Sycom(サイコム)で販売中のゲーミングPC、Silent Master NEO B650A Miniをお借りしました。
機材貸出元:株式会社サイコム
Ryzen 5 7500FとRADEON RX 7600を搭載したAMDづくしのミドルスペックマシンです。
人気ゲームでどの程度フレームレートを出せるかはもちろん、PCに負荷をかけた際の騒音も細かく計測してみました。
静音性にこだわった1台を探している方は、ぜひご覧ください。
Silent Master NEO B650A Miniの概要
Silent Master NEO B650A Miniがどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
CINEBENCH中でも39dBの超静音
フルHDで人気ゲームが快適に動作
1080p・60fpsの高画質配信も可能
カスタマイズの選択肢がとても豊富
搭載パーツが豪華ゆえに少々お高め
基本的なスペックからケースの構造、実際に人気ゲームを動かして計測したフレームレートまで、順に詳しくご説明します。
スペック
今回お借りしたモデルの基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 11 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Ryzen 5 7500F |
GPU | Radeon RX 7600 8GB |
メモリ | DDR5-4800 16GB(8GBx2) メジャーチップ・JEDEC準拠品 |
ストレージ | 500GB M.2 SSD(Gen4) |
販売価格 | 192,770円 ※記事執筆時点の価格 ※消費税・送料込 |
CPUとGPUの細かい情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。
記事執筆時点ではRyzen 5 7500Fは国内の量販店に流通しておらず、一部のBTOメーカーのみに卸しているようです。
7600Xや無印の7600と主なスペックを比較してみました。
コア スレッド | クロック | 内蔵 GPU | L3 キャッシュ | TDP | アーキ テクチャ | |
---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 5 7600X | 6/12 | 4.7GHz~ 5.3GHz | 〇 | 32MB | 105W | Zen 4 |
Ryzen 5 7600 | 6/12 | 3.8GHz~ 5.1GHz | 〇 | 32MB | 65W | Zen 4 |
Ryzen 5 7500F | 6/12 | 3.7GHz~ 5.0GHz | – | 32MB | 65W | Zen 4 |
Ryzen 5 7500Fは内蔵GPUがないだけでなく、クロックも若干抑えられているようです。
ベンチマーク結果などは後半パートで解説します。
カスタマイズ内容
今回お借りしたモデルは、Silent Master NEO B650A Miniの標準仕様からところどころカスタマイズが施されています。
ポイントは以下の5点。
- CPUをRyzen 7 7700XからRyzen 5 7500Fへ変更
- GPUをRTX 4060からRX 7600へ変更
- ケースをブラックからホワイトへ変更
- 光学ドライブを「無し」に変更
- Windowsを10から11に変更
さらに期間限定キャンペーンが利用可能。
- AMD Ryzen搭載モデルが5,000円OFF
- AMD Ryzen搭載モデルが送料無料(通常2,920円)
※Ryzen 5000番台、7000番台、APU搭載モデルすべてが対象
Silent-Master NEOに限らず、Ryzen搭載モデルすべてに適用されます。
- 今回のレビュー機が5,000円OFF
※Silent-Master NEO B650A Miniのみ(カスタマイズ内容は問わず)
こちらの特典を利用するには、注文時の通信欄に「静音の再定義」と記入する必要があります。
サイコムでは注文フォーム送信後に決済用のメールが別途届くため、値引き後の金額が表示されていることを確認してください。
パソコンの仕様および価格は時期によって変動します。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
ケース外観
ケースはCoolerMasterのSilencio S400 White Steelを採用。
強化ガラスパネルではなく、防音仕様のスチールパネルを採用した静音性に特化したモデルです。
今どきのゲーミングPCとしては珍しく、ケースの内部は見えません。
