日本HPが販売するゲーミングPC、OMEN 16のパフォーマンスモデルをお借りしました。
機材貸出元:株式会社日本HP
Core i7-13700HXとRTX 4060 Laptopで人気ゲームをどれくらい動かせるかはもちろん、高負荷時の騒音や発熱についても検証結果をわかりやすくまとめています。
ゲームからクリエイティブ系の用途まで、幅広く活躍してくれるハイスペックノートPCを探している方は、ぜひじっくりご覧ください。
OMEN 16(RTX 4060)の概要
OMEN 16がどういったゲーミングPCなのか、特徴を整理すると以下の通り。
240Hzのリフレッシュレートに対応
職場でも使いやすいシンプルな外観
1080p・60fpsでライブ配信も可能
ディスプレイの色域がとても広い
持ち歩くには大きくて重い
高負荷時の騒音は大きめ
基本的なスペックから搭載されている内部パーツ、実際に人気ゲームを動かして計測したフレームレートまで、順に詳しくご説明します。
スペック
現在販売されているOMEN 16(Intel)の主なスペックと価格を整理しました。
OS | Windows 11 Home | |||
---|---|---|---|---|
型番 | パフォーマンス 16-wf0022TX | パフォーマンスエクストラ 16-wf0023TX | パフォーマンスプラス 16-wf0024TX | |
ディスプレイ | 16.1インチワイド、QHD(2,560×1,440) 240Hz、ノングレア、IPSディスプレイ、G-Sync対応 | |||
CPU | Core i7-13700HX | |||
GPU | RTX 4060 | RTX 4070 | RTX 4080 | |
メモリ | DDR5-4800 16GB(8GB×2) | |||
ストレージ | 1TB NVMe SSD Gen4 | |||
無線LAN | 〇(Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3) | |||
寸法 | 369 × 259.4 × 23.5 mm | |||
質量 | 約2.44kg | |||
おまけ | – | ゲーミングヘッドセット | ||
販売価格 税・送料込 | 198,550円 | 217,800円 | 297,000円 |
RTX 4080 Laptop搭載モデルのみ、ゲーミングヘッドセット(HyperX Cloud II Core Wireless)がおまけで付属。
今回お借りしたのはRTX 4060 Laptopを搭載したパフォーマンスモデル(16-wf0022TX)です。
CPUやGPU、メモリの細かいスペックはこちらをご覧ください。
メモリはSK Hynix製のチップを採用したDDR5-4800を搭載しているようです。
注文時にメモリやストレージを増設できると便利なのですが、HPのオンラインストアはカスタマイズに対応していません。
パソコンの価格や在庫状況は時期によって変動します。最新情報は公式サイトでご確認ください。
Victus 16と比較
同じくCore i7-13700HXとRTX 4060 Laptopを搭載したVictus 16も販売中。
両者のスペックを整理すると以下の通り。
OMEN 16 | Victus 16 | |
---|---|---|
OS | Windows 11 Home | |
CPU | Core i7-13700HX | |
GPU | RTX 4060 Laptop | |
ディスプレイ | 16.1インチワイド | |
解像度 | QHD 2,560×1,440 300nit | FHD 1,920×1,080 250nit |
リフレッシュレート | 240Hz、G-Sync対応 | 144Hz |
sRGBカバー率 | 約100% | 約65.3% |
メモリ | DDR5-4800 16GB(8GB×2) | |
ストレージ | 1TB Gen4 | 512GB Gen4 |
キーボード | テンキーレス | テンキーあり |
寸法 | 369×259.4×23.5mm | 369×259.4×23.9mm |
質量 | 約2.44kg | 約2.30kg |
販売価格 税・送料込 | 198,550円 | 158,400円 |
記事執筆時点の価格(どちらも期間限定のセール価格)で比較しています。
基本スペックや寸法も非常に似ていますが、OMEN 16はディスプレイの解像度が高く、240Hzの高リフレッシュレートにも対応。
OMEN 16はストレージ容量にも余裕があり、色域の広いディスプレイは動画編集などのクリエイティブ用途でも活躍してくれます。
キーボードの配列や見た目の印象も大きく異なるため、それぞれのちがいをよく理解して、納得のいく1台を選んでください。
RTX 4070 Laptopを搭載したVictus 16をレビューしているので、ぜひ合わせてご覧ください。
デザイン・大きさ
筐体のデザインや入出力端子、ディスプレイのスペックなどはRTX 4070 Laptop搭載のパフォーマンスエクストラモデルとまったく同じ。
