ツクモとMSIがコラボしたゲーミングPC、G-GEAR Powered by MSI / GM5A-C211T/CP1をお借りしました。
機材貸出元:株式会社ヤマダデンキ
コラボモデルということもあり、ケースやグラボ、マザーボードはMSIの製品を採用。
人気ゲームを快適にプレイできるのはもちろん、見た目のカッコよさも魅力です。
予算20万円前後でゲーミングPCを探している方は、ぜひじっくりご覧ください。
GM5A-C211T/CP1の概要と特徴
GM5A-C211T/CP1がどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
人気ゲームが高フレームレートで快適
ケース内部を魅せられるMSI製ケース
1080p・60fpsで高画質な配信も可能
動画編集用パソコンとしても超優秀
注文時のパーツカスタムに非対応
基本的なスペックからケースの構造、実際に人気ゲームを動かして計測したフレームレートまで、順に詳しくご説明します。
スペック
今回お借りしたモデルの基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Ryzen 5 5600X |
GPU | Radeon RX 6700 XT |
メモリ | 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD(Gen4) |
販売価格 | 207,000円(消費税・配送料込) |
CPUとGPUの細かい情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。
メモリとストレージも必要十分な容量が搭載されていて、ゲーム以外の用途でもバリバリに活躍するスペックです。
ひとつ注意したいのが、MSIコラボモデルは注文時のカスタマイズに非対応。
メモリを光るものに変えたり、ストレージの容量を増やしたい方は、購入後に自身で改造するしかありません。
パーツ改造は保証対象外になってしまうメーカーも多いですが、ツクモは工場出荷時の状態に戻せるならパーツ増設も保証の適用範囲内なので安心です。
ラインナップ
MSIとのコラボモデルは複数のラインナップを展開。
各モデルの主なスペックをまとめると以下の通り。
モデル | GM5J-A211T/CP1 | GM7J-B211T/CP1 | GM5A-C211T/CP1 | GM7A-D210T/CP1 |
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CPU | Core i5-11400F | Core i7-11700F | Ryzen 5 5600X | Ryzen 7 5800X |
GPU | RTX 3060 Ti | RTX 3070 | RX 6700 XT | RTX 3070 |
メモリ | 16GB(8GB×2) | |||
ストレージ | 1TB NVMe SSD(Gen4) | |||
販売価格 (税・送料込) | 202,000円 | 259,000円 | 207,000円 | 267,000円 |
いずれもスペックと価格だけで比較すると、激安とは言えません。
ケースや搭載パーツにこだわりたい方におすすめです。
パソコンの仕様および価格は時期によって変動します。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
ケース外観
ここからはGM5A-C211T/CP1の外観をご紹介します。
ケースはMSIのMAG VAMPIRIC 010がベースで、TSUKUMOのロゴマークなどがデザインされています。
エアフロー効率も素晴らしく、自作派の方にとっても組みやすい、非常に完成度の高いケースです。
本体左側面には4mm厚の強化ガラスパネルを標準搭載。
仕様上の寸法(突起物含まず)は高さが約475mm、奥行きが約420mm、横幅が約210mm。
ATX規格のケースなのでそこそこ大きいです。
天面のメッシュパーツはマグネット式で簡単に着脱可能。
ほこりが溜まってきたら、簡単に掃除ができます。
電源直下のメッシュパーツも取り外しが可能。
足元に設置する場合はとくに、構造上ほこりがたまりやすい個所なので、掃除しやすいのは便利です。
LEDライティング
電源を入れると、ケース前面と背面のファンが光ります。
MSIのMystic Lightをインストールすれば、色や発光パターンのカスタマイズも可能です。
設置場所によってはほとんど見えなくなりますが、電源もライティング機能を搭載。
ライティング専用のスイッチが用意されていて、発光のON/OFFと色の変更が可能。
複雑なライティングの制御には対応していません。
インターフェイス
ケース前面にインターフェイスは何もありません。
電源ボタンやUSBポートなどは天面に用意されています。
- 電源
- マイク
- イヤホン
- USB 2.0 ×2
- USB 3.0 ×1
背面の主なインターフェイスは以下の通り。
- PS/2 ×1
- USB 3.2 Gen2(Type-A)×1