仕様上の寸法は418×210×408mm(突起物含)で、Micro-ATXらしいコンパクトなケースです。
フロントパネルはマグネット式で簡単に開閉が可能。
ヒンジ部分にはマグネットとゴムパッドを採用し、パーツ同士の振動による騒音の発生を抑えているそう。
フロンパネルを開けると、5インチベイにアクセス可能。
標準仕様では光学ドライブが搭載されていますが、今回お借りしたモデルはカスタマイズで「なし」にしています。
フロントパネルの防塵フィルターも簡単に着脱可能。
長期間使用しているとホコリがたまりやすいため、手軽に掃除ができるのは便利です。
パネルの内側にはフワフワとした質感の、厚みのある遮音材が貼ってありました。
特定の周波数を正確に打ち消すために、複数の遮音材を組み合わせて使用しているとのこと。
天面のパネルも脱着が可能。
エアフローより静音性を重視した構造です。
天面のパネルにも遮音材が貼り付けてありました。
底面にも防塵用のフィルターがありました。
ライティングパーツ非搭載で中身も見えないため、ゲーミングPCっぽさには少々欠けるでしょうか。
シンプルで落ち着いたデザインのゲーミングPCを求めている方にとっては、非常に魅力的な選択肢になることでしょう。
インターフェイス
各種入出力端子はケース天面に用意されています。
- 電源
- USB 3.0
- USB 3.1 Type-C
- 3.5mm オーディオジャック
- SDカードリーダー
SDカードリーダーが搭載されているケースは珍しいです。
背面の主なインターフェイスは以下の通り。
- USB2.0 ×4
- USB 3.2 Gen1 Type-A ×2
- USB 3.2 Gen2 Type-A ×1
- USB 3.2 Gen2 Type-C ×1
- 2.5G LAN
- DisplayPort ×3
- HDMI ×1
背面側のUSBポートも充実。
標準仕様では無線でインターネットにつなげられないため、家庭の都合で有線での接続ができない方は、事前に対策を考えておきましょう。
カスタマイズで無線LAN子機を選択可能です。
ケース内部
ケース内部はご覧の通り。
各種ケーブルは黒で統一されており、すっきりと整理されています。
マザーボードはASRockのB650M Pro RSを採用。
PCI Express ×16やM.2 SSDの空きスロットも確認できました。
キャプチャーボードなどの拡張カードを増設する際は、一度グラボを取り外したほうが安全に作業できると思います。
ケースは前後ともNoctua製で、前面にNF-A14、背面にNF-S12Aを採用。
パネルを閉じていると中身は見えませんが、白いケースに茶色のファンが映えます。
CPUクーラー
CPUクーラーは空冷最強ともいわれるメーカー、NoctuaのNH-U12Sを標準搭載。
冷却性能はもちろん、静音性も申し分なしのハイスペックCPUクーラーです。
グラフィックカード
グラフィックカードはASRockのRadeon RX 7600 Challenger 8GB OC。
スリムなツインファンモデルです。
メモリ
メモリはヒートスプレッダ非搭載のシンプルなものが2枚。
DDR5-4800のJEDEC準拠品が採用されています。
ゲームがメインなら16GBでメモリ不足を感じる場面は滅多にないものの、動画編集などで必要性を感じたら32GBに増設しても良いでしょう。
CPU-Zで読み取った情報によると、Crucial製のようです。
ストレージ
M.2 SSDはCrucialのP5 Plusですが、ヒートシンクで姿が見えません。
CrystalDiskInfoで読み取った情報は以下の通り。
2.5インチや3.5インチのストレージを増設できるシャドウベイも確認できました。
電源横の3.5インチシャドウベイは取り外すこともできるようです。
光学ドライブを使用しない場合、5インチベイにHDDなどを搭載することも可能です。
電源
電源はCoolerMaster製の650W(80PLUS GOLD)を搭載。
ASRockの公式サイトによると、RX 7600搭載マシンの推奨電源は550Wなので多少余裕を持たせているようです。
Silent Master NEO B650A Miniの性能
ここからは各種ベンチマークソフトを使用して、Silent Master NEO B650A Miniの性能を数値化していきます。
いずれも素人が計測したデータなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R23
主なCPUをCINEBENCH R23のスコアで比較してみると以下の通り
Ryzen 5 7500Fは初めてさわりましたが、Core i5-13400Fを少し上回るくらいの性能があるようです。
