マウスコンピューターのゲーミングブランド、G-TuneのNEXTGEAR-MICRO am550シリーズをお借りしました。
機材貸出元:株式会社マウスコンピューター
AMDのRyzen7 2700を搭載した、コンパクトなマイクロタワー型デスクトップパソコン。
「AMDのCPUって本当にコスパが高いの?」
「最新ゲームもサクサクプレイできるの?」
と疑問に思う方も多いですが、実力をじっくり検証してみました。
手の届きやすいゲーミングパソコンを探している方は、ぜひご覧ください。
Ryzen搭載のゲーミングパソコン
今回お借りしたのはNEXTGEAR-MICROのam550GA3というモデル。
NEXTGEAR-MICROにはIntelのCPUを搭載したモデル(im620シリーズ)もありますが、こちらはコスパに優れたAMDのRyzenを搭載。
まずは基本的なスペックや外観からご紹介します。
スペック
NEXTGEAR-MICRO am550GA3の基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
---|---|
CPU | AMD Ryzen7 2700 8コア16スレッド、3.2GHz 最大4.1GHz |
GPU | RTX2070 |
メモリ | 16GB |
ストレージ | 240GB SSD 1TB HDD |
Ryzen7 2700はIntelのCore i7-8700のライバルともいわれるCPU。
Amazonの販売価格で比較すると、両者には約1万円ほどの差がありますが、性能面でそこまで大きな差はありません。
- Ryzen7 2700(8コア16スレッド):27,345円
- Core i7-8700(6コア12スレッド):38,568円
CPU-Zの結果は以下の通り。
コアとスレッドの数だけを見れば、Core i9-9900Kと肩を並べています。(クロック数などは敵いませんが・・・)
グラフィックスはミドルクラスのRTX2070を搭載、GPU-Zの結果はこちら。
メモリも16GBあるので、ゲーム以外の用途にも使えそうです。
ラインナップ
NEXTGEAR-MICRO am550シリーズの主なラインナップをまとめました。
今回お借りしているのはゴールドモデルです。
モデル | CPU | GPU | メモリ | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
ブロンズ | Ryzen3 2200G | Radeon Vega8 | 8GB | 69,800円〜 |
シルバー | Ryzen5 2600 | GTX1660 | 16GB | 119,800円~ |
シルバー | Ryzen5 2600 | GTX1660 Ti | 16GB | 129,800円~ |
ゴールド | Ryzen7 2700 | RTX2070 | 16GB | 194,800円~ |
プラチナ | Ryzen7 2700 | RTX2080 | 16GB | 239,800円~ |
高画質でプレイできるゲームは限られるものの、ブロンズモデルなら約7万円で買えます。
お買い得感がとくに強いのは、GTX1660 Tiを搭載したシルバーモデル。
GTX1070に匹敵する実力を持っているので、幅広いゲームを快適にプレイできますよ。
記載している仕様および価格は記事執筆時点のものです。最新価格やキャンペーンの有無は都度公式サイトにてご確認ください。
Intel搭載モデル
IntelのCPUを搭載したNEXTGEAR-MICRO im620シリーズのラインナップも以下にまとめました。
モデル | CPU | GPU | メモリ | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
シルバー | Core i5-9400F | GTX1660 Ti | 8GB | 129,800円~ |
ゴールドカスタム | Core i7-8700 | RTX2070 | 8GB | 179,800円~ |
シルバーカスタム | Core i7-9700K | RTX2060 | 16GB | 199,800円~ |
ゴールドカスタム | Core i7-9700K | RTX2070 | 16GB | 219,800円~ |
プラチナ | Core i7-9700K | RTX2080 | 16GB | 239,800円~ |
Core i7-8700とRTX2070のゴールドカスタムはお買い得に見えますが、メモリを16GBにすると+12,800円で約20万円に。
メモリが8GBだと後々しんどくなるため、最低でも16GB以上にしておくことをおすすめします。
「パソコンのCPUは、やっぱりAMDよりIntelがいい!」
という方は、im620シリーズをチェックしてみてください。
ケース外観
ここからはケースの外観を見ていきます。
RTX2070を搭載したゲーミングパソコンとして考えると、非常にコンパクトです。
仕様上の外寸(突起部分を含む)は、横幅:約188.8mm、高さ:約400mm、奥行:約410.5mm。
ゴテゴテしていない、シンプルなデザインもいいですね。
マットな質感で、安っぽさは微塵も感じません。
パッと見はコンパクトでも中身はぎっしり詰まっているので、見た目以上に重いです。
仕様上の重量は約11.7kgなので、段ボールから取り出すときや持ち運ぶときはくれぐれも慎重に。