- USB 3.2 Gen2(Type-C)×1
- USB 3.2 Gen1(Type-A)×2
- USB 2.0(Type-A)×4
- アナログオーディオ入出力
- LAN ×1
- DisplayPort ×3
- HDMI ×1
USBポートが豊富なので、外部デバイスをたくさん使用する方も安心です。
ひとつ注意点として、無線ではインターネットにつなげられません。
ツクモのネットショップで探せばUSBタイプの無線LANアダプターが2,000円前後で見つかるので、通信速度にこだわらないなら安価なもので代用が可能です。
家庭の都合で有線での接続ができない方は、事前に対策を考えておきましょう。
ケース内部
ケース内部はご覧の通り。
マザーボードはMSIのB550-A PRO(ATX)で、さすがはツクモというべきか、裏配線がとてもきれいに整理されています。
背面側には2.5インチ×2、3.5インチ×2のストレージを増設できるシャドウベイも用意されています。
ケースの拡張性がとても高いため、水冷CPUクーラーに交換したり、上位モデルの大型グラボを搭載するなど、改造も楽しめそうです。
CPUクーラー
CPUクーラーはシンプルな空冷式。
Ryzen 5 5600Xに付属しているWraith Stealth coolerと思われます。
Cyberpunk 2077のようなグラフィックの重いゲームの場合、起動中のCPU温度は90℃を超えます。
はっきり書いてしまうと、冷却性能はあまり高くありません。
毎日何時間も連続でゲームをするような方は、CPUクーラーの交換を検討したほうがよさそうです。
グラフィックカード
グラフィックカードはMSIのRadeon RX 6700 XT MECH 2X 12G OC。
ツインファンタイプでライティング機能は非搭載です。
メモリ
メモリはヒートシンク非搭載のシンプルなものが2枚(8GB×2)刺さっています。
ゲームがメインなら16GBでメモリ不足を感じる場面は滅多にないものの、必要性を感じたら32GB以上に増設しても良いでしょう。
仕様上は最大128GBまで増設可能です。
ストレージ
M.2 SSDはヒートシンクで隠れているため、メーカーやモデル名は不明。
ゲームをたくさんインストールしたり、動画素材をたくさん保存したい方はストレージの増設がおすすめです。
電源
電源はThermaltake社製の850W(80PLUS GOLD)が搭載されていました。
AMDの公式サイトによると、RX 6700 XT搭載マシンの推奨電源は650Wなのでそこそこ余裕を持たせているようです。
GM5A-C211T/CP1のベンチマーク
ここからはGM5A-C211T/CP1の性能を、各種ベンチマークソフトを使用して数値化していきます。
まずはパソコンの総合的な性能をチェックするPC Mark10を試したところ、素晴らしいスコアをたたき出しました。
一般的な薄型ノートPCだと「Digital Content Creation」のスコアは4,000~5,000前後なので、10,000越えはなかなか優秀です。
分類上はミドルスペックではあるものの、ハイスペックモデルに匹敵する性能が備わっています。
計測結果はいずれも当サイトで検証したものなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R20
主なCPUをCINEBENCH R20のスコアで比較してみると以下の通り。
Ryzen 7 5800X | |
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Core i7-10700 | |
Ryzen 5 5600X | |
Core i7-10870H | |
Core i5-11400F |
Core i7-10700に迫るスコアです。
上位モデルのRyzen 7 5800Xとはそこそこ大きな差があります。
Fire Strike
3DMarkのFire Strikeのスコアを比較すると以下の通り。
RX 6800 XT | |
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RTX 3080 | |
RX 6700 XT | |
RTX 3070 | |
RTX 3060 Ti |
当サイトで計測したRTX 3070のスコアを上回りました。
VR Mark
VR Markの各種スコアはご覧の通り。
ミドルスペックのグラボとしては素晴らしいハイスコアです。
別売りのVRヘッドマウントディスプレイを用意すれば、グラフィックの重いVRゲームもそこそこ快適に動かせそうです。
Crystal Disk Mark
ストレージの転送速度は読込で約3,500MB/sと素晴らしいスコアでした。
書き込みは若干スコアが落ちていますが、約3,000MB/s出ているのでストレスを感じる場面はほぼないでしょう。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen4) | |
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NVMe M.2 SSD | |
