マウスコンピューターが販売するゲーミングPC、G-Tune PL-B-A380をお借りしました。
機材貸出元:株式会社マウスコンピューター
Core i5-12400とIntelのArc A380を搭載したモデルです。
最新グラボ搭載モデルの実力が気になる方は、ぜひじっくりご覧ください。
G-Tune PL-B-A380の概要と特徴
G-Tune PL-B-A380がどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
GTX 1650と同等レベルの性能
ハンドル付きで持ち運びやすい
動画編集などの用途でも活躍
一部ゲームは相性問題がある模様
OBSを使用した配信ができない
Apex Legendsやフォートナイトなどのゲームで、どれくらいフレームレートを出せるのか知りたい!という方はこちらからご覧ください。
スペック
今回お借りしたモデルの基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 11 Home |
---|---|
CPU | Core i5-12400 |
GPU | Intel Arc A380 |
メモリ | 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
販売価格 | 138,100円(消費税・配送料込) |
CPUとGPUの細かい情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。
動画編集などの用途でもPCを使用する場合、メモリやストレージは注文時にカスタマイズすることをおすすめします。
予算と用途に合わせて、最適なスペックを選んでください。
パソコンの仕様および価格は時期によって変動します。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
ケース外観
大手BTOメーカーでは非常に珍しい、Mini-ITXのコンパクトなケースを採用。
マットな質感で、指紋などの汚れが目立ちにくいのも特徴です。
両側面はメッシュ状になっていて、ケース内部の冷却性能を高めています。
仕様上の大きさは高さが約330mm、奥行きが約405mm、横幅が約180mm。
重量も約6.8kgで、ゲーミングPCとしてはとても軽量&コンパクトです。
ケース上部には持ち運びに便利なハンドルを搭載。
約50kgの負荷をかけてもゆがまない丈夫なハンドルで、滑り止めの加工も施されているため、約7.6kgの本体を楽々持ち上げられます。
前面の赤いライン状のパーツは、電源を入れると光ります。
底面にはスライド式のメッシュカバーが取り付けられていて、掃除が楽です。
ホコリがたまると冷却性能の低下につながるので、少なくとも数か月に1回は掃除しましょう。
メッシュパネルを水洗いしたときは、よく乾かしてから装着してください。
インターフェイス
電源ボタンなどはケース正面から見て右側面に用意されています。
- 電源
- USB3.0 ×2
- ヘッドホン
- マイク
欲を言えばUSB3.0は4つ欲しいところですが、コンパクトさが売りのモデルなので仕方ありません。
DVDで映画などを見たい方は+6,490円(税込)の追加オプションでスロットインタイプの光学ドライブを搭載できます。
背面のポート類も少なめです。
- USB 2.0 ×2
- USB 3.0 ×2
- USB 3.2 Type-C ×1
- ギガビットLANポート
- HDMI ×1
- DisplayPort ×1
無線LAN(Wi-Fi 6+Bluetooth)も標準搭載されているため、有線LANをつなげられない方も安心です。
グラボの映像出力が2つしかないため、3台以上のディスプレイを使うつもりの方は要注意。
ケース内部
ケースを開けると、120mmサイズのファンを固定するパーツで覆われていました。
PCの自作経験が豊富な方なら問題ありませんが、自信がない方は無理に手を出さないほうが無難です。
ネジを3つ外すと、内部パーツにアクセス可能です。
Mini-ITXのコンパクトなケースなので、中身がギッチリ詰まっています。
ケースのエアフローを高めるだけでなく、3.5インチのストレージも搭載できるようです。
購入後のパーツ交換などによる故障・トラブルは保証対象外になる可能性があります。
CPUクーラー
CPUクーラーは小ぶりなトップフロータイプが搭載されていました。
PCゲーム起動中のCPU温度はおおむね60度前後で、冷却性能は十分。
CINEBENCH R23でCPUに強い負荷をかけたときも、CPU温度は最大で79度程度。
見た目以上にしっかりしているようです。
グラフィックカード
グラフィックカードはMSI製のシングルファンモデルが搭載されていました。
国内では一般流通していないモデルと思われます。
メモリ
メモリはヒートシンク非搭載のシンプルなものが2枚(8GB×2)刺さっています。
ゲームがメインなら16GBでメモリ不足を感じる場面は滅多にありませんが、動画編集などで必要性を感じたら32GBに増設しても良いでしょう。