シングルコアも同じような傾向です。
兄貴分にあたるRyzen 5 7600Xとは若干差があります。
3D Mark
3DMarkの定番ベンチマークを3種類を試してみました。
主なグラボとFire Strikeのスコアを比較した結果がこちら
RTX 3070やRX 6700 XTに匹敵するスコアが出ていました。
フルHD解像度のモニターでゲームを動かすのであれば、十分すぎる性能といえそうです。
Crystal Disk Mark
Gen4のNVMe M.2 SSDとしては標準的な転送速度です。
書き出しはやや速度が落ちているものの、体感できるほどの差はないため、実用上の問題は何もありません。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen 5) | 10,000MB/s |
---|---|
NVMe M.2 SSD (Gen 4) | 4,000~7,000MB/s |
NVMe M.2 SSD (Gen 3) | 2,000~3,000MB/s |
SSD(SATA) | 550MB/s |
HDD | 120~160MB/s |
静音性
市販の騒音計を使用して、PCに負荷をかけたときの騒音をチェックしました。
部屋の冷房が動いている状態で、検証時の室温は27℃でした。
CPU使用率が100%に張り付くCINEBENCH計測中と、アイドル時(何も動かしていない状態)の差が1~2dB程度で驚きました。
Ryzen 5 7500Fの発熱が控えめという点もあると思いますが、CINEBENCH計測中の騒音が40dBを超えないのは驚異的な静かさです。
CPUをフルパワーで動かしているのに、背面のファンに耳を近づけてもほぼ無音という不思議な現象を味わえます。
FF15ベンチ計測中はそよ風程度の音が発生するものの、耳を澄ませないとほとんど聞こえないレベル。
ただしゲーム起動中は時折グラボのファンがフル回転して、一時的に騒音が大きくなる(45~47dB程度)ことも。
今回搭載されているRX 7600はツインファンで静音に特化したモデルでもないため、さすがにゲーム中も完全に無音というわけにはいかないようです。
冬場など、室温がもっと低い環境で計測すれば、ゲーム起動中の騒音がもう少し落ち着くかもしれません。
試しにOCCTのストレステストでCPUとGPUの使用率を100%まで上げてみたところ、騒音値は50dBに到達。
実際の用途でここまで負荷をかけることはほぼありませんが、最大でも50dB程度というのは素晴らしいです。
冷却性能
PCに負荷をかけたときの温度も確認しました。
CINEBENCH計測中のCPU温度は、最大でも80℃。
Ryzen 5 7500FのTDPは65Wですが、CINEBENCH中は常時80W前後まで消費電力が上がっていました。
静音性を維持しつつ、パフォーマンスを最大限引き出せるように、BIOSの設定を調整しているのかもしれません。
ゲーム起動中のCPU温度は60度台、GPUは60~70度前半で安定。
エアフローより静音を重視したケースのため発熱が心配でしたが、必要十分な冷却性能が備わっているようです。
PCゲームのフレームレート検証
まずは定番のベンチマークソフトを3種類試しました。
いずれも解像度はフルHDに設定、画質は最高で試しています。
FF15 | 9,886 とても快適 |
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FF14 暁月のフィナーレ | 21,644 非常に快適 |
BLUE PROTOCOL | 17,578 極めて快適 |
FF15は「非常に快適」に一歩届かず。
グラフィックが極めて重たいゲームをサクサク楽しみたいなら、多少画質を調整したほうがよさそうです。
続いてMSIのAfterburnerを使用して、人気ゲームの平均フレームレートをフルHD解像度で計測しました。
フォートナイトはDirectX12とパフォーマンス、レンダリングモードごとに検証。
最高画質(DX12) | 57fps |
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競技設定(DX12) | 173fps |
競技設定(パフォーマンス) | 295fps |
DirectX12の最高画質ではアンチエイリアスを「TSR最高」、テンポラルスーパー解像度は「推奨」、さらにハードウェアレイトレーシングもONで計測しています。
競技設定は3D解像度のみ100%で計測。
平均値はパフォーマンスモードがもっとも伸びますが、フレームレートの増減が激しく、やや不安定。
1% Lowの数値はDX12の競技設定の方が高く、フレームレートの安定性を求めるならDX12を選んだほうがよさそうです。