SSD(SATA) | |
HDD |
M.2 SSD(Gen4)のハイエンドモデルなら読込速度は7,000MB/sを超えます。
オンラインゲーム
定番ベンチマークソフトを、それぞれフルHD(1,920×1,080)解像度の設定で走らせました。
重量級ゲームのFF15は高品質で「とても快適」という結果でした。
場面によっては若干重くなるかもしれませんが、おおむね最高画質のまま動かせそうです。
FF14はグラフィックが軽めなので、最高画質で快適にプレイ可能です。
FF15
高品質 | 11308(とても快適) |
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標準品質 | 15560(非常に快適) |
軽量品質 | 18605(非常に快適) |
FF14 暁月のフィナーレ
最高品質 | 20630(非常に快適) |
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PCゲームのフレームレート検証
MSIのAfterburnerを使用して、人気ゲームの平均フレームレートを計測しました。
動画にもまとめているので、あわせてご覧いただくとより分かりやすいです。
まずはフォートナイトとApex LegendsをフルHD解像度でプレイして、最高画質と低画質、それぞれ試した結果がこちら。
最高画質 | 138fps |
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低画質 | 341fps |
最高画質 | 176fps |
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低画質 | 184fps |
フォートナイトの低画質は「3D解像度」のみ100%に設定して試した結果です。
低画質では瞬間的に500を超える場面もあり、非常に快適にプレイできました。
Apex Legendsは最高画質と低画質で平均値にほとんど差がなく、場面によっては最高画質のほうがフレームレートが出ていることも。
快適にプレイできることは間違いないものの、今回なぜか低画質ではフレームレートが伸びきらず。
設定を見直して何度かプレイしましたが、結果はほとんど変わりませんでした。
VALORANTとRainbow Six Siegeはグラフィックが軽いので最高画質でテスト。
VALORANT | 252fps |
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Rainbow Six Siege | 330fps |
いずれも超・高フレームレートで快適にプレイが可能です。
予算に余裕があるなら、360Hzに対応したハイエンドクラスのゲーミングモニターを視野に入れてもよさそうです。
レイトレーシング性能
続いてレイトレーシング(DXR)に対応したゲームの平均フレームレートをチェックしました。
解像度はフルHD、ゲームのグラフィック設定はすべて最高に設定しています。
DXR ON | 28fps |
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DXR OFF | 83fps |
DXR ON | 26fps |
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DXR OFF | 75fps |
Radeonはレイトレーシングの処理が苦手なようで、DXR ONではフレームレートが30を下回ります。
車での移動中や敵との撃ち合いではカクつきが目立つため、快適とはいえません。
レイトレーシングにこだわるなら、RTX 3070搭載モデルを選んだほうが良いでしょう。
DXR OFFなら最高画質でスムーズに動かせました。
DXR ON | 76fps |
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DXR OFF | 146fps |
DXR ON | 82fps |
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DXR OFF | 163fps |
CoD:BOCWとBIOHAZARD VILLAGEは、DXR ONでもカクつきを感じることなくプレイ可能です。
見た目が少し変わる程度なので、個人的にはDXR OFFでのプレイを推奨します。
VRゲームの動作検証
Oculus Quest 2をつないでVRゲームの検証をしようとしたところ、専用ソフトウェアのOculus Linkがうまく起動しないエラーが発生。
今回お借りしたPCのパーツ構成だと推奨環境を満たしていない模様。
ケーブルを変えたり何度か再インストールしたりと足掻いてみましたが、PC自体はOculus Quest 2を認識するのにOculus Linkは起動せず。
ほかのRadeon搭載PCでも同様の症状が発生したので、Oculus LinkとRadeonは相性が良くない可能性がありそうです。