以下の記事に詳しくまとめているので、あわせてご覧いただくと性能のちがいもわかりやすいです。
OMEN 16(RTX 4060)の性能
ここからはOMEN 16の性能を、各種ベンチマークソフトを使用して数値化していきます。
検証時はOMEN Gaming Hubでパフォーマンスモードに設定。
温度コントロールはデフォルトの「自動」のまま計測しています。
いずれも素人が計測したデータなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R23
主なCPUをCINEBENCH R23のスコアで比較してみると以下の通り
デスクトップ向けのCore i5-12600Kと同程度の性能があるようです。
消費電力を65Wに制限したCore i7-13700Fのスコアには届きませんでしたが、Core i5-13400Fと比較するとマルチコア、シングルコアともに上回っています。
ノートPC向けのCPUとしてはなかなか優秀です。
3D Mark
3DMarkのSpeedWayを走らせて、主なグラボとスコアを比較しました。
RTX 4060 Laptopのゲーム性能は、デスクトップ向けのRTX 4060を若干上回るくらい。
CPU-ZによるとGPUのTDPは80Wでした。
デスクトップ向けのRTX 4060(TDP:115W)と比べると消費電力に差があるものの、同程度のスコアを出せるのは素晴らしいです。
Crystal Disk Mark
Gen4らしい素晴らしい転送速度が出ています。
書き出しはやや速度が落ちているものの、体感できるほどの差はないため気にする必要はありません。
CrystalDiskInfoでストレージの情報を読み取ってみると、仕様に記載の通りWestern Digitalの製品であることがわかります。
電源の投入回数や使用時間が多めなのは、レビュー用の貸出機だからです。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen 5) | 10,000MB/s |
---|---|
NVMe M.2 SSD (Gen 4) | 4,000~7,000MB/s |
NVMe M.2 SSD (Gen 3) | 2,000~3,000MB/s |
SSD(SATA) | 550MB/s |
HDD | 120~160MB/s |
静音性
市販の騒音計(サンコー小型デジタル騒音計)を使用して、PCに負荷をかけたときの騒音を計測しました。
計測時の室温は26度で、モードごとのおおよその平均値をまとめています。
パフォーマンスモードでゲームを動かすと、騒音は60dB前後まで上昇。
快適にゲームを楽しみたいなら、遮音性の高いヘッドセットやイヤホンは必須と考えたほうが良いでしょう。
最適モードとECOモードは体感でも騒音にほとんど差がありませんでした。
筆者が使用している騒音計の目安は以下の通り。
60dB~ | 掃除機に匹敵するほどうるさい 遮音性の高いイヤホンやヘッドセットが必須 |
---|---|
50~60dB | 大多数の人がうるさく感じる イヤホンやヘッドセットの使用が必須 |
45~50dB | ファンの音がやや気になりはじめる イヤホンやヘッドセットの使用を推奨 |
40~45dB | ファンの音は聞こえるが不快ではない スピーカーでもゲームはプレイ可能 |
38~40dB | PCに耳を近づけると音が聞こえる程度 スピーカーでも快適にプレイが可能 |
モード別の性能差を検証
モードチェンジでどの程度性能に差が出るのか、Cyberpunk 2077のベンチマークモードを走らせた結果は以下の通り。
最適モードやECOモードではフレームレートが若干ダウン。
ゲームの画質調整でカバーできる範囲ではあるので、静音重視でゲームをプレイしたい方は最適モードやECOモードがおすすめです。
続いてACアダプター(280W)とバッテリー駆動、100WのPD充電器に接続した状態で同様にベンチマークを走らせました。
バッテリー駆動やPD充電ではフレームレートが大幅にダウン。
軽めのゲームなら多少は動かせるかもしれませんが、快適にゲームを楽しみたいならACアダプターは必須と考えてください。
事務仕事やブラウジング、動画視聴など負荷の軽い用途であれば、バッテリーやPD充電でもストレスなく運用できると思われます。
冷却性能
PCに負荷をかけたときの温度も確認しました。
CPU使用率が100%まで上昇するCINEBENCH R23のマルチコアは、最大で100度に到達。
ここまでCPUに強烈な負荷をかけ続けることは滅多にありませんが、薄型の筐体ではさすがに限界があります。
ゲーム起動中はCPU、GPUともに温度は80度台で安定。
デスクトップと比べれば温度は高めですが、ゲーミングノートとしては標準的です。
サーモカメラで表面温度を確認してみたところ、キーボード中央部分やヒンジ周辺は温度が40度台半ばまで上昇。
左手の指先がじんわり熱くなる感覚はあるものの、さわれなくなるほど発熱することはありませんでした。
手に汗をかきやすい方は少々気になるかもしれません。