インターフェイス
前面パネルには使用頻度の高いポート類がそろっています。
- マイク入力
- ヘッドホン出力
- USB3.0×2
- HDMI入力
- 電源
光学ドライブは有料オプションで、+3,800円~で追加可能です。
前面パネルにあるHDMIポートでディスプレイに接続する場合、背面から出ているHDMIケーブルをグラフィックスのHDMI端子に接続する必要があります。
少々不格好ですが、HDMIの延長ケーブルみたいなものですね。
その他、背面のインターフェイスはご覧の通り。
最近は見かける機会が少なくなった、PS/2端子のキーボードやマウスも接続可能。
グラフィックスの接続端子は以下の3種類。
- USB Type-C×1
- HDMIx1
- DisplayPortx3
最大4画面まで出力可能です。
ケース内部
ここからはケースの内部を見ていきます。
マイクロタワー規格のケースなので、コンパクトにまとめられている印象です。
裏配線で見た目もすっきりしていますが、ケース自体が小さいので拡張性にはあまり期待できません。
マウスコンピューターのデスクトップパソコンに多い、電源を上に設置するタイプです。
裏面はご覧の通り。
各種ケーブル類が黒で統一されているのも、カッコ良くて好きです。
ただ、電源周りのケーブルはかなりガッチリ固定されていたので、後々のカスタマイズは少々大変そう。
ちなみに、ケースを開けるときはドライバーが必要です。
CPUクーラー
CPUクーラーはRyzen7 2700とセットになっている標準的なものと思われます。
Battlefield VやAnthemなどの重いゲームを高画質でプレイしても、CPU温度は40~50度だったので冷却性能は十分高いです。
ケース前面には追加のファンを設置できる場所が2つあるので、パソコン内部の冷却性能を高めたい方はカスタマイズを考えてみてはいかがでしょうか。
ゲーミングパソコンの見た目にもこだわりたいなら、中身が見える強化ガラスパネルを+5,800円で追加して、派手に光るファンを設置するのもひとつです。
MSIのRTX2070
グラフィックスはMSIのRTX2070が使われていました。
ビカビカ光るRGB LEDは非搭載のモデルですね。
30cm程度のグラフィックスまで搭載できるので、後々ハイスペックなモデルが欲しくなっても安心です。
ただし、マザーボードのPCIスロットはひとつしかないため、グラフィックスの2枚刺し(SLI)はできません。
内蔵キャプチャーボードも設置できないので、PS4やスマホゲームの動画を配信したい方は外付けのものを買いましょう。
M.2スロットはひとつ
マザーボードはMicro ATX規格のもので、チップセットはB350。
M.2スロットはひとつだけありました。
転送速度が3,000MB/sを超えるNVMe M.2 SSDは+17,800円~で追加できます。
パソコンの起動やゲームのロード時間を少しでも速くしたい方は、オプションで選びましょう。
メモリの増設・交換も簡単
メモリは8GBのものが2枚刺さっています。
CPUクーラーが小型なので、交換や増設は比較的簡単に行えそうです。
ストレージも上部に固定
ハードディスクはケースの上部に固定されています。
3.5型×1台と2.5型×2台を同時搭載できるタイプ。
ストレージを交換するときは、裏側のケースを開けてケーブルの接続を外す必要があります。
電源
電源は700W(80PLUS BRONZE)のものが使われています。
パソコンにとって心臓部となるパーツなので、予算に余裕があるなら電源にはお金をかけましょう。
電力変換効率の高い80PLUS GOLDへのアップグレードは+7,800円です。
各種ベンチマーク結果
ここからはNEXTGEAR-MICRO am550GA3の性能を、各種ベンチマークソフトを使いながら細かく見ていきます。
計測結果はいずれも当サイトで検証したものなので、あくまで参考程度にお考えください。
CPU
CINEBENCH R15でCPUの性能をチェックしたところ、1502cbという結果でした。
予想以上に高いスコアが出て少々驚きました。
当サイトで検証したスコアと比べると、Intelの第9世代CPU、Core i7-9700Kを上回っています。
ベンチマークのスコアがすべてではない、ということはこの記事の後半でおわかりいただけますが、素晴らしい結果です。
ストレージ
CrystalDiskMarkでストレージの転送速度もチェックしたところ、SSD、HDDともに標準的なスコアでした。
標準仕様だとSSDが240GBしかないので、個人的には512GB以上をおすすめします。
ゲームを10本以上インストールするつもりなら、HDDも1TBから2TBへのアップグレードを考えてみてください。
SSD(SATA)
HDD
3D性能
3DMarkのFire Strikeは15,546というスコアでした。
RTX2070搭載モデルをいくつか検証してきましたが、18,000を超えるパソコンもあったので、少し低く感じます。
主なグラフィックスと比較したグラフはこちら。
オンラインゲーム
続いて有名オンラインゲームのベンチマークソフトも走らせてみました。
いずれも解像度は1920×1080(フルHD)のデスクトップパソコンに設定して確認しています。
重量級ゲームのFF15も、最高画質で「快適」という結果になりました。