最高画質 | 210fps |
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低画質 | 289fps |
Apex LegendsはRadeonと相性が良く、最高画質でも平均値は200以上をキープ。
画質を落とすと非戦闘時は300付近で安定することも多く、非常に快適にプレイ可能です。
そのほかのゲームはすべて最高画質で検証した結果です。
Overwatch 2 | 253fps |
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Escape from Tarkov | 97fps |
VALORANT | 409fps |
ディアブロ4 | 131fps |
ARMORED CORE VI | 101fps |
Cyberpunk 2077 | 11fps |
ホグワーツレガシー | 44fps |
Forza Horizon 5 | 80fps |
レイトレーシング対応ゲームが弱点なのは相変わらずですが、Overwatch 2やARMORED CORE VIなどの人気ゲームは快適にプレイ可能。
とくにVALORANTはRyzenと相性が良く、画質設定をいじることなく超・高フレームレートで楽しめます。
Cyberpunk 2077はFSR2.1を自動に設定し、もっとも重たい「レイトレーシング:オーバードライブ」で動かした結果です。
画質設定を変えてベンチマークモードを回した結果は以下の通り。
レイトレーシング オーバードライブ | 11fps |
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レイトレーシング ウルトラ | 36fps |
ウルトラ | 101fps |
グラフィックが重いゲームも、レイトレーシングをOFFにすればストレスなくプレイ可能です。
ゲーム実況のライブ配信
ゲーム実況をTwitchでスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用、配信と同時に録画も実施。
Apex Legendsで試した結果、以下の設定でスムーズにライブ配信ができました。
ゲームの画質 | 最高 |
---|---|
出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア(AMD, H.264) |
音声ビットレート | 160 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ハードウェア(AMD, H.264) |
OBSの自動設定では配信エンコーダがソフトウェアに設定されましたが、ハードウェア(AMD, H.264)に変更しています。
配信&録画中は平均フレームレートが190台に若干落ちていたものの、映像がカクつくなどのトラブルは発生せず。
Radeon 7000シリーズは録画エンコーダでAV1を選択可能。
AV1エンコーダで録画したデータはPremiere Proで読み取れないなど、普及にはまだ時間がかかりそうですが、将来的には主力になっていくと思われます。
どのエンコードを使用するかは、配信の頻度や用途に合わせて判断してください。
アバター表示でも配信が可能
FaceRigを使用してアバターを表示させながら試したところ、ゲームが最高画質のままだと若干のカクつきが発生。
Apex Legendsのようなシューター系ゲームを配信するなら、ゲームの画質を落としたほうがよさそうです。
ゲームによってはOBS側の設定調整も必要になりそうですが、PC1台でVTuberとしてゲーム実況の配信もそれなりにできそうです。
静かでおしゃれなプレミアムゲーミングPC
レビューのまとめとして、Silent Master NEO B650A Miniの特徴をおさらいします。
CINEBENCH中でも39dBの超静音
フルHDで人気ゲームが快適に動作
1080p・60fpsの高画質配信も可能
カスタマイズの選択肢がとても豊富
搭載パーツが豪華ゆえに少々お高め
今まで筆者がレビューしてきたゲーミングPCのなかで、間違いなくトップレベルの静音性です。
ゲーム起動中は時折グラボから騒音が発生するものの、イヤホンやヘッドセットなどを付けていればほとんど気にならず、不快に感じるほどではありません。
価格についても、搭載されているパーツを考えれば納得感があります。
インテリアを邪魔しない高級感たっぷりなケースはメンテナンスもしやすく、コンパクトながら拡張性も十分あるため、長く使っていけることでしょう。
静かでおしゃれなゲーミングPCを探しているなら、サイコムのSilent Masterを検討してみてはいかがでしょうか。