VRゲームで遊んでみたい方は、事前によく確認することを強くおすすめします。
Radeon Softwareのドライバー更新で改善される可能性があります。
ゲーム実況の動画配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用、配信と同時に録画も実施です。
Apex Legendsでいろいろ試した結果、以下の設定でスムーズにライブ配信ができました。
ゲームの画質 | 最高 |
---|---|
出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア(AMD) |
音声ビットレート | 128 |
高度なエンコーダ設定 | Max Performance |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ハードウェア(AMD) |
ゲームの画質を落としてもフレームレートがあまり変化しなかったため、最高画質のまま試しました。
画質を落とすことなくスムーズに配信&録画ができるのは素晴らしいです。
ただし、フォートナイトなどのほかのゲームを配信するなら多少画質を落としたほうがよさそうです。
ゲームによってベストなセッティングは変わるので、その都度設定を工夫する必要があります。
アバター表示でも快適に配信
FaceRigを使用してアバターを表示させながら配信を試したところ、こちらもまったく問題なく快適に配信・録画ができました。
アバターを表示するソフトによってPCの負荷は変わるため、心配な方はメモリを32GBに増設したほうがいいかもしれません。
Webカメラなどの配信機材を整えれば、PC1台でVTuberとしてライブ配信が可能です。
クリエイティブ用途の動作検証
続いて動画や写真の編集など、クリエイティブ用途でも快適に使えるかを検証しました。
ゲーム以外の用途でもサックサクです。
Premiere Proで動画編集
まずはAdobeのPremiere ProでYoutube動画の編集を試しました。
動画素材をカットしてつなげたり、テロップや効果音を加える程度の編集なら、処理の遅延を感じることはまったくありません。
After Effectsで演出を加えたり、4K動画の編集を視野に入れているなら、将来的にメモリの増設を考えたほうがよさそうです。
4K動画の書き出し
参考までに、4K動画の書き出し時間を計測しました。
検証のために用意したのは、GoPro HERO7 Blackで撮影した4K 60fpsの動画データ。
書き出し条件とかかった時間は以下の通り。
H.264(Youtube 1080p FHD) | 4:10 |
---|---|
H.264(Youtube 2160p 4K UHD) | 4:31 |
一般的な薄型ノートパソコンだと40分以上かかることもザラなので爆速です。
動画編集マシンとしても、抜群に優秀です。
LightroomでRAW現像
デジカメで撮影したRAWデータの書き出し速度もチェックしてみました。
有効画素数3,635万のニコンD810で撮影したRAWデータ100枚をLightroomで書き出したところ、かかった時間は1分45秒でした。
主なCPUと結果を比較したグラフはこちら。
Ryzen 9 5900X | |
---|---|
Core i9-10900K | |
Ryzen 5 5600X | |
Ryzen 5 3600 | |
Core i7-10700 |
RyzenとLightroomは相性が良いのか、同クラスのIntel CPUより早く書き出せるものが多いです。
プロカメラマンが業務用途で十分使える性能の高さです。
Lightroomの書き出し条件は以下で統一しています。
画像形式 | JPEG |
---|---|
画質 | 100 |
カラースペース | sRGB |
画像のサイズ | 未調整(撮影データそのまま) |
解像度 | 350 |
メタデータ | すべてのメタデータ (人物情報や撮影場所の情報は削除) |
性能はもちろん質感の高さも魅力
レビューのまとめとして、G-GEAR Powered by MSI / GM5A-C211T/CP1の特徴をおさらいします。
人気ゲームが高フレームレートで快適
ケース内部を魅せられるMSI製ケース
1080p・60fpsで高画質な配信も可能
動画編集用パソコンとしても超優秀
注文時のパーツカスタムに非対応
Ryzen 5 5600X搭載マシンは今回はじめて触りましたが、ミドルスペックとは思えないほどの高性能っぷりで驚きました。
レイトレーシング対応ゲームやVRがメインの方には少々おすすめしづらいものの、ゲームに限らず幅広い用途でしてくれることでしょう。
MSI製のケースはメンテナンス性や拡張性も高く、コツコツ改造していく楽しさも味わえます。
はじめてゲーミングPCを買う方はもちろん、ある程度自作スキルが身についている方にもおすすめな1台です。
性能と見た目のカッコよさ、どちらも重視したい方はツクモとMSIのコラボモデルを検討してみてはいかがでしょうか。