Dellが販売するゲーミングパソコン、G5 15 SE(5505)をお借りしました。
機材貸出元:デル・テクノロジーズ株式会社
CPUにRyzen 7 4800H、GPUにRadeon RX 5600Mを搭載したゲーミングノートです。
AMD好きの方は、ぜひご覧ください。
Dell G5 15 SE(5505)の特徴
G5 15 SE(5505)がどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
幅広いゲームをスムーズに動かせる
設定を工夫すればライブ配信も可能
タイピングしやすいキーボード配列
動画編集などの用途でも活躍する
ゲームによって相性問題がある
通常版よりコスパが良くない
「各種人気ゲームでどれくらいフレームレートを出せるのか先に知りたい!」
という方はこちらからご覧ください。
スペック
CPUやGPUなど、今回お借りしたモデルの基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Ryzen 7 4800H |
GPU | Radeon RX 5600M |
メモリ | 16GB(DDR4-3200MHz) |
ストレージ | NVMe M.2 SSD 1TB |
販売価格 | 175,980円~ |
CPUとGPUの細かいスペックを知りたい方は、こちらをご覧ください。
メモリは16GB(8GB×2)、ストレージも1TBと十分な容量が搭載されています。
ゲームはもちろん動画編集などの用途でも活躍するスペックです。
ラインナップ
G5 15 SEの「SE」はスペシャルエディションのことで、通常版のG5 15と異なり、AMDのCPUとGPUを搭載しているのが特徴です。
主なラインナップを整理すると以下の通り。
CPU | GPU | ストレージ | モニター | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
Ryzen 5 4600H | RX 5600M | 512GB | 120Hz | 144,980円〜 |
Ryzen 7 4800H | RX 5600M | 512GB | 144Hz | 166,980円〜 |
Ryzen 7 4800H | RX 5600M | 1TB | 144Hz | 175,980円〜 |
Ryzen 9 4900H | RX 5600M | 1TB | 144Hz | 192,980円〜 |
今回お借りしたのはRyzen 7 4800Hのストレージが1TBのモデルです。
RX 5600Mを搭載したゲーミングノートは競合製品が非常に少なく、ドスパラやG-Tuneなどの国内BTOメーカーでは取り扱いがありません。
掲載している仕様および価格は記事執筆時点のものです。時期によって変動するので、最新情報は公式サイトでご確認ください。
Intel CPU搭載モデル
通常版のG5 15の主なラインナップは以下の通り。
CPU | GPU | ストレージ | モニター | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
Core i5-10300H | GTX 1650 Ti | 512GB | 120Hz | 118,980円〜 |
Core i7-10750H | GTX 1660 Ti | 512GB | 144Hz | 166,980円〜 |
Core i7-10750H | GTX 1660 Ti | 1TB | 144Hz | 174,980円〜 |
Core i7-10750H | RTX 2060 | 1TB | 144Hz | 182,980円〜 |
Core i7-10750H | RTX 2060 | 1TB | 300Hz | 194,980円〜 |
以前、Core i7-10750HとRTX 2060を搭載したモデルをお借りしました。
「やっぱりCPUはIntelがいい!」
という方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
デザイン・大きさ
ここからはG5 15 SE(5505)のデザインを見ていきます。
天板はツヤ感のあるシルバーで、写真だとわかりづらいですが、天板はラメのような加工が施されています。
光の当たり方によってキラキラと輝きます。
仕様上の大きさは365.5×254mmで、今どきの15.6型としては少し大きめ。
裏側は排熱のために半分近くがメッシュ状になっています。
分厚さは21.6mm。
背面から温風が出てくるので、パソコンの近くに冷たい飲み物などは置かないほうがいいです。
重量は実測で約2.5kgでした。
ビジネス用途の薄型ノートPCと比べるとかなり重いので、持ち歩く前提で考えている方は、しっかりとしたPCバッグを用意したほうが良いでしょう。
据え置きで使う分には気になりません。
ACアダプター
付属のACアダプターはとても大きいです。
ゲーミングノートは消費電力の高いCPUやGPUを搭載しているため、基本的にACアダプターへの接続は必須。
PCゲームは電力消費が激しく、バッテリー駆動ではパフォーマンスが著しく落ちます。
ケーブル込みで約942gありました。
パソコンと一緒に持ち歩くと3kgを超えるので、かなりの重量です。
インターフェイス
ここからはインターフェイスを見ていきます。
- SDカードスロット
- マイク・イヤホンコンボジャック
- USB 2.0 ×2
- ケンジントンロック
- 電源
- mini DP
- HDMI
- USB 3.2 Gen1
- 有線LAN
- USB Type-C
本体左側のUSB Type-Cは映像出力に対応。
有線LANも接続できますが、無線LANはWi-Fi 6に対応。
Bluetoothにも対応しているため、マウスやゲームパッドなどをワイヤレスで接続できます。
背面にポート類は何もありません。
キーボード
キーボードはテンキーありの日本語配列。
打鍵感はペタペタ系で、ノートPCとしては普通といった印象。
クセのないキー配列で、事務仕事などでもタイピングしやすいです。
強いて気になる点を挙げるなら、エンターキーの横幅が少し小さめ。
ゲームをするうえでは、スペースキーの横幅が狭いのも気になるかもしれません。
タッチパッドは一体型で、縦に広く作られている印象です。
単色のバックライトも搭載しており、暗い場所でゲームをするときもミスタイプを防げます。
ゲーム起動中はPC内部の発熱でキーボードも熱くなります。触れなくなるほどではありません。
ディスプレイ
ディスプレイは15.6型のフルHD(1,920×1,080)ノングレア(非光沢)液晶。
リフレッシュレートは144Hzで、PS4やSwitchなどのコンソール機では実現できない高フレームレートのヌルヌル感を味わえます。
Webカメラも搭載しているため、顔出しでライブ配信をしたい方やオンライン会議などを多用する方も安心。
ディスプレイは最大でここまで開きます。
タッチパネルには非対応です。
ディスプレイのリフレッシュレートはモデルによって異なります。
sRGBカバー率約95%の広色域
ディスプレイの色域をi1 Display Proでチェックしたところ、sRGBカバー率は約95%、AdobeRGBカバー率が約72%でした。
ゲーミングノートとしては、なかなか色域が広いです。
Webデザインや写真のレタッチ、動画編集など、ちょっとしたクリエイティブ用途なら仕事でも普通に使えます。
印刷を前提とした用途ではさすがにカラーマネジメントモニターが必要ですが、十分すぎるスペックといえるでしょう。
G5 15 SE(5505)のベンチマーク
ここからはG5 15 SE(5505)の性能を、各種ベンチマークソフトを使用して数値化していきます。
まずパソコンの総合的な性能をチェックするPC Mark10のスコアは5,653でした。
ExcelやWordなどの事務作業、各種クリエイティブ用途でも活躍するスコアです。
計測結果はいずれも当サイトで検証したものなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R20
CINEBENCH R20でCPUの性能をチェックした結果はこちら
Core i7-10875H | |
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Core i7-10750H | |
Ryzen 7 4800H | |
Core i7-9750H | |
Core i5-10300H |
ゲーミングノートに多く搭載されている、Core i7-10750Hには一歩及ばず。
とはいえノートPC向けのCPUとして考えれば、十分すぎるほどハイスペックです。
Fire Strike
3DMarkのFire Strikeのスコアはこちら。
RTX 2060 | |
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GTX 1660 Ti | |
RX 5600M | |
GTX 1660 SUPER | |
GTX 1650 SUPER |
GTX 1660 TiとGTX 1660 SUPER、の中間といったスコアでした。
フルHD解像度のモニターなら、幅広いゲームを高画質で快適にプレイできます。
VR Mark
VR Markの各種スコアはご覧の通り。
スペックの割にはスコアが低めです。
軽めのVRゲームならそれなりに動かせるでしょう。
VRゲームで遊ぶには、VRヘッドマウントディスプレイを別途購入する必要があります。
Crystal Disk Mark
ストレージ(M.2 SSD)の転送速度は、読み込みで3,484MB/sと素晴らしいスコアでした。
書き込みは少し速度が落ちていますが、実用上気になることはほとんどないでしょう。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen4) | |
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NVMe M.2 SSD | |
SSD(SATA) | |
HDD |
NVMe M.2 SSD(Gen4)は、今のところデスクトップPCの限られた環境下でしか使えません。
オンラインゲーム
有名オンラインゲームのベンチマークソフトも走らせました。
いずれも解像度は1920×1080(フルHD)のノートパソコンに設定しています。
重量級ゲームのFF15は、高品質で「やや快適」という結果でした。
場面によっては処理が重くなりそうなので、最高画質にこだわらないほうが良さそうです。
FF14は最高画質で問題ないスコアでしたが、ドラクエXはRadeonとの相性が良くないのか、いまいちスコアが伸びませんでした。
FF15
高品質 | 5114(やや快適) |
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標準品質 | 7655(快適) |
軽量品質 | 9169(とても快適) |
FF14 漆黒の反逆者
最高品質 | 11047(非常に快適) |
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ドラゴンクエストX
最高品質 | 8755(とても快適) |
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PCゲームのフレームレート検証
ここからは実際にパソコンゲームをフルHD解像度の最高画質で動かして、どれくらいのフレームレートが出たかご紹介します。
フレームレートの抽出にはMSIのAfterburnerや、ゲーム内の設定を使用。
主な人気ゲームの平均フレームレートをまとめた結果がこちら。
フォートナイト | 54fps |
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Apex Legends | 72fps |
PUBG | 103fps |
VALORANT | 97fps |
Rainbow Six Siege | 116fps |
CoD:BOCW | 62fps |
モンハンワールド:アイスボーン | 44fps |
WATCH DOGS LEGION | 28fps |
Cyberpunk 2077 | 26fps |
フォートナイトは低画質まで落とすと90前後までフレームレートが伸びましたが、GPUのスペックを考えれば、もう少し伸びてほしかったところ。
Rainbow Six Siegeは「Vulkan」で起動するとGPUが正しく認識されなかったので、通常版でのプレイを強く推奨します。
Cyberpunk 2077に関しては、どれだけ攻撃しても敵がダメージを受けないという、ほかのPCでは確認できなかったバグ?も発生しました。
いずれもグラフィック設定を調整すればフレームレートはそれなりに出せますが、搭載されているパーツと相性が良くないゲームもあるようです。
VRゲームの動作検証
Oculus Quest 2を専用ケーブルでつないで、PC用のVRゲームを動かそうとしたところ、SteamVRを起動できませんでした。
Oculus Quest 2はRadeon RX 5600Mをサポートしていないようで、どう頑張っても起動できず。
ほかのVRヘッドマウントディスプレイなら動かせるかもしれませんが、VRゲームで遊びたい方は購入前に推奨環境をよく確認してください。
ゲーム実況の動画配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用、配信と同時に録画も実施です。
いろいろ試した結果、以下の設定であればそれなりに配信ができました。
ゲームの画質 | 低 |
---|---|
出力解像度 | 720p(1,280×720) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 2,500 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア(AMD) |
音声ビットレート | 128 |
高度なエンコーダ設定 | – |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ソフトウェア(x264) |
ゲームのグラフィックを犠牲にしていますが、この設定なら60以上のフレームレートを維持しながら配信&録画が可能です。
1080pかつ60fpsでの配信は頻繁にカクつきが発生するため、あきらめたほうがよいでしょう。
また配信と録画、どちらもハードウェアエンコードにしているとGPUの限界がくるようなので、録画はソフトウェアにしたほうが良さそうです。
配信するゲームによってCPUやGPUの負荷は変わります。ゲームに合わせて設定を工夫することが大切です。
スマホゲームなどは配信可能
キャプチャーボードをつないでスマホゲームの配信も試してみました。
iPhone8でPUBG MOBILEの配信を試したところ、こちらは1080pかつ60fpsでスムーズに配信&録画できました。
スマホゲームやコンソール機の配信なら、こまかい設定をいじらずとも高画質での配信が可能です。
クリエイティブ用途の動作検証
続いて動画や写真の編集など、クリエイティブ用途でも快適に使えるかを検証しました。
Premiere Proで動画編集
まずはAdobeのPremiere ProでYoutube動画の編集を試しました。
メモリが16GB搭載されているので、複雑な演出やエフェクトを加えない限りスムーズに動かせます。
After Effectsを使ったり、4K動画の編集も視野に入れているなら、メモリは32GB欲しいところですが、注文時のカスタマイズには非対応。
自身でケースを外してメモリを増やすという手もありますが、メーカー保証の対象外になる恐れがあるので、自己責任で判断してください。
4K動画の書き出し
参考までに、4K動画の書き出し時間を計測しました。
検証のために用意したのは、GoPro HERO7 Blackで撮影した4K 60fpsの動画データ。
書き出し条件とかかった時間は以下の通り。
H.264(Youtube 1080p FHD) | 6:04 |
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H.264(Youtube 2160p 4K UHD) | 12:11 |
一般的な薄型ノートパソコンだと40分以上かかることもあるので、爆速といえる結果です。
LightroomでRAW現像
デジカメで撮影したRAWデータの書き出し速度もチェックしてみました。
有効画素数3,635万のニコンD810で撮影したRAWデータ100枚をLightroomで書き出したところ、かかった時間は3分8秒。
主なCPUと結果を比較したグラフはこちら。
Core i7-10750H | |
---|---|
Core i7-9750H | |
Ryzen 7 4800H | |
Core i7-10510U | |
Core i5-10210U |
CINEBENCH R20のスコアを考えるともっと速く書き出せそうですが、何度試しても3分を下回ることはありませんでした。
実用上気になることはほとんどないですが、価格帯も考えるともう少し頑張ってほしいところです。
Lightroomの書き出し条件は以下で統一しています。
画像形式 | JPEG |
---|---|
画質 | 100 |
カラースペース | sRGB |
画像のサイズ | 未調整(撮影データそのまま) |
解像度 | 350 |
メタデータ | すべてのメタデータ (人物情報や撮影場所の情報は削除) |
AMDにこだわりたい方におすすめ
レビューのまとめとして、G5 15 SE(5505)の特徴をおさらいします。
幅広いゲームをスムーズに動かせる
設定を工夫すればライブ配信も可能
タイピングしやすいキーボード配列
動画編集などの用途でも活躍する
ゲームによって相性問題がある
通常版よりコスパが良くない
今回検証した限り、筆者としてはIntel CPU&NVIDIAのGeForceを搭載した通常版をおすすめします。
ベンチマークのスコアは悪くないものの、実際の運用ではイマイチという、AMDの悪いところが出てしまっている印象です。
価格帯も決して安いとはいえず、あえてスペシャルエディションを選ぶ理由がなかなか見つからないというのが本音です。
AMDにこだわりたい方は、候補に入れてみても良いでしょう。