レノボが販売するゲーミングPC、Legion T570iをお借りしました。
機材貸出元:レノボ・ジャパン合同会社
Core i5-12400FとGTX 1660 SUPERを搭載し、コスパに優れたモデルでしたが、この記事の公開直前に2万円ほど値上がり。
予算15万円以下でゲーミングPCを探している方は、ぜひご覧ください。
Legion T570iの概要と特徴
Legion T570iがどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
144Hzモニターと相性抜群なスペック
バトロワ系ゲームも快適にプレイ可能
1080p・60fpsでライブ配信もこなせる
記事公開直前に2万円ほど値上がり
ゲーム起動中のファンの音がうるさい
基本的なスペックからケースの構造、実際に人気ゲームを動かして計測したフレームレートまで、順に詳しくご説明します。
スペック
今回お借りしたモデルの基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 11 Home |
---|---|
CPU | Core i5-12400F |
GPU | GeForce GTX 1660 SUPER |
メモリ | DDR5-4800 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 512GB NVMe SSD Gen4 1TB HDD |
販売価格 | 143,421円(消費税・配送料込) |
この記事を執筆するほんの数日前まで12万円台で販売していましたが、残念ながら値上げしたようです。
RTX 3060搭載モデルも14万円台で販売されていて素晴らしいコスパだったのに、記事公開時点で完全に姿を消しました。
あまりにコスパが良かったため、売り切れてしまったのでしょうか。
CPUとGPUの細かい情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。
標準仕様でストレージ容量が合計1.5TBとたっぷりなのは便利です。
メモリはSamsung製のDDR5-4800が採用されていました。
無線LAN(Wi-Fi 6、Bluetooth v5.2)を標準搭載しているのもポイントです。
価格や在庫状況などは公式サイトで最新情報をご確認ください。
ケース外観
ここからはLegion T570iの外観をご紹介します。
ATX規格のミドルタワーで、仕様上の寸法は205×420×395mm。
Legionには強化ガラスパネルを採用したモデルもありますが、今回のレビュー機はケース内部がまったく見えません。
ケース正面から吸気し、背面と天面に排気します。
天面のメッシュパーツは取り外しができないタイプ。
電源直下のメッシュパーツはネジで固定してありました。
掃除しようと思ったら、都度ネジを外す必要があるため非常に面倒くさいです。
床に直接ゲーミングPCを設置する方はとくに、1ヶ月に1回くらい掃除することをおすすめします。
LEDライティング
電源をONにすると、ケース前面のロゴマークが発光。
プリインストールされている専用ソフトウェアからライティングの設定を変えられますが、色は単色のみで、設定できるのも明るさと発光パターンだけ。
ソフトウェア上ではCPUクーラーと背面ファンのライティングも設定可能。
ただし今回のレビュー機は光るパーツを搭載していません。
落ち着いたデザインのゲーミングPCが欲しい方にはちょうどよさそうです。
インターフェイス
電源ボタンなどはケース天面にあります。
- USB 3.1 Gen1 ×2
- マイク
- ヘッドホン
- 電源
欲を言えばType-Cポートもひとつ欲しいところです。
背面の主なポート類は以下の通り。
- USB 3.1 Gen1 ×2
- USB 2.0 ×4
- USB 3.1 Gen2 Type-C ×1
- ギガビットLANポート
- DisplayPort ×1
- HDMI ×1
- DVI ×1
メーカー製PCとしては、比較的背面のUSBポートが充実しています。
最近はほとんど見かけなくなったDVI端子を発見。
トリプルモニターでの運用を考えている場合、出力端子に注意が必要です。
RTX 3060以上を搭載した上位モデルは、出力端子がDisplayPort ×3とHDMI ×1です。
ケース内部
ケース内部はご覧の通り。
バックパネルには両面テープが張ってありました。
何に使うのかは不明です。
ケースファンは背面に1台のみ。
ケースの前面と天面にもケースファンを増設できそうなスペースがあります。
実際に試してはいませんが、240mmまでラジエーターなら簡易水冷クーラーも搭載できそうです。
ケースのエアフローをさらに強化したいなら、ケースファンの増設がおすすめです。
CPUクーラー
CPUクーラーはLegionのロゴをあしらった、サイドフロータイプ。
CINEBENCH中のCPU温度は70度を超えないくらいでした。
ゲーム起動中もCPU温度はおおむね50~60度で安定しており、冷却性能は申し分なしです。
グラフィックカード
グラフィックカードはシングルファンのコンパクトなものを採用。
GPU-Zの情報によるとMSI製のようです。
ゲーム起動中、ファンの騒音が50dBくらいまで上がるのですが、このグラボが原因と思われます。
シングルファンのグラボは負荷がかかるとうるさくなるものが多いです。
メモリ
メモリはヒートスプレッダ非搭載のシンプルなものが2枚。
空きスロットは2つあるため、4枚刺しも可能です。
ストレージ