ドラクエXについては、最高品質より標準品質のほうがスコアが低いという不思議な結果になっています。
フルHD環境なら、ほとんどのゲームをサクサク遊べるでしょう。
FF15
高品質 | 8495(快適) |
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標準品質 | 10544(とても快適) |
軽量品質 | 12604(非常に快適) |
FF14 紅蓮のリベレーター
最高品質 | 13810(非常に快適) |
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高品質 | 14155(非常に快適) |
標準品質 | 15145(非常に快適) |
ドラゴンクエストX
最高品質 | 18292(すごく快適) |
---|---|
標準品質 | 17302(すごく快適) |
低品質 | 18795(すごく快適) |
人気ゲームのfpsを検証
ベンチマークソフトを走らせるだけではなく、実際に人気ゲームをプレイして、どれくらいのフレームレート(fps)を出せるか検証しました。
ジャンルごとにわけてご紹介します。
動画にもまとめたので、こちらもあわせてご覧ください。
FPSゲーム
バトルロイヤルゲームをはじめ、高い人気を誇るFPSゲームは以下の5タイトルで試しました。
いずれも最高画質でサクサク快適に遊べます。
- Apex Legends
- PUBG
- フォートナイト
- Battlefield V
- レインボーシックスシージ
Apex Legends
最高画質(FHD) | 90~120fps |
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降下中はフレームレートが落ち込みますが、おおむね100前後のフレームレートをキープできました。
カクつくような場面は一切なく、最高画質で快適に遊べます。
もっと高いフレームレートを出したいなら、画質を調整しましょう。
Apex Legendsで60以上のfpsを出すためには「詳細な起動オプション」で「+fps_max unlimited」を入力しておく必要があります。
PUBG
最高画質(FHD) | 100~120fps |
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PUBGは画質設定「ウルトラ」でサノックのステージをプレイしましたが、フレームレートは常に100以上をキープ。
瞬間的にフレームレートが90台に落ち込むことはあっても、プレイに影響はありません。
とても快適に遊べます。
フォートナイト
最高画質(FHD) | 110~140fps |
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フォートナイトも最高画質(エピック)で100以上のフレームレートを出せます。
場所によっては150以上で安定することもありました。
ゲーミングモニターを使えば、ヌルヌル・サクサク動かせます。
Battlefield V
最高画質(FHD) | 60fps |
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Battlefield Vは最高画質かつレイトレーシングをONにした状態で、ストーリーモードで60fpsをキープできました。
ファイアストーム(バトルロイヤルモード)をプレイするなら、レイトレーシングと垂直同期をOFFにして、フレームレート優先の設定にすることをおすすめします。
レインボーシックスシージ
最高画質(FHD) | 170~200fps |
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レインボーシックスシージは最高画質で180前後のフレームレートを出せました。
少し古いゲームとはいえ、ここまで高いフレームレートが出るのはすごいです。
アクションゲーム
アクションゲームは以下の3タイトルで検証しました。
こちらも画質を落とすことなくプレイ可能です。
- モンスターハンターワールド
- デビルメイクライ5
- Anthem
モンスターハンターワールド
最高画質(FHD) | 40~60fps |
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モンスターハンターワールドは重量級のゲームなので、最高画質だと50前後のfpsが限界でした。
PS4(Proを除く)のfpsは30に設定されているので、最高画質で30以上のfpsをキープできれば合格ラインと考えてよいでしょう。
モンハンはフレームレートより画質を優先したほうが楽しめます。
デビルメイクライ5
最高画質(FHD) | 144fps |
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デビルメイクライ5は最高画質で144fpsベタ付きでした。
リフレッシュレートが60Hz以下のモニターだとfpsも60までしか上がらないので、144Hz以上に対応したゲーミングモニターを使いましょう。
Anthem
最高画質(FHD) | 50~70fps |
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中画質(FHD) | 70~90fps |
空を飛べるのが楽しいAnthemは、最高画質だと60前後のfpsをウロウロ。