ただしメモリスロットは2つしかないため、4枚刺しには非対応です。
ストレージ
M.2 SSDには発熱を防ぐためのヒートシンクも搭載されていました。
ゲームをたくさんインストールする場合、512GBでは容量が足らなくなる恐れがあるので、予算に合わせてカスタマイズすることをおすすめします。
電源
電源はMini-ITX向けのコンパクトなSFX規格ではなく、通常のATX規格の500W(80PLUS BRONZE)を搭載。
老舗の電源メーカー、FSPの製品を採用しているようです。
Intelの公式サイトによると、A380単体のTBP(消費電力)は75Wとのこと。
省電力なパーツ構成ということもあり、電源容量はまったく問題ありません。
G-Tune PL-B-A380のベンチマーク
ここからはG-Tune PL-B-A380の性能を、各種ベンチマークソフトを使用して数値化していきます。
まずはパソコンの総合的な性能をチェックするPC Mark10を試した結果がこちら。
ゲーミングPCとして考えるとスコアはやや控えめですが、ゲームはもちろん、ExcelやWordなどの事務作業、各種クリエイティブ用途もこなせるスコアです。
計測結果はいずれも当サイトで検証したものなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R23
主なCPUをCINEBENCH R23のスコアで比較してみると以下の通り。
Core i7-12700F | |
---|---|
Core i7-11700K | |
Core i5-12400 | |
Ryzen 5 5600X | |
Core i5-11400F |
Core i5-12400としてはやや低めでしょうか。
11世代のCore i5と比較すると、大幅に性能がアップしています。
Fire Strike
3DMarkのFire Strikeのスコアを比較すると以下の通り。
RTX 3050 | |
---|---|
RX 6400 | |
Ark A380 | |
GTX 1650 | |
GTX 1050 Ti |
ゲーム性能という点では、エントリーモデルのGTX 1650やRX 6400と同等レベル。
フルHD解像度なら幅広いゲームをそこそこ動かせるスコアです。
Crystal Disk Mark
ストレージの転送速度は読み書きともに控えめでした。
検証用ゲームをインストールしていたところ、PCの動作が極端に遅くなるトラブルが発生。
SSDのキャッシュ切れと思われますが、大きなデータを同時進行で読み書きするときは注意したほうがいいかもしれません。
心配な方は注文時のカスタマイズで上位モデルのストレージに変更することをおすすめします。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen4) | |
---|---|
NVMe M.2 SSD | |
SSD(SATA) | |
HDD |
ハイエンドクラスのNVMe M.2 SSD(Gen4)なら、読み込み速度が7,000MB/sを超えるものもあります。
オンラインゲーム
定番のベンチマークソフトも走らせました。
重量級ゲームのFF15が最高画質で「やや重い」、FF14は「快適」という結果でした。
グラフィックの重いゲームは画質調整が必須です。
FF15
高品質 | 2967(やや重い) |
---|---|
標準品質 | 4706(やや快適) |
軽量品質 | 6146(快適) |
FF14 暁月のフィナーレ
最高品質 | 8774(快適) |
---|---|
高品質 | 9269(快適) |
標準品質 | 15501(非常に快適) |
PCゲームのフレームレート検証
MSIのAfterburnerを使用して、人気ゲームの平均フレームレートを計測しました。
フォートナイトはレンダリングモードごとに計測しています。
最高画質(DX11) | 32fps |
---|---|
競技設定(DX11) | 80fps |
競技設定(DX12) | 158fps |
競技設定(PF) | 212fps |
最高画質では数値以上にカクつきを感じるため、画質調整は必須と考えたほうがよさそうです。
パフォーマンスモードはDX11がベースになっているらしいですが、今回の検証ではもっともフレームレートが伸びていました。
144Hzのモニターでプレイするなら十分な性能といえそうです。
最高画質 | 61fps |
---|---|
低画質 | 66fps |
グラボとの相性なのか、Apex Legendsは画質を落としてもフレームレートがほとんど変化せず。
PS4やSwitchでプレイするよりはマシといったところでしょうか。
そのほかのゲームはすべて最高画質で検証した結果です。
Overwatch 2 | 65fps |
---|---|
VALORANT | 206fps |
Rainbow Six Siege | 152fps |
ELDEN RING | 37fps |
モンスターハンターライズ | 55fps |
VALORANTはグラフィックが軽く、最高画質でもサクサク快適に動かせます。