メインストレージはヒートシンクで隠れて確認できず。
ケース底面にHDDも搭載されています。
3.5インチのストレージはもう1台追加できそうです。
少々配線がゴチャついているため、自身で増設するのは骨が折れそうです。
電源
電源は500W(80PLUS BRONZE)を採用。
NVIDIAの公式サイトによると、GTX 1660 SUPER搭載マシンの推奨電源は450Wなので、まったく問題ありません。
Legion T570iのベンチマーク
ここからはLegion T570iの性能を、各種ベンチマークソフトを使用して数値化していきます。
いずれも専用ソフトウェアでパフォーマンスモードに設定。
ゲーム起動中はファンの音がうるさく感じるため、気になる方は静音モードでの運用をおすすめします。
まずはパソコンの総合的な性能をチェックするPC Mark10を試した結果がこちら。
ゲーミングPCとしては若干控えめに見えますが、写真や動画の編集、事務仕事など、あらゆる用途をサクサクこなせる素晴らしいスコアです。
計測結果はいずれも当サイトで検証したものなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R23
主なCPUをCINEBENCH R23のスコアで比較してみると以下の通り。
Core i7-12700F | |
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Core i7-11700K | |
Core i5-12400F | |
Ryzen 5 5600X | |
Core i5-11400F |
Core i5-12400Fとしては標準的なスコアです。
Fire Strike
3DMarkのFire Strikeのスコアを比較すると以下の通り。
RTX 3060 Ti | |
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RTX 3060 | |
GTX 1660 SUPER | |
RTX 3050 | |
GTX 1650 |
レイトレーシングなどには対応していないものの、ゲーム性能という点ではRTX 3050とほぼ同レベル。
グラフィックの重いゲームも、設定を調整すれば快適にプレイ可能です。
Crystal Disk Mark
SSDはGen4対応のため、素晴らしい転送速度です。
書き出しは速度が若干落ちているものの、実用上ストレスを感じることはほとんどないでしょう。
HDDの転送速度は標準的です。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen 5) | 10,000MB/s |
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NVMe M.2 SSD (Gen 4) | 4,000~7,000MB/s |
NVMe M.2 SSD (Gen 3) | 2,000~3,000MB/s |
SSD(SATA) | 550MB/s |
HDD | 120~160MB/s |
転送速度にこだわる方は、ストレージのカスタマイズをおすすめします。
オンラインゲーム
定番のベンチマークソフトも走らせました。
重量級ゲームのFF15が最高画質で「快適」、FF14は「非常に快適」という結果でした。
グラフィックの重いゲームは、画質を落としてプレイすることをおすすめします。
FF15
高品質 | 6281(快適) |
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標準品質 | 8868(快適) |
軽量品質 | 11807(とても快適) |
FF14 暁月のフィナーレ
最高品質 | 15837(非常に快適) |
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PCゲームのフレームレート検証
MSIのAfterburnerを使用して、人気ゲームの平均フレームレートを計測しました。
フォートナイトはチャプター4でグラフィック設定が大幅に変更。
アンチエイリアスを「TSR最高」、超解像技術は「ネイティブ」に設定して計測しました。
レンダリングモードごとに計測した結果がこちら。
最高画質(DX11) | 48fps |
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競技設定(DX11) | 85fps |
競技設定(パフォーマンス) | 273fps |
ある程度本格的にやりこむならパフォーマンスモードがおすすめです。
フレームレートの上限を240に設定して試してみたところ、常に240fpsで張り付くのは少々しんどい印象です。
個人的には十分快適と感じますが、240fps固定にこだわるなら、もう少しスペックの高いゲーミングPCを選んでください。
最高画質 | 115fps |
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低画質 | 180fps |
Apex Legendsは最高画質でも平均値は100を超えますが、近接での撃ち合い中は80前後まで落ちることも。
ヌルヌル感を重視するなら、多少画質を落としたほうが快適です。
そのほかのゲームはすべて最高画質で検証した結果です。
Overwatch 2 | 143fps |
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CoD:MW2 | 54fps |