少し画質を落とすと、80前後のfpsをキープできます。
格闘ゲーム
格闘ゲームはストリートファイターVを試しました。
ストリートファイターV
最高画質(FHD) | 60fps |
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ストVは比較的軽いゲームなので、フルHD環境なら最高画質で60fpsをキープできます。
格ゲー好きの方も安心して使えるゲーミングパソコンです。
ゲーム実況や動画配信も可能
ゲームをプレイするだけではなく、実況動画の配信がスムーズにできるかもチェックしました。
PS4などのコンソール機は持っていないため、パソコンとスマホゲームで検証しています。
設定に慣れていない方は少し戸惑うかもしれませんが、スムーズにゲーム実況を配信できました。
パソコンゲーム
モンスターハンターワールドのプレイ動画をTwitchで生放送してみたところ、トラブルもなく配信できました。
配信ソフトは無料で使えるStreamlabs OBSを使用。
生放送中に自分の顔を出したくない方は、WEBカメラとFaceRig(Steamで1,480円)を使えばアバターを表示させられます。
左下のアライグマは私の顔をトレースしたもの。
声は変換できませんが、パソコンが重くなることもなくVTuberごっこができます。
スマホゲーム
続いてPUBG MOBILEのプレイ動画も配信してみました。
スマホはiPhone8、外付けのキャプチャーボード(AVerMediaのLive Gamer Ultra GC553)を使っています。
音声の設定で多少手間取りましたが、こちらもちゃんと生放送ができました。
スマホゲームプレイ中はどうしても視線が下がってしまうので、アバターは表示させないほうがいいかもしれませんね。
クリエイティブ用途は黄色信号
ここからは動画や写真の編集といったクリエイティブ用途もサクサク動かせるかをチェックしていきます。
結論を先にお伝えすると、Ryzen7 2700とクリエイティブ用途はあまり相性がよくなさそうです。
Premiere Proで動画編集
AdobeのPremiere Proで動画編集を試したところ、とくに問題なくスムーズに動かせました。
今回お借りしているam550GA3はメモリが16GBあるので、複雑なことをしない限り重くなる場面は少ないでしょう。
実況動画の録画データを切り貼りして、テロップや効果音をつける程度ならまったく問題ありません。
4K動画の編集も考えていくなら、メモリは32GB以上あったほうがいいですよ。
メモリの増設(16GB×2 DDR4-2400)は+21,800円~で選べます。
4K動画の書き出し
参考までに、4K動画の書き出しにかかる時間も測定してみました。
検証のために用意したのは、GoPro HERO7 Blackで撮影した4K 60fpsの動画データ。
書き出し条件とかかった時間は以下の通り。
H.264 | |
---|---|
Youtube 1080p FHD | 7:58 |
Youtube 2160p 4K UHD | 13:38 |
Core i7-8700とRTX2070の組み合わせと比較すると、倍近くの差が出ました。
CINEBENCH R15のスコアではRyzen7 2700が買ったものの、動画の書き出しは少々苦手な模様。
YouTuberのように毎日何本も動画を編集する方は、IntelのCPU搭載モデルを選んだほうが快適度はアップするかも。
LightroomでRAW現像
続いてデジカメで撮影した写真のRAWデータをサクサク編集できるかチェックします。
有効画素数3,635万のニコンD810で撮影したRAWデータ100枚をLightroomで書き出したところ、かかった時間は約4分。
Lightroomの書き出し条件は以下の通り。
画像形式:JPEG
画質:100
カラースペース:sRGB
画像のサイズ:未調整(撮影データそのまま)
解像度:350
メタデータ:すべてのメタデータ(人物情報や撮影場所の情報は削除)
4K動画の書き出しと同じく、こちらもCore i7-8700に大きく引き離される結果に。
主なCPUと結果を比較してみると以下の通り。
当サイトで検証した結果だと、ノートパソコン向けのCPU、Core i7-8750Hにも負けています。
「ゲームだけではなく、写真の編集や加工もガッツリやりたい!」
という方には、少々おすすめしづらい結果となりました。
最新ゲームもサクサクなお買い得マシン
AMDのRyzen7 2700を搭載したNEXTGEAR-MICRO am550GA3をじっくり検証しましたが、ゲーミングパソコンとして考えればコスパは抜群です。
ほとんどのゲームを最高画質でプレイできますし、少し画質を落とせばFPSゲームで100を超えるフレームレートも出せます。
ただ、マイクロタワー規格のケースで拡張性に乏しいことと、動画や写真の編集はちょっぴり苦手な模様。
メモリやファンを追加・交換したり、パソコンをいろいろカスタマイズしたい方は、もう少し大きめのケースを選んだほうが快適です。
クリエイティブ用途もガッツリ使うつもりの方も、処理速度を求めるならIntel搭載モデルを選んだほうがよいでしょう。
「CPUのメーカーなんて気にしない!」
「ゲームが快適にできれば問題ない!」
という方は、お買い得なam550シリーズを候補に入れてみてください。