ゲーミングPCでVRゲームの動作検証をしたくて、2020年10月にOculus Quest 2を買いました。
筆者にとってはじめてのVRヘッドマウントディスプレイです。
購入から半年以上経ちまして、今さらながらレビューをまとめてみました。
「VRにちょっと興味はあるけど、なかなか一歩を踏み出せない」
という方にとって、Oculus Quest 2はすごくおすすめです。
Oculus Quest 2の概要
まずはOculus Quest 2の主なスペックをまとめました。
プロセッサ | Snapdragon XR2 Platform |
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RAM | 6GB |
解像度 | 1,832×1,920 |
トラッキング | 6DoF |
リフレッシュレート | 60、72、90Hzに対応 |
ストレージ | 64GB 256GB |
寸法 | 191.5×102×295.5mm |
重量 | 503g |
バッテリー | ゲーム:約2時間 動画視聴:約3時間 |
充電時間 | 約2.5時間 |
販売価格 | 64GB版:37,100円 256GB版:49,200円 |
トラッキングの「6DoF」とは、首の動きや傾きに加えて体の移動も認識できるという意味。
スマホを装着するタイプのVRゴーグルなどは「3DoF(首の動きのみ認識)」ということが多く、6DoFはより本格的なVRを体験できるということです。
発売当初、リフレッシュレートは60Hzしかなかったように記憶していますが、その後のアップデートで72Hz、90Hzも選べるようになりました。
Oculusの対象年齢は13歳以上です。幼い子供にVRゲームを遊ばせることは推奨されていません。
デザインやインターフェイス
外観およびインターフェイスはこんな感じです。
本体左側には、充電およびPCと接続するためのUSB Type-Cのポートとイヤホンなどを接続できる3.5mmのアナログ端子が用意されています。
底面には音量調整のスイッチ、本体右側に電源ボタンがあります。
コントローラーは左右それぞれ形状が異なり、それぞれ単三電池を1本使用。
消費電力が小さいのか、電池の消費は想像以上にゆっくりです。
プレイステーションやSwitchなど、家庭用ゲーム機のゲームパッドに慣れていると最初は少し違和感を感じますが、手にフィットして操作しやすいです。
手首にストラップをかけておけば、コントローラーが飛んで行ったり、落下する心配もありません。
3万円台でVRを体験できる
筆者は楽天のビックカメラでOculus Quest 2(64GB版)を予約しまして、価格は37,180円でした。
発売から半年以上経ちましたが、今もほぼ同じ価格で販売されています。
テレビでCMを見かける機会も多いですし、Amazonのトップページに大きく表示されているなど、プロモーションにはかなり力を入れているようです。
VRヘッドマウントディスプレイといえばHTCのVIVEシリーズも有名ですが、一式そろえると10万円を超えてきます。
ゲーミングPCの検証用途といえど、さすがに10万円は高すぎると感じて、今まで手を出せずにいました。
そこに現れたのが3万円台で買えるOculus Quest 2。
筆者と同じように、思わず買ってしまった、という方は意外と多いのではないでしょうか。
専用ケーブルは高すぎる
PCと接続して使いたかったので、専用ケーブル(Oculus Linkケーブル)も一緒に購入しました。
ただのUSB Type-Cケーブルなんですが、10,780円もしました。
Amazonで探せば2,000円前後で買えるサードパーティーの製品がたくさん見つかるので、純正品にこだわる必要はなかったかもしれません。
自分の部屋で使う限り、長さも5メートルなんて必要ありませんし。
PCがなくても十分遊べる
Oculus Quest 2の魅力は、PCにつなげなくとも単体で十分遊べるということ。
性能には限界があるものの、VRゲームを体験する、という意味では十分すぎる実力を備えています。
無料でVRを体験できるアプリもそこそこ充実していますし、Amazonプライムなどで映画を見ているだけでも買ってよかったと思えます。
YoutubeにもVR対応の動画がたくさんアップロードされているので、Oculus Quest 2を買ったらぜひ試してみてください。
PCにつなげれば本格的に遊べる
Oculus LinkでPCとつなげれば、Steamなどで販売されているVRゲームも遊べるようになります。
グラフィックの重いVRゲームを快適に動かせるかは、PCのスペック次第。
VRゲームは片目ごとに異なる映像を出力する必要があり、一般的なPCゲームと比べて要求スペックは高めなことが多いです。
軽めのVRゲームならエントリークラスのゲーミングPCでもそこそこ動かせますが、幅広く楽しみたいならミドルクラス以上のスペックが必須と考えましょう。
Facebookアカウントが必須
Oculus Quest 2が発売されたときにネット上でいろいろ言われていたのが、Facebookアカウントが必須という点。
筆者はもともとFacebookアカウントを持っていて、Oculus Quest 2と連携しても何ら問題はなかったのですが、気になる方は多いようです。
Facebookでつながっている仕事関係者にアプリの使用歴がバレる、なんてことはないので、あまり難しく考える必要はないのではと思います。
はじめてVRを体験した感想
ここからは筆者が実際にOculus Quest 2でVRゲームを体験して、感じたことなどをまとめています。
ほかのVRヘッドマウントディスプレイは使ったことがないため、他製品との比較はできません。
まったく新しいゲーム体験
今まで家庭用ゲーム機やゲーミングPC、スマホでしかゲームをしたことがなかった筆者にとって、VRはまったく新しい体験でした。
Oculus Quest 2には基本操作を覚えるためのアプリが用意されているのですが、チュートリアルを一通り体験するだけで感動できます。
無料で遊べる「Kizuna AI – Touch the Beat!」は音ゲーが好きな方ならきっとハマりますし、「Jurassic World」はほぼ見ているだけですけど、リアルな恐怖を感じられます。
Steamで購入した「Half-Life: Alyx」はVRゲームのひとつの到達点ともいえる大作で、敵が迫ってくる恐怖や、体を動かして謎を解いていく難しさやもどかしさを味わえます。
2021年にはバイオハザード4のVR版も発売されるようで、今後の展開にも目が離せません。
動画視聴だけも楽しめる
Oculus Quest 2にや「YouTube VR」のアプリをインストールすると、さまざまなVR対応動画を視聴できます。
「Prime Video VR」してAmazonのアカウントを接続すると、プライムビデオの作品を映画館のような巨大スクリーンで観ることも可能。
映画館を独り占めしているような感覚を体験できるので、アニメや映画が好きな方ならきっとハマってしまうことでしょう。
ストレージは64GBで十分
Oculus Quest 2を買うときに迷ったのがストレージの容量。
半年以上使ってみた感想としては、ストレージは64GBで十分です。
ゲームをたくさんインストールすると足らなくなる可能性があるものの、都度アンインストールすれば問題ありません。
また遊びたくなったら、再インストールすればいいだけです。
動画視聴もストリーミングがメインなので、価格の高い256GB版を買わなくて正解でした。
SteamなどでVRゲームを買った場合、ゲームのデータはパソコンのストレージに保存されます。
それなりに広い部屋が必要
「Beat Saber」のように体を動かすVRゲームをプレイするときは、それなりに部屋が広いほうがいいと感じました。
視界が95%程度ふさがれるため、足元も片づけておかないと危険です。
VRゲームに夢中になっていると、方向感覚を失って知らぬうちに部屋の中を移動していることも多く、壁や机に手をぶつけてしまうこともしばしば。
両手を思い切り振り回せるような、広い場所で遊びましょう。
音質が想像以上に良い
VRゲームや動画を視聴していて気づいたのが、音質が意外なほど良いということ。
ハイエンドクラスのゲーミングヘッドセットと比べるとさすがに差は感じますが、上下左右、どこから音が鳴っているのかがはっきりわかります。
YoutubeなどでASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)の動画を見てみると、耳元でささやかれているような感覚を味わえて楽しいです。
Oculus Quest 2には3.5mmのアナログ端子も用意されていて、イヤホンやヘッドホンも接続可能。
家族にゲームの音を聞かれたくないときや、静かにVRを楽しみたいときには便利ですが、ケーブルや機器がごちゃついてしまうのが難点です。
わずかに音が遅延しているように感じますが、Bluetoothでワイヤレスイヤホンに接続することも可能です。
長時間のプレイは頭が疲れる
VRの宿命かもしれませんが、頭にヘッドセットを付けている状態は想像以上に疲れます。
Oculus Quest 2のバッテリーはゲームなら2時間、動画視聴なら3時間となっていますが、充電しながら使えばバッテリーを気にする必要はありません。
前モデルから多少軽くなったとはいえ、約0.5kgのデバイスを頭に取り付けていますし、VRゲームは体も動かします。
視界をほぼ奪われている状態が続くことも、疲労感のアップにつながっているのかも。
年齢や筋力など、個人差や慣れの問題も大きいとは思いますが、少なくとも筆者は1時間程度で休憩をはさまないとしんどいです。
車で酔いやすいタイプの方も、長時間の使用は気を付けてください。
飲み物が飲みづらい
これもVRの宿命でしょうか、ヘッドセットを付けた状態だと飲み物が非常に飲みづらいです。
筆者はコーヒーを飲みながら映画やアニメを見たい派なのですが、マグカップがヘッドセットとぶつかってしまい、飲みづらいことこの上なし。
冷たい飲み物ならストローを使えますが、熱い飲み物はどうにもなりません。
故障して新品交換になった
ゲーミングPCのレビューなどでOculus Quest 2を使っていたのですが、数か月前に突然故障しました。
電源を入れると「USB Update Mode」になっていて、何をどう操作しても抜け出せない、ループ状態に陥ってしまいました。
Googleで検索してみると、同じような状態になっている方がそれなりにいるようで、自力で修理することは難しい模様。
結果的に新品交換で返ってきたので、簡単に顛末をまとめておきます。
故障時の対応は人それぞれ異なると思われます。あくまで参考程度にご覧ください。
サポートとメールでやりとり
まずは公式サイトの問い合わせフォームから、故障の状態などを詳しく記入して送信しました。
最初にリクエストタイプを選ぶ必要がありますが、「Oculus製品およびコンポーネント」で問題ないと思います。
1日も経たずに返信が届いて、まずは改善策を試すように指示されましたが、状況は変わらず。
その後メールで何度かやり取りをして、FedExが引き取りに来てくれることに。(配送料は無料)
FedExには電話で集荷を依頼するのですが、サポートから渡された情報を伝えるだけでサクッと完了。
それと集荷当日までに、サポートからPDFで送られてくる書類(FedExに渡す送付状)を印刷しておく必要があります。
筆者の自宅にはプリンターがないので、セブンイレブンのネットプリントを利用しました。
明細ではなく領収証が必要
サポートとやり取りするなかで、購入証明として領収証の提出を求められました。
最初は楽天の購入履歴をキャプチャして送ったのですが、明細ではダメとのこと。
筆者は楽天で購入したので簡単に領収証を発行できましたが、量販店で買った方やプレゼントされた方だと少々手続きが面倒かもしれません。
約3週間後に新品が送られてきた
本体とコントローラーを適当な段ボールに梱包して、集荷に来てくれたFedExに渡した後、3週間ほどでOculus Quest 2が戻ってきました。
なんとなく予想はしていましたが、届いたのはまっさらな新品。
壊れた製品を修理して送り返すより、新品を送り返したほうが合理的、という判断なのでしょう。
ちなみに、ここまで費用は一切かかっていません。(書類の印刷代は数百円かかっていますが)
サポートの対応はとても丁寧
海外メーカーにありがちな対応を想定していましたが、サポートの対応は想像以上に丁寧でした。
ほとんどのメールは数時間で返ってきましたし、違和感のある日本語も一切なし。
手元に返ってくるまで時間はかかったものの、故障品の受領や代替品の発送など、進捗メールが逐一送られてきていたので、不安はとくにありませんでした。
そもそも壊れない、というのがベストだとは思いますが、万が一トラブルが起きてもサポートがしっかりしているので安心です。
VR初心者も快適に楽しめる
VR初心者がOculus Quest 2でいろいろ遊んでみた感想をまとめると、めちゃめちゃ楽しい、という一言に尽きます。
Oculus Quest 2単体でも十分遊べますし、ゲーミングPCと接続すれば、できることの幅が一気に広がります。
64GB版の約37,000円という価格をどう感じるかは人それぞれだと思いますが、これだけの体験ができるなら決して高くありません。
VRゲームやVR動画に興味がある方は、Oculus Quest 2を試してみてはいかがでしょうか。