PCゲームのフレームレート検証
まずは定番のベンチマークソフトを3種類試しました。
いずれも解像度はディスプレイに合わせてQHD(2,560×1,440)に設定、画質は最高で試しています。
FF15 | 7,389 快適 |
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FF14 暁月のフィナーレ | 16,036 非常に快適 |
BLUE PROTOCOL | 11,185 極めて快適 |
FF15は「快適」どまりでスコアが伸びきらず。
グラフィックが極めて重たいゲームをサクサク楽しみたいなら、ゲームの画質を調整するか、解像度をフルHD(1,920×1,080)に落としたほうがよさそうです。
続いてMSIのAfterburnerを使用して、人気ゲームの平均フレームレートをQHD(2,560×1,440)解像度で計測しました。
フォートナイトはDirectX12とパフォーマンス、レンダリングモードごとに検証。
最高画質(DX12) | 44fps |
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競技設定(パフォーマンス) | 246fps |
DirectX12ではアンチエイリアスを「TSR最高」、テンポラルスーパー解像度は「推奨」、さらにハードウェアレイトレーシングもONで計測しています。
パフォーマンスモードの競技設定は3D解像度のみ100%で計測。
ディスプレイのリフレッシュレートが240Hzであることを考えれば、十分な性能といえそうです。
最高画質 | 121fps |
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低画質 | 173fps |
Apex Legendsは最高画質でも平均フレームレートは100以上をキープ。
画質を落としても平均200には届きませんでしたが、解像度をフルHDに落として試したところ、平均230前後は出ていました。
やはりゲームに合わせて画質や解像度を調整したほうがよさそうです。
そのほかのゲームはすべて最高画質で検証した結果です。
VALORANT | 306fps |
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Escape from Tarkov | 54fps |
Overwatch 2 | 145fps |
ARMORED CORE VI | 82fps |
Assassin’s Creed Mirage | 98fps |
Starfield | 48fps |
Cyberpunk 2077 | 45fps |
Forza Horizon 5 | 92fps |
Cyberpunk 2077はオーバードライブモードが極めて重く、従来の最高設定にあたる「レイトレーシング:ウルトラ」であれば平均60以上出せるようです。
スターフィールドも場面によってはフレームレートが落ち込むため、最高画質にこだわらないほうが快適に楽しめるでしょう。
画質とフレームレート、どちらを優先するかはプレイするゲームに合わせてお好みで判断してください。
ゲーム実況のライブ配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用し、配信と同時に録画も実施しています。
ゲームの解像度とOBSの出力解像度を1080p(1,920×1,080)に設定し、FaceRigでアバターも表示しながら試しました。
ゲーミングノートは付属のWebカメラで表情をトラッキングできるのも便利です。
ゲームの画質 | 低 |
---|---|
出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア |
音声ビットレート | 128 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ハードウェア |
配信&録画中はフレームレートが若干下がるものの、おおむね200前後をキープしており、実用上はとくに問題ないレベル。
配信するゲームによって設定の調整は必要になりそうですが、PC1台でVTuberとしてゲーム実況の配信も可能。
これからライブ配信に挑戦してみたい方にもおすすめです。
動画編集などの用途も相性良し
レビューのまとめとして、OMEN 16(パフォーマンスモデル)の特徴をおさらいします。
240Hzのリフレッシュレートに対応
職場でも使いやすいシンプルな外観
1080p・60fpsでライブ配信も可能
ディスプレイの色域がとても広い
持ち歩くには大きくて重い
高負荷時の騒音は大きめ
QHDの最高画質で重いゲームを動かすにはパワー不足感が否めませんが、色域の広いディスプレイは動画編集などのクリエイティブ用途と相性が抜群。
設定を工夫することでゲーム実況のライブ配信もこなせますし、幅広い用途で活躍してくれるマシンです。
予算20万円以下で、見た目の高級感もたっぷりなゲーミングノートを探している方は、OMEN 16を検討してみてはいかがでしょうか。