Escape from Tarkov | 58fps |
VALORANT | 275fps |
Rainbow Six Siege | 238fps |
モンスターハンターライズ | 105fps |
原神 | 60fps |
CoD:MW2は極限設定だと50前後しか出ませんが、推奨設定に変えると平均130前後で安定します。
Overwatch 2やVALORANT、Rainbow Six Siegeなどはグラフィックが軽く、最高画質のままサクサク楽しめます。
お使いのモニターに合わせて、最適な設定を見つけてください。
重量級ゲームの結果は以下の通り。
Cyberpunk 2077 | 48fps |
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WATCH DOGS LEGION | 31fps |
FARCRY 6 | 72fps |
Marvel’s Spider-Man Remastered | 46fps |
Forza Horizon 5 | 92fps |
いずれもレイトレーシングはOFFで検証した結果です。
やはりグラフィックの重いゲームをプレイするなら、最高画質はあきらめたほうがよさそうです。
ゲーム実況の動画配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用、配信と同時に録画も実施です。
Apex Legendsでいろいろ試した結果、以下の設定でスムーズにライブ配信ができました。
ゲームの画質 | 低 |
---|---|
出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア |
音声ビットレート | 128 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ソフトウェア |
配信映像がカクついたりすることもなく、スムーズに配信・録画ができました。
録画のエンコーダはハードウェア(GPU)でも問題ありませんが、CPUに余力があるためソフトウェア(CPU)に設定しています。
グラフィックの重いゲームを高画質で配信したいなら、もっとハイスペックなグラボが必要です。
配信するゲームによってCPUやGPUの負荷は変わるため、ゲームに合わせて設定を調整する必要があります。
クリエイティブ用途の動作検証
続いて動画や写真の編集など、クリエイティブ用途でも快適に使えるかを検証しました。
ゲーム以外の用途でもサックサクです。
Premiere Proで動画編集
まずはAdobeのPremiere ProでYoutube動画の編集を試しました。
動画素材をカットしてつなげたり、テロップや効果音を加える程度の編集なら、処理の遅延を感じることはほとんどありません。
After Effectsで演出を加えたり、4K動画の編集を考えているなら、メモリを16GBから32GB以上に増設してもよさそうです。
4K動画の書き出し
参考までに、4K動画の書き出し時間を計測しました。
検証のために用意したのは、GoPro HERO7 Blackで撮影した4K 60fpsの動画データ。
書き出し条件とかかった時間は以下の通り。
H.264(Youtube 1080p FHD) | 7:22 |
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H.264(Youtube 2160p 4K UHD) | 4:18 |
一般的な薄型ノートパソコンだと40分以上かかることもザラなのでとても速いです。
動画編集マシンとしても抜群に優秀です。
LightroomでRAW現像
デジカメで撮影したRAWデータの書き出し速度もチェックしてみました。
有効画素数3,635万のRAWデータ100枚をLightroomで書き出したところ、かかった時間は1分10秒と素晴らしい速さでした。
写真編集用マシンとしても、文句なしの性能です。
Lightroomの書き出し条件は以下で統一しています。
画像形式 | JPEG |
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画質 | 100 |
カラースペース | sRGB |
画像のサイズ | 未調整(撮影データそのまま) |
解像度 | 350 |
メタデータ | すべてのメタデータ (人物情報や撮影場所の情報は削除) |
値上げ前なら素晴らしいコスパ
レビューのまとめとして、Legion T570iの特徴をおさらいします。
144Hzモニターと相性抜群なスペック
バトロワ系ゲームも快適にプレイ可能
1080p・60fpsでライブ配信もこなせる
記事公開直前に2万円ほど値上がり
ゲーム起動中のファンの音がうるさい
性能面は搭載スペック通りですが、キーンと耳障りなファンの回転音がやや気になるポイント。
おそらくシングルファンのグラボが騒音の発生源です。
値上がり前の12万円台で買えたなら、間違いなくコスパ最強レベルでした。
このスペックで14万円台となると、あともう少しだけ予算をひねりだしてRTX 3060搭載モデルを狙ったほうがいいです。
また、記事公開時点で在庫状況も「残りわずか」となっているため、この記事をご覧いただいたタイミングによってはすでに売り切れている可能性もあります。
出荷は「最短1~2営業日程度」とLenovoとしては非常に速いようなので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。