Rainbow Six Siegeは初回起動時に発生するシェーダーのインストールが異様に遅く、5分以上時間がかかりました。(普段は1~2分程度)
ELDEN RINGも最高画質でそれなりにプレイできましたが、多少画質を落としたほうがよさそうです。
グラフィックの重いタイトルは中画質で検証。
レイトレーシング(DXR)対応ゲームは設定でOFFにしています。
Escape from Tarkov | 49fps |
---|---|
Cyberpunk 2077 | 41fps |
WATCH DOGS LEGION | 55fps |
FARCRY 6 | 57fps |
Marvel’s Spider-Man Remastered | 8fps |
Forza Horizon 5 | 81fps |
スパイダーマンは最低画質まで落としても平均フレームレートが二桁に乗らず、グラボとの相性が最悪な模様。
試しに最高画質のCyberpunk 2077でレイトレーシング(DXR)を試してみると、フレームレートは一桁にまで落ち込みました。
また、Battlefield 2042はDirectXのエラーが発生して、何度試してもゲームをプレイできず。
モンスターハンターライズでも起動時に似たようなエラーが発生しましたが、こちらはPCの再起動で解決しています。
Forza Horizon 5もベンチマークモードが動き出すまで5分程度待たされるなど、全体的に発展途上感は否めません。
ゲーム実況の動画配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるか試そうとしたところ、OBS(Open Broadcaster Software)でトラブルが発生。
普段通りに設定しても、ゲームキャプチャがゲームの映像を取得できず。
設定を細かく見直してみたものの、今回の検証では解決できませんでした。
どうしてもライブ配信がしたい場合、Arcコントロール(GeForce Experienceみたいなもの)からTwitchに接続はできるようです。
ただOBSのように設定の細かいカスタマイズはできず、あくまで最低限の機能といった印象。
ライブ配信に力を入れたいなら、やはりGeForceやRadeonを搭載したゲーミングPCを選んだほうが良いでしょう。
クリエイティブ用途の動作検証
続いて動画や写真の編集など、クリエイティブ用途でも快適に使えるかを検証しました。
ゲーム以外の用途でも活躍します。
Premiere Proで動画編集
まずはAdobeのPremiere ProでYoutube動画の編集を試しました。
動画素材をカットしてつなげたり、テロップや効果音を加える程度ならストレスなく作業ができます
After Effectsで演出を加えたり、4K動画の編集を視野に入れているなら、メモリは32GBにカスタマイズしたほうが快適です。
どの程度動画編集に力を入れるかによって判断してください。
4K動画の書き出し
参考までに、4K動画の書き出し時間を計測しました。
検証のために用意したのは、GoPro HERO7 Blackで撮影した4K 60fpsの動画データ。
書き出し条件とかかった時間は以下の通り。
H.264(Youtube 1080p FHD) | 5:10 |
---|---|
H.264(Youtube 2160p 4K UHD) | 7:01 |
一般的な薄型ノートパソコンだと40分以上かかることもザラなので十分速いです。
動画編集マシンとしても優秀です。
LightroomでRAW現像
デジカメで撮影したRAWデータの書き出し速度もチェックしてみました。
有効画素数3,635万のRAWデータ100枚をLightroomで書き出したところ、かかった時間は1分43秒でした。
ミドルスペックのCPUとしてはとても優秀です。
Lightroomの書き出し条件は以下で統一しています。
画像形式 | JPEG |
---|---|
画質 | 100 |
カラースペース | sRGB |
画像のサイズ | 未調整(撮影データそのまま) |
解像度 | 350 |
メタデータ | すべてのメタデータ (人物情報や撮影場所の情報は削除) |
Intelファン必見のゲーミングPCか
レビューのまとめとして、G-Tune PL-B-A380の特徴をおさらいします。
GTX 1650と同等レベルの性能
ハンドル付きで持ち運びやすい
動画編集などの用途でも活躍
一部ゲームは相性問題がある模様
OBSを使用した配信ができない
NVIDIA、AMDに次ぐ第三勢力として登場したIntelのグラボですが、ドライバーが未成熟なのか、まだまだこれからといった印象です。
エントリークラスながら価格がやや高めということもあり、コスパ良くゲーム環境を整えたいなら、無難にGeForce搭載モデルを選んだほうが良いでしょう。
記事執筆時点では36回まで分割手数料が無料で、マウスコンピューターは24時間365日のアフターサポートも大きな強み。
Arc A380の実力を試してみたい方は、G-Tune PL-B-A380を検討してみてはいかがでしょうか。