サイコムが販売する超静音PC、Silent Master PRO Mini B860をお借りしました。
機材貸出元:株式会社サイコム
ファンレスCPUクーラーの「Noctua NH-P1」をはじめ、低消費電力CPUを搭載するなど、細部まで静音にこだわり抜いた構成。
パソコンの騒音にストレスを感じる方や、ライブ配信や音楽制作などの用途で周囲の雑音をとにかく減らしたい方におすすめの個性派マシンです。
ゲーム用途ではどれくらいの性能を発揮できるのか、静音性だけではなく冷却性能はどんなもんなのか、詳しく検証しました。
Silent Master PRO Mini B860の概要

今回お借りした製品の特徴をまとめると以下の通り。
独自開発の静音グラボを標準で搭載
高負荷時もほぼ無音で圧倒的に静か
コンパクトで拡張性も十分なケース
PC1台でVTuberとして配信も可能
高負荷時のCPU・GPU温度はやや高め
基本的なスペックから搭載されている内部パーツ、実際に人気ゲームを動かして計測したフレームレートまで、順に詳しくご説明します。
スペック
貸出機の主なパーツ構成は以下の通り。
OS | Windows 11 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Core Ultra 9 285T |
GPU | GeForce RTX 5070 Ti 16GB |
メモリ | DDR5-5600 32GB(16GBx2) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD Gen4 |
販売価格 ※税・送料込 | 450,560円 |
末尾に「T」がつくIntel CPUは、TDP35Wの低電圧モデル。
CPUとGPUの細かい情報を知りたい方は、こちらをご覧ください。


標準構成ではCPUがCore Ultra 7 265T、グラボもGeForce RTX 5060 Ti 16GBとなりますが、貸出機ではハイスペック構成にカスタマイズ。
メモリやストレージはもちろん、CPUやグラボ、マザーボードまで、予算や用途に合わせて柔軟に選べるのがサイコムの大きな強みです。
価格や納期、在庫状況は時期によって変動します。最新情報は公式サイトにてご確認ください。
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ケース外観


ケースはFractal DesignのDefine 7 Miniを採用。
仕様上の寸法は奥行399×横幅205×高さ406mmと、一般的なミニタワーのサイズ感です。
コンパクトなケースではありますが、見た目に反してずっしりと重いため、持ち運ぶ際には腰を痛めないように注意したほうがよさそうです。


ケース内部が見えるガラスパネルは非搭載で、ピカピカ光るパーツも一切なし。
写真からは伝わりづらいですが、ひとつひとつのパネルがとてもしっかりとした作りで、格安ケースにありがちな薄っぺらさや安っぽさは皆無。

フロントパネルにはヘアライン加工も施されていて、シンプルなデザインながら高級感を演出。
落ち着いたデザインのデスクトップPCを探している方におすすめなケースです。

天面も静音仕様のパネルが採用されています。
市販のケースではエアフロー重視のメッシュパネルも選択できます。

パネルはツールレスで脱着可能で、内側には遮音シートが張り付けてありました。


ホコリを防ぐためのフィルターも簡単に取り外せます。
一般的なケースだと定期的に掃除をおすすめするポイントですが、本製品の場合、パネルを閉じていればフィルターが汚れることはほぼないと思われます。

両側のサイドパネルもツールレスで取り外せて、こちらも内側に遮音材が貼ってあります。


底面の防塵パネルは、フロントパネルの下側からスライドさせて取り外せる方式。
ケースを傾けたり寝かせる必要なく、簡単に掃除ができます。
インターフェイス

電源ボタンなどはケース天面にあり、USBポートは合計5つと充実。
- 1 x USB 3.1 Gen 2 Type-C
- 2 x USB 3.0
- 2 x USB 2.0
- マイク
- ヘッドホン
- 電源

背面側の入出力端子はご覧の通り。
- 1 x USB 3.2 Gen 2×2 Type-C
- 3 x USB 3.2 Gen 1 Type-A
- 2 x USB 2.0 Type-A
- 1 x 2.5Gbps LAN
- 1 x HDMI
- 3 x DisplayPort
BTOではオプション扱いになっていることが多い、無線LAN(Wi-Fi 6E、Bluetooth5.3)も標準搭載。
インターネット接続は有線にこだわる方も、Bluetoothが使えると何かと便利です。
無線LANを使用するときは、製品に同梱されるアンテナをマザーボードに取り付けて使用してください。
ケース内部

ケース内部はご覧の通り。
ミニタワーに巨大なCPUクーラーとグラボを詰め込んでいるため、ギッチギチです。

光るパーツがないためケーブルは少なめですが、全体的に配線もきれいに整えられています。
光学ドライブを搭載するスペースはないため、必要な方は外付けで代用するしかありません。
注文時のカスタマイズで外付けのDVDドライブやBlu-rayドライブを追加可能です。


ケースファンはフロントに140mmのNoctua NF-A14 FLX、リアに120mmのNoctua NF-A12x25 ULNが標準で搭載されます。
マザーボード

マザーボードはASRockのB860M Pro RS WiFiを採用。
M.2 SSDの空きスロットは2台(Gen4)あり、SATAは6つ。
MicroATXのマザーボードとしてはストレージの拡張性がなかなか充実。
PCIEの空きスロットもあるものの、今回の構成はグラボが分厚くてスロットが完全に隠れてしまいます。
拡張カードを活用したい方は、今回お借りしたminiではなくATX版のSilent Master PROがおすすめです。
CPUクーラー

CPUクーラーはファンレス構造のNoctua NH-P1を標準搭載。
本製品は簡易水冷や空冷クーラーへのカスタマイズに非対応。
ファンがないため、CPUクーラーからの騒音は一切発生しません。
Silent-Master NEOはNoctua製の空冷クーラーが標準で搭載されます。
グラフィックカード

グラフィックカードはサイコムが独自に開発した、Silent Master GraphicsのRTX 5070 Tiを搭載。
冷却ファンにはNoctua製のNF-A12x25 PWMを2台採用し、独自デザインのファンカバーは長尾製作所が製造。
低負荷時はファンが停止するセミファンレス機能にも対応しています。

Silent Master Graphicsは記事執筆時点で3種類が販売中。
- RTX 5060 Ti 16GB
- RTX 5070 12GB
- RTX 5070 Ti 16GB
標準構成ではSilent Master GraphicsのRTX 5060 Ti 16GBが搭載されます。
カスタマイズでは市販のグラボはもちろん、Radeonも選択可能。
予算や用途に合わせて最適なグラボを選べます。
メモリ

メモリはヒートスプレッダ非搭載のシンプルなものが2枚。
CPU-Zで読み取った情報はこちら。


カスタマイズで最大256GB(64GB×4)まで増設できますが、大多数の方は32GBあれば問題ありません。
ストレージ

M.2 SSDはCrucialのハイスペックモデル、T500の1TBを標準搭載。
最大8TBの大容量ストレージも選択できるほか、2台目のM.2 SSDやハードディスクも増設可能。


マザーボードの裏側に2.5inのシャドウベイが2つ、電源横のスペースにも2.5inと3.5in共用のベイが2つ。
ミニタワーとしては悪くない拡張性です。
電源

電源ユニットは標準構成だとASRockのSteel Legend(650W)が搭載されますが、今回はグラボに合わせて850Wにカスタマイズ。
最大1000Wまで選択可能です。
右側にある小さいスイッチは、セミファンレス機能のONとOFFを切り替えるスイッチ。
フルモジュラータイプの電源で、未使用のケーブルも同梱されます。
Silent Master PRO Mini B860の性能

ここからは各種ベンチマークソフトを使用して、搭載パーツの性能を数値化していきます。
いずれも素人が計測したデータなので、あくまで参考程度にお考えください。
CINEBENCH R23

Core Ultra 9 285Tは消費電力を抑えたモデルということもあり、最上位のCore Ultra 9 285Kと比べると、マルチコアのスコアに大きな差が開いています。
Intelの仕様上、285TのPBPは35Wとなっていますが、サイコムではPL1を60W、PL2を112Wと独自にカスタマイズ。

消費電力や発熱を抑えつつ、定格のCore Ultra 7 265(PL1:65W、PL2:182W)と肩を並べる性能を引き出しています。
Steel Nomad

独自に開発したSilent Master GraphicsのGPU性能は、RTX 5070 Tiとしては標準的なスコア。
4Kで幅広いゲームをサクサク快適に楽しめるのはもちろん、各種クリエイティブ用途でも活躍してくれます。
Crystal Disk Mark

Gen4 SSDとしてはハイエンドクラスの転送速度です。
書き出しはやや速度が落ちているように見えますが、体感できるほどの差はないため気にする必要はないでしょう。
一般的なSSD(SATA)やHDDと平均的な転送速度を比較すると、以下の通り。
NVMe M.2 SSD (Gen 5) | 10,000~15,000MB/s |
---|---|
NVMe M.2 SSD (Gen 4) | 4,000~7,000MB/s |
NVMe M.2 SSD (Gen 3) | 2,000~3,000MB/s |
SSD(SATA) | 550MB/s |
HDD | 120~160MB/s |
静音性
市販の騒音計(サンコー小型デジタル騒音計)を使用して、用途ごとの騒音を計測しました。

ここまで静かなデスクトップPCは初めてです。
以前、Silent-Master NEO B650Aをレビューしたときも静かさに驚きましたが、本製品は「Silent Master PRO」の名に恥じない、さらに上をいく静音性。
ファンレスタイプのCPUクーラーと静音性に優れたNoctua製のケースファンを搭載していることもあり、どれだけCPUに負荷をかけても騒音値はほとんど上がらず。
グラボに負荷をかけると若干騒音値は上昇するものの、それでもケースに耳を近づけないとわからないレベル。
一般的なゲーミングPCと比べれば驚異的な静かさです。
筆者が使用している騒音計の目安は以下の通り。
60dB~ | 掃除機に匹敵するほどうるさい 遮音性の高いイヤホンやヘッドセットが必須 |
---|---|
50~60dB | 大多数の人がうるさく感じる イヤホンやヘッドセットの使用が必須 |
45~50dB | ファンの音がやや気になりはじめる イヤホンやヘッドセットの使用を推奨 |
40~45dB | ファンの音は聞こえるが不快ではない スピーカーでもゲームはプレイ可能 |
38~40dB | PCに耳を近づけると音が聞こえる程度 スピーカーでも快適にプレイが可能 |
冷却性能
用途ごとの冷却性能もチェックしてみました。
計測時はエアコンで室温を26度に保っています。

まずアイドル時のCPU温度は40~50度あたりで安定。
Intel CPUとしてはやや温度が高めに感じる方もいそうですが、実用上はまったく問題ありません。

GPU温度はアイドル時でおおむね30度台。
メモリ(VRAM)周りはやや温度が上がっているものの、こちらも気になるほどではありません。

CPUの使用率が100%まで跳ね上がるCINEBENCH計測中は、CPU温度が最大で70度を少し超えるくらい。
最大で112Wまでしか上がらない消費電力を抑えたCPUということもあり、ファンレスクーラーでも問題なく運用可能です。

続いてFF14ベンチを4Kの最高設定で走らせて、GPUの温度をチェック。
場面によって変動しますが、おおむね80度前後で安定。
Cyberpunk 2077やモンハンワイルズを4Kの最高設定で動かすと、平均85度前後といったところでした。
エアフローより静音性を重視したケースということもあり、高負荷時のGPU温度はどうしても高くなりがちです。

ゲーム起動中のCPU温度は70~80度前後で安定。
CINEBENCH計測時より温度が上がっているのは、GPUの排熱をCPUクーラーのヒートシンクが受け止めてしまうためと思われます。
冷却性能と静音性、どちらを優先すべきかは、用途や好みに合わせて判断してください。
PCゲームのフレームレート検証

まずは定番のFF14ベンチを解像度ごとに回してみました。
フルHD | 25,414 非常に快適 |
---|---|
WQHD | 20,804 非常に快適 |
4K | 13,567 とても快適 |
4Kの判定は非常に快適に届かずでしたが、実際はストレスなく遊べると思われます。
そのほか定番ゲームのベンチマークも解像度ごとに回してみました。
フルHD | WQHD | 4K | |
---|---|---|---|
CoD:BO6 | 243fps | 189fps | 130fps |
アサクリシャドウズ | 113fps | 106fps | 86fps |
Cyberpunk 2077 | 281.46fps | 191.53fps | 107.73fps |
黒神話:悟空 | 210fps | 163fps | 99fps |
最高画質でアップスケーリングはDLSSのクオリティに統一、Cyberpunk 2077と黒神話:悟空はマルチフレーム生成を4xに設定して計測した結果です。
低消費電力のCPUがどの程度ゲーム性能に影響を与えるか少し心配していましたが、まったく問題なし。
レイトレーシングに対応した激重タイトルも、4Kの最高画質でストレスなく遊べます。
フルHD | 251fps |
---|---|
WQHD | 228fps |
4K | 171fps |
モンハンワイルズはベンチマークではなく製品版をウルトラ画質、レイトレ 高設定で実際にプレイ。
マルチフレーム生成 4xを設定し、隔ての砂漠でアルシュベルド討伐クエストを動かして平均値をまとめました。
RTX 5070 Tiなら従来のフレーム生成(2x)でも4Kで80~90fps前後は出るため、無理にマルチフレーム生成を使う必要はなさそうです。
続いて定番のシューター系ゲームをフルHDで実際にプレイして、平均フレームレートを計測しました。
フォートナイトはDirectX12とパフォーマンス、レンダリングモードごとに検証。
競技設定(DirectX12) | 259fps |
---|---|
競技設定(パフォーマンス) | 285fps |
3D解像度と描画距離を最高、その他は最低まで落とした、いわゆる競技設定でソロマッチをプレイ。
カジュアルに遊ぶには十分な性能ではありますが、ゲーム最強クラスの性能を持つRyzen 7 9800X3Dと比べるとフレームレートの伸びはイマイチ。
これは低消費電力が原因というより、Core Ultraの特性によるものと思われます。
本気でプロゲーマーを目指すような方や、静音性よりフレームレートが大事な方は、Ryzenを搭載できる別モデルを選んだほうがよさそうです。
Apex Legends | 246fps |
---|---|
VALORANT | 450fps |
Marvel Rivals | 415fps |
Apex Legendsは最高画質でもおおむね240前後をキープ。
低画質まで落としても上限値の300に張り付くパワーはないものの、カジュアル派には問題ない性能です。
VALORANTも最高画質のままでサクサクプレイ可能。
Marvel Rivalsはマルチフレーム生成 4xで計測した結果です。
ゲーム実況のライブ配信

Twitchでモンハンワイルズのゲーム実況をスムーズに配信できるかも検証しました。
配信ソフトは無料で使えるOBS(Open Broadcaster Software)を使用し、配信と同時に録画も実施。
VTube Studioでアバターも表示しながら試しました。
ゲームやOBSの主な設定は以下の通り。
ゲームの設定 | フルHD、ウルトラ画質 DLSS クオリティ マルチフレーム生成 4x レイトレーシング 高 |
---|---|
出力解像度 | 1080p(1,920×1,080) |
FPS共通値 | 60 |
映像ビットレート | 6,000 Kbps |
配信エンコーダ | ハードウェア(NVENC, H.264) |
音声ビットレート | 160 |
録画品質 | 高品質、ファイルサイズ中 |
録画フォーマット | mkv 配信後にmp4へ再多重化 |
録画エンコーダ | ハードウェア(NVENC, H.264) |
VTube StudioはCPUの負荷がそこそこ高いソフトウェアですが、途中で映像が乱れたり、配信が停止するようなこともなく、最後までノートラブル。
低消費電力のCPUでも問題なく配信をこなせるようです。

Apex Legendsの配信も試したところ、フルHDの最高画質のままでトラブルなく配信と録画ができました。
フレームレートは200前後まで落ち込むこともあり、本気でやりこんでいる方だと少し気になるかもしれません。
配信中にパソコンの騒音が気になってしまう方には、魅力的な選択肢になりそうです。
パソコンの騒音を許せない方におすすめ

レビューのまとめとして、改めて特徴をおさらいします。
独自開発の静音グラボを標準で搭載
高負荷時もほぼ無音で圧倒的に静か
コンパクトで拡張性も十分なケース
PC1台でVTuberとして配信も可能
高負荷時のCPU・GPU温度はやや高め
「T」のついたIntel CPUは今回はじめてさわりましたが、ベンチマークでは明確に差がついたものの、体感では無印や「K」つきとほとんど変わらず。
ゲーム起動中や配信中もパソコンからの騒音はほぼ耳に届かず、素晴らしく快適でした。
実際のところ、ここまで静音にこだわる方は少数派と思われますが、作業中に周囲の雑音を少しでも減らしたい方にとっては唯一無二の存在になることでしょう。
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静かで快適に使えるハイスペックPCをお探しの方は、サイコムのSilent Master PROシリーズをチェックしてみてはいかがでしょうか。