ヒューレットパッカード(以下HP)のゲーミングノート、OMEN by HP 15をレビューする機会をいただきました。
機材貸出元:株式会社日本HP
15.6インチの薄型ノートパソコンで、グラフィックスにGTX1070(MAX-Q Design)を搭載しているモデル。
人気のオンラインゲームを高画質でサクサクプレイできるのか、さらにRAW現像や動画編集でも活用できるのかを詳しく検証しました。
OMEN by HP 15

今回使用しているのは、OMEN by HP 15のハイパフォーマンスモデル。
どういったパソコンなのか、まずは基本的なスペックから順にご紹介します。
スペック
OMEN by HP 15(ハイパフォーマンスモデル)の基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Core i7-8750H |
GPU | GeForce GTX1070 with MAX-Q Design |
メモリ | 16GB |
ストレージ | NVMe M.2 SSD 256GB HDD 2TB |
CPUはハイスペックゲーミングノートでよく使われている、6コア12スレッドを誇るCore i7-8750H。
第8世代のCPUで、ノートパソコン用のCPUとしてトップクラスの性能を持っているのが特徴。
CPU-Zの結果は以下の通り。

ストレージはSSDとHDDのデュアルタイプで、合計2TB以上あるので最新のオンラインゲームもたくさん保存できますね。
ラインナップ

記事執筆時点でOMEN by HP 15のラインナップは大きく3つに分かれています。
モデル | CPU | グラフィックス | メモリ | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
パフォーマンスモデル | Core i7-8750H | GTX1060 | 16GB | 199,800円〜 |
ハイパフォーマンスモデル | Core i7-8750H | GTX1070 with MAX-Q | 16GB | 219,800円〜 |
ハイパフォーマンスプラス | Core i7-8750H | RTX2070 with MAX-Q | 16GB | 229,800円〜 |
いずれもCPUとメモリ、ストレージの容量は変わらないものの、搭載されているグラフィックスが異なります。
Battlefield Vなどのオンラインゲームでリアルタイムレイトレーシングを体験したい方は、RTX2070搭載のハイパフォーマンスプラスモデルがおすすめ。
パフォーマンスモデルとの価格差は2万円ですから、長く使うことを考えてもお得です。
Pavilion Gamingもおすすめ

HPのゲーミングパソコンにはPavilion Gamingというブランドもあり、価格とスペックが控えめに設定されています。
「ちょっとしたゲームができればいいや」
くらいに考えている方は、OMENよりPavilion Gamingを選んだほうが幸せになれるかも。
モデル | CPU | グラフィックス | メモリ | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
スタンダードモデル | Core i5 8300H | GTX1050 | 8GB | 109,800円〜 |
パフォーマンスモデル | Core i7-8750H | GTX1050 | 16GB | 129,800円〜 |
ハイパフォーマンスモデル | Core i7-8750H | GTX1050 Ti | 16GB | 169,800円~ |
記載している価格は記事執筆時点の金額です。
パソコンの仕様や価格は変動するものなので、最新の情報は公式サイトにて確認をお願いします。
Pavilion Gamingが気になる方は、以下のレビュー記事もあわせてご覧ください。

競合モデルも多い
実は今回レビューしているOMEN by HP 15は、以前購入するかどうかで迷ったことがあるんです。
というのも15.6型のゲーミングノートは競合モデルがたくさん。
たとえばRTX2070を搭載した主なゲーミングノートは以下の通り。
GALLERIA GCF2070RGF | ALIENWARE M15 | GS65 Stealth 8SF | |
---|---|---|---|
メーカー | ドスパラ | Dell | MSI |
CPU | Core i7-8750H | Core i7-8750H | Core i7-8750H |
GPU | RTX2070 | RTX2070 | RTX2070 |
メモリ | 8GB | 8GB | 16GB |
サイズ | 15.6型 | 15.6型 | 15.6型 |
販売価格 | 229,980円~ | 241,980円~ | 316,224円~ |
詳細 | 詳しく見る | 詳しく見る | 詳しく見る |
迷いに迷って、私はGTX1060を搭載したMSIのGS65 Stealth Thin 8REを購入。
ちょうど年末のセール、かつモデルチェンジの直前だったこともあって、お得に買えました。
GS65 Stealth Thin 8REの詳しいレビューはこちらでご覧になれます。

外観・サイズ
ここからは外観や大きさについて見ていきます。
天板は赤いバツマークが特徴的なデザイン。

外寸は360×263mmとなっていて、一般的なクリアファイルと大きさを比べてみると以下の通り。

仕様上の重さは約2.5kgと、片手で持ち歩くのは少々重たく感じます。
分厚さも25.5~30mmと、一般的な薄型ノートパソコンと比べると少し大きめ。
持ち歩くことを前提に考えている方は、カバンのサイズをあらかじめチェックしておいたほうがよさそうです。
裏面はご覧の通り。

排熱のためにメッシュ部分が大きくとられています。
ゲーミングノートは発熱の処理が重要なので、裏面をふさいでしまわないように気を付けましょう。
インターフェイス
ここからはインターフェイスを見ていきます。

左側面はSDカードなどを読み込めるカードリーダーをはじめ、USB3.1に対応したポートがひとつ。
ヘッドセットやマイク用のポートも用意されています。

右側面は非常にシンプルで、USB3.1対応のポートがひとつとACアダプターの接続箇所のみ。
各種ディスプレイと接続するための端子類は、背面に集中しています。

有線LAN用のネットワークポートをはじめ、USB3.1とThunderbolt3に対応したType-CのUSBポートもひとつ。
HDMIとMini DisplayPort、デスクにケーブルなどで固定できるセキュリティ用のスロットも用意されています。
ディスプレイに接続するためのポートが背面に揃っているのはとても便利です。
ACアダプターは200W
ACアダプターは200Wの高出力タイプで、一般的なノートパソコンと比べると少し大きく感じます。

仕様上のバッテリー駆動時間は約6時間となっていますが、ゲーム用途で使うなら基本的にACアダプターは必須と考えましょう。
ちょっとした事務作業程度であれば、2~3時間はバッテリーだけでも十分と思われます。
ディスプレイ

ディスプレイはフルHD(1920×1080)のIPSディスプレイ。
リフレッシュレートは144Hzとなっているため、格ゲーやFPSゲームもガッツリやりこめます。
ベゼル(ディスプレイのふち)が狭いのもOMENの魅力のひとつですね。
蛍光灯が映り込むように撮影していますが、映り込みが抑えられているのがわかるでしょうか。
ツヤツヤした画面はパッと見はきれいに見えるものの、長時間見続けていると目が疲れます。
ゲームをプレイするうえでは非光沢のディスプレイがおすすめです。
キーボード

キーボードは一般的なテンキーありの日本語配列。
FPSゲームなどで多用するWASDキーは目立つようにカラーリングされています。

キーピッチは約18.6×18.6mm、キーストロークは約1.8mmと一般的なノートパソコンとほぼ同じ数値。
26キーのロールオーバーとアンチゴーストも搭載しているので、快適にゲームを操作できます。

タッチパッドはさらっとした触感で、スムーズに動いてくれました。
バックライトは自由に設定可能

バックライトももちろん搭載されていて、暗い部屋でゲームをプレイしてもはっきりと視認できました。
さらにバックライトの色は設定画面から自由に変更可能です。

ゲームに合わせて光り方を変えてみるのも楽しそうです。
キータイプ音はポコポコ系
キータイプ音はノートパソコンによくあるポコポコ系でした。
安っぽいカチャカチャ系よりも品があって、個人的にはとても気に入っています。
タイプ音は実際に聞いてみるのが一番わかりやすいので、約30秒の動画でご確認ください。
各種ベンチマーク結果
ここからは各種ベンチマークソフトなどを使用して、OMEN by HP 15の性能面を見ていきます。
まずはCPUから見ていきましょう。
CPU

CINEBENCH R15でCPUの基本性能を確認したところ、999cbという結果でした。
同じCPU(Core i7-8750H)を搭載したパソコンを何台か検証していますが、1,100cbを超えるモデルもあったので少し低めの数値です。
もしかすると発熱を抑えるために、パフォーマンスを少しセーブしているのかもしれません。
とはいえ、一般的なノートパソコンに搭載されているCPUと比べて高性能であることに間違いはありません。
その他、ノートパソコン用CPUとの性能差はご覧の通り。

いずれの数値も当ブログで計測したものなので、参考程度にお考え下さい。
ストレージ
デュアルストレージ(SSDとHDD)の転送速度をCrystalDiskMarkでチェックしてみます。
メインのSSD(PCIe NVMe M.2)は3,000MB/s以上という爆速っぷりを発揮してくれました。
HDDは標準的な数値ですね。
SSD(PCle)

HDD

3D性能

3Dゲームを遊ぶうえで重要な指標となる、3DMarkのFire Strikeのスコアは12519でした。
搭載されているGTX1070はノートパソコン用のMax-Qタイプなので、標準仕様のGTX1070と比べるとやはり少しスコアが下がります。

とはいえ、Max-QタイプといえどGTX1060やGTX1050より高性能なのは明らかです。
最近発売されたRTX2060、GTX1660 Tiもいつか触ってみたいものです。
いずれの数値も当ブログで計測したものなので、参考程度にお考え下さい。
オンラインゲーム
有名どころのパソコンゲームが快適に動くかどうかも、各ゲームのベンチマークソフトでチェックしてみました。
いずれも1920×1080(フルHD)の環境で確認しています。
重量級ゲームとして有名なファイナルファンタジー15も、画質を少し調整するだけで快適にプレイできそうです。
軽めのゲームなら最高画質でサクサク遊べますね。
FF15

高品質 | 5473(やや快適) |
---|---|
標準品質 | 7028(快適) |
軽量品質 | 8561(快適) |
FF14 紅蓮のリベレーター

最高品質 | 12265(非常に快適) |
---|---|
高品質 | 13726(非常に快適) |
標準品質 | 15280(非常に快適) |
ドラゴンクエストX

最高品質 | 18391(すごく快適) |
---|---|
標準品質 | 19415(すごく快適) |
低品質 | 20329(すごく快適) |
人気のオンラインゲームをプレイ
ここからは実際にいくつかのパソコンゲームをプレイしてみました。今回試してみたのは以下の4タイトル。
- モンスターハンターワールド
- フォートナイト
- PUBG
- Apex Legends
100以上のフレームレートを出すには画質を多少調整したほうがよさそうですが、最高画質でも60以上はキープできそうです。
ひとつ注意したいのは、ゲーム起動中の騒音。
ゲーミングノートの宿命みたいなものですが、ゲーム起動中はそこそこ大きな排気音がします。
自宅でプレイするなら問題ありませんが、静まり返った図書館のような場所では使いづらいレベルの音です。
参考までに騒音計で計測した数値を載せておきます。
アイドル時はほぼ無音状態です。
アイドル時

ゲーム起動時

モンスターハンターワールド
ここからは実際のプレイ動画とともに、各ゲームのフレームレートをご紹介します。
まずはモンスターハンターワールドを以下の設定でプレイしてみました。

グラフィック設定「最高」でもプレイはできるものの、フレームレートは50前後に落ち込んでしまいました。
「高」なら60以上のフレームレートをキープできたので、画質を最優先に考えるか、フレームレートの高さを優先するかで設定を変えることをおすすめします。
クルルヤックを弱い者いじめするプレイ動画はこちら。
小さくて見づらいですが、画面左上にフレームレートが表示されています。
フォートナイト
続いて高い人気を誇るフォートナイトを以下の設定でプレイしました。

もともと軽いゲームではあるものの、最高画質だとフレームレートは常時70前後。
戦闘中は50前後にまで落ち込むこともありました。
100以上をキープするには、アンチエイリアスやポストプロセスなどを少し落としましょう。
こちらも小さくて見づらいですが、画面右上、マップの左に白い文字でフレームレートが表示されています。
PUBG
PUBGは以下の設定でプレイしてみました。


草が生い茂っているエリアだと60前後にまで落ち込むこともありましたが、おおむね80前後のフレームレートをキープできました。
勝つことを最優先に考えるなら、100前後のフレームレートを維持できるように多少画質を落としたほうがよさそうです。
Apex Legends
最後にApex Legendsもプレイしてみました。
各種設定は以下の通り。


PUBGと同じく場面によって変動するものの、90~100前後のフレームレートをキープできました。
あっさりやられてしまいましたけど、撃ち合っている最中も90以上のフレームレートが出ていますね。
もう少しFPSゲームうまくなりたい・・・
LightroomでRAW現像
ここからはRAW現像の処理速度についてもチェックしてみます。
有効画素数3,635万のD810で撮影したRAWデータ100枚をLightroomで書き出したところ、4分ほどかかりました。

Lightroomの書き出し条件は以下の通り。
画像形式:JPEG
画質:100
カラースペース:sRGB
画像のサイズ:未調整(撮影データそのまま)
解像度:350
メタデータ:すべてのメタデータ(人物情報や撮影場所の情報は削除)
以前、同じCPUを搭載したゲーミングノートで試したところ、まったく同じデータを約3分で書き出せていたので少し時間がかかっています。
CINEBENCHの結果も低めだったので、やはりCPUのパフォーマンスをセーブしている気がします。
Premiere Proで動画編集
RAW現像に続いてPremiere Proで動画編集も試してみました。

そこまで複雑な加工をしていないということもありますが、パソコンが重くなるようなこともなくサクサク快適です。
ただ、Youtuberとして活動されている方をはじめ、毎日何本も動画を作成する方は、メモリを16GBから32GBに増やしておいたほうがよさそうです。
ゲームで遊ぶだけなら16GBで十分ですが、動画編集をやりこむには少し心配なところ。
OMEN by HP 15はいずれのモデルも最大32GBまでメモリを搭載できるので、予算と相談しながら考えましょう。
本格派ゲーミングノート

OMEN by HP 15(ハイパフォーマンスモデル)を一通り触ってみましたが、最新のオンラインゲームもサクサク楽しめる本格派ゲーミングノートですね。
100以上のフレームレートをキープするには多少画質の調整が必要ですが、プレイに影響が出るほど画質が落ちることはありません。
パフォーマンスモデルでも価格は20万円~と決して安い買い物ではありませんが、値段に見合った価値を得られる一台です。
がっつりやりこめるゲーミングノートを探している方は、ぜひOMENをチェックしてみてください。