりはマシ、くらいに考えたほうが良いでしょう。
おすすめのBTOパソコン
ここからはRyzen 5 5600Gを搭載したBTOパソコンのおすすめモデルをご紹介します。
この記事を執筆している時点では、いずれも10万円前後で販売中。
本格的にゲームをやるつもりなら、あとからグラボを増設できるものを選んだほうが良いでしょう。
掲載している仕様および価格は記事執筆時点の情報です。最新情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。
TSUKUMO
筆者のイチオシは、TSUKUMOが販売するG-GEAR mini GI5A-B211/T。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
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CPU | Ryzen 5 5600G |
GPU | Radeon Graphics(内蔵GPU) |
メモリ | 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 500GB NVMe SSD |
販売価格 | 112,000円(消費税・配送料込) |
mini ITX規格のケースが採用されていて、350mmまでのグラボも搭載可能。
コンパクトながら拡張性の高さを併せ持っているのが最大の魅力です。
まずはRyzen 5 5600GでPCゲームに慣れて、貯金がたまったり、グラボの値上がりが落ち着いてきたらPCをパワーアップさせるのがおすすめ。
グラボの増設を考える場合、電源が500Wだと容量が足らなくなる恐れがあるため、650Wや750Wにカスタマイズしておくと安心です。
パソコン工房
最後にご紹介するのは、パソコン工房が販売するSOLUTION-M0B5-R55G-EZX。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
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CPU | Ryzen 5 5600G |
GPU | Radeon Graphics(内蔵GPU) |
メモリ | 8GB(8GB×1) |
ストレージ | 500GB NVMe SSD |
販売価格 | 96,778円(消費税・配送料込) |
こちらもメモリはシングルチャネルの8GBですが、10万円以下で買える安さが魅力。
MicroATX規格のケースが使われていて、仕様上に明確な記載が見つからないものの、小さめのグラボであれば問題なく搭載できると思われます。
標準仕様では電源が350Wと最小限のスペックなので、グラボの増設を考えるなら注文時のカスタマイズが必須です。
ASRock DeskMini X300を自作
後日、Ryzen 5 5600Gを使ってASRockの人気ベアボーンキット「DeskMini」を組みました。
1台組むのにかかった費用は以下の通り。
ASRock DeskMini X300 Windows 10 Home 64bit | 34,175円 |
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AMD Ryzen 5 5600G | 36,800円 |
Team M.2 2280 NVMe SSD 512GB | 6,180円 |
Team SO-DIMM DDR4 3200MHz 8GBx2 | 7,480円 |
合計(消費税・送料込) | 84,635円 |
ちょうどAmazonのセールが実施中だったこともあり、ストレージ(M.2 SSD)とメモリを安く買えました。
Windows 10はDeskMiniとセットで購入したため、単品で買うより少しだけ安くなっています。
自作すればBTOショップより若干安く購入可能です。
PCパーツの価格は時期によって変動します。最新情報は各販売サイトでご確認ください。
組み立て工程
DeskMiniは組み立てがとても簡単で、自作PC初心者の方でも組みやすいのが大きな魅力。
組み立て方法を動画にまとめているので、あわせてご覧いただくとわかりやすいです。
無線LANを搭載するためのオプションキットなども販売されているため、用途や予算に合わせて最適な1台を組むことができます。
自作PCに興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください。
ゲームの性能には限界がある
APU単体でもゲームは動かせましたが、ゲーム性能に満足できる方はあまり多くないでしょう。
コンパクトで高性能な事務仕事用PCが欲しい方や、画質にこだわらずフォートナイトやVALORANTをプレイしたい方には、魅力的なスペックといえそうです。
本格的にPCゲームをやりたいなら、最低でもGTX 1650以上のグラボが欲しくなります。
BTOでRyzen 5 5600G搭載パソコンを買うなら、将来的なパーツ増設も考慮したうえで、納得のできるものを選